第1話ーーこの世界も腐ってるかも……
どうやらここは異世界だそうだ。
まだここに来て、人とは喋ってないが周りの景色、種族の違い、そのようなところを鑑みて異世界だと判断した。
「まずは人と喋るのが得策か……」
コミュ障の俺は嫌々と辺りを見渡してこの世界の情報を聞こうとする。
だが聞こうとしても周りはむきむきの獣人やすごくクールなエルフなどしかいない。
「聞きづらすぎだろっっ」
諦めの早い俺は聞きやすそうな人が現れるまで大通りをまっすぐ歩いて行った。
「外に行くにつれて人通りも服装の豪華さもなくなって来たな」
そう言って周りを見渡すとホームレスだと思われる人も多くいる。
「この世界でもこのような人は存在するんだなぁ」
せっかく異世界に来たのに俺はいい世界だといいな、という期待が打ち砕かれた気がしたが、これだけで判断してはいけないという気持ちもあり、まだ希望を持って前に進んだ。
「なんでこんなに歩くの、近くの人でいいじゃんとか思う人もいるかもしれないが。
これは自分の経験則だが、目上の者は目下の者に対等に話をしない。だから俺は前に進んで、身分の低い人がいるところに行っているのだ」
15キロは歩いたんじゃないか?この辺になると周りはボロボロのテントのような家と道の隅に野垂れ死そうな人しか見えない。
「スラム……とでも言うべきか」
そのスラムのようなところに白髪で肌が白く異様に目立っている人がいる。
やば、あんな人テレビでも見たことないくらい可愛いじゃん。
ここらで情報を聞くかと思ったが、みんな死ぬ寸前で情報など聞ける状態ではない。
「クソチキンの俺があの可愛い子に喋るのかよ」
嫌々と言ってるふりをして話す口実ができてよかったぜとか心の中で思った。
「おい、君と話がしたいんだけどいい?」
「はい? なんですか」
女だ。年齢は15歳と行ったところか……
「俺は違う街から来たんだが、この町について教えてくれないか?」
「え、えーっと、まず私達を見て何も思わないんですか?」
彼女は戸惑いを隠せず、動揺している。
「は? どうもこうも可愛い人だなと思ったよ」
唐突に言ったこの言葉に相手の人は顔を赤くして顔を隠した。
「そう言う事ではありません、ここに居る最下層の人間を見ても何も思わないんですか?」
「最下層? まぁ知らんが、俺は人間を差別しない、差別されていた人間だからな、される気持ちがわかるんだ……」
昔の苦い経験を思い出しテンションが低くなっている。
「まぁそんなことはどうでもいい、ここの町について出来るだけ教えてくれないか?」
「まぁ、わかりました、出来るだけならお教えします。教えますよ」
彼女はそう言ってそんなに乗り気ではないが話してくれるそうだ。
「じゃあ、まず、あんたの名前を教えてくれないか」
「あ、はい。私の名前はフィネア=アルフレアです、これでよろしいですか?」
「ありがとうフィネアさん。俺は斎藤ケンジだ、ケンジって呼んでくれ、宜しく!!」
「よろしくお願いします。ケンジさん」
「じゃあ話は変わるが、本当の質問をするぞ?」
「はい!」
「まず気になったんだが、ここにいる人たちはなんでこんな境遇になっているんだ? アンタなんてこんなに白い服もまだ綺麗で、ここにいる人ではないみたいではないか」
まず聞くのはこれではないか?と思ったが気になったので聞いてしまった。
「はい……私はここに昨日来たんです。私は、昨日まで貴族の家庭にいました……」
彼女は思い出したくないことを思い出し、苦い顔をして話し始めた。
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