幕間
…あ、どうも。はじめまして、私、【記録】の勇者、ミランダ・マフというものです。
お休みでしたか?突然の訪問申し訳ありません。是非ともお尋ねしたい件がありまして。
ええ、そうです。唯一無二。魔族にして勇者紋を持つ存在。
【人間】の勇者、かの『アリアロア・アッシュハート』についてです。
そうですね、彼女について知らない者はいないでしょう。その特異性は魔族である、と言うことには留まらず、勇者の力を一切使わずに魔王を討つ事が出来た唯一の存在である事でも有名ですね。
そんな訳で、とにかく虚実含めた様々な逸話には事欠かない彼女ですが。
それに比して、彼女の『功績』に関する伝承は不自然な程、少ない。
噂だけが独り歩きして、実際の実力は大した事が無かった、などという事でもなさそうな感じです。
当時の記録を少し注意深く見てみれば、意図的に削除されていると思しき部分が散見されます。ひどいものになると、所謂、『大物』の魔王討伐の顛末がごっそり端折られていたりしてますね。
様々な記録や伝承から推察するにやはり、削除されている部分の多くは彼女が関わっている事柄のようです。どうやら彼女の活躍を無かった事にしたい、と思った人達がいたというのは間違いないのでしょう。
ああ、すいません。何だか一方的に私ばかり喋ってしまって。
実の所。まともな手段ではこれ以上彼女について詳しく調べることが出来そうにないんですよね。ええ、多少強引であろうともまともです。
ともあれ、未だに彼女に関する『何か』について知られたくないと思っている連中がいるようなんです。
ええ、その、つまり、そいつらと完全に敵対してしまった訳なんですが。連中、しつこいんですよねえ。もう何人返り討ちにしたか覚えていませんが、とにかく次々と…って私の事はどうでもいいですね。
まあ、そんなこんなで、あなたに話を聞きに来たという訳なんです。
彼女に直接関わったことのある人物。その唯一の生き残り。
【記憶】の魔王、シャルロッテ・ラインカ・エンズさん。
『暁の魔女』の封印。幻想迷宮、最奥。
ここならば、久しぶりに、誰の邪魔も入らずゆっくり話が聞けるでしょうから。




