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魔を統べる者  作者:
8/18

5話 狂いだした歯車・動き出す野望

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----フィヨルド・ミゲル宅(仮)----


ユア「うわー、ミゲルこの家に1人で住んでるの?」

ミゲル「そうだよ」

ユア「え〜、掃除とか絶対大変でしょ、私なら無理かなぁ、ミゲルはすごいよ」

ミゲル「そんなことないよ、さぁ中へどうぞ」


 私は昨日ミゲルと約束した通り1人で来たんだけど…… ミゲルの家は高級住宅街の中でも群を抜いており、他と比べても至る所に細かな装飾が施されており、贅の限りを尽くしたという感じ、そこらの下級貴族より立派ではないかと思ってしまう。


ミゲル「どうぞ」

ユア「ありがとう、ん⁉︎ 美味しい‼︎」

ミゲル「喜んでもらえてよかった。それはリスニアから取り寄せた、ララ豆から作った飲み物なんだけど、美味しいからユアにも飲んで欲しかったんだ」


 お世辞ではなく、これは本当に美味しい、口触りが良く、ほんのりと口の中に広がる甘味、後味もしつこくなく、すぅっと消えていく。後で作り方を教えて貰わなくちゃ。この付近で取れるスパールは渋味が強く、全然甘くない、大人の人達には人気だけど、私のような子供や甘党の人には少し合わない。


ユア「すごいミゲル! こんな美味しい飲み物のんだのなんて本当に久しぶりだよ」


 ミゲルは照れるように笑っていた。


ユア「今度シヤとミヤにも飲んでもらおうよ、きっと驚くよ」


 そう言うとミゲルは一転、見ただけで凍えそうなほど冷めた顔になった。

 私何かまずいこと言っちゃったかな?


ユア「ミゲル? どうしたの急に」

ミゲル「今は僕と2人なんだ、僕以外の人のことは考えないで欲しい」

ユア「えっ……ミゲルやっぱりなんか変だよ、昨日の図書館の時ぐらいから、何かあったなら私に相談して欲しいな、私で良ければ何でもするからさ!それにシヤとミヤにも頼って良いんだよ? 私と同じ親友でしょ?」

ミゲル「ユアは僕にとって特別な人なんだ、シヤゆミヤとは一緒にできないよ」

ユア「ミ、ミゲルどうしたの? 今のあなたは会った時のミゲルと違う……」

ミゲル「僕は変わったんだよ、ユアのお陰でね」

ユア「え……私のお陰?」

ミゲル「そうだよ、ユアと会うまでの僕は何の生き甲斐もなく、目標もない、そう、まるで生ける屍だったんだ。でもそんな僕の前にユア、君が現れたんだ。あんな僕をあの3人から庇い、守ってくれた。そして友達に、親友になってくれた。初めてだったんだよそんなことをしてくれた人に会ったのは……その時から僕はユアに惚れていたんだ、ユアを幸せにしてあげたい。でも幸せにしてあげる力が僕にはなかった。そんな僕がユアの相手が務まるわけなかった。心の奥で僕は無理だと諦めていたかもしれない。そんなことを考えている時に昨日の図書館での出来事が起こった、僕はユアがあのロッドにやられた時に今まで味わったことのない絶望を感じたんだ……僕に力があれば、ユアだけでも守れる力があれば、他のものなんてなにもいらない。そうすると僕の頭に声が聞こえたんだ--貴方は、大切な人を守るために、他の全ての人や国を犠牲にできますか?-- 僕は即答したよ。当たり前だってね。その瞬間僕に新しいスキルが付与されたんだ、そのスキルが本当に凄くてね、死者すら復活できるんだよ、僕はユアを蘇らせてあげなくちゃと動こうとしたら、ユアが起き上がったんだ。本当に嬉しかった。僕のために命をかけてくれたユアが生きていてくれて……そして確信したんだよ、この力さえあれば僕はユアのことを守れるってね。その後、僕のユアに傷をつけた2人に罰を与えたんだ、あんなことをしておいて許されるはずが無いからね」


 そんな、うそ……あの2人は街を出たんじゃなかったんだ……でも、まだ!


ユア「ミゲル! 人を殺めた罪は変わらない、一生背負わなければならないことだよ……だけど、今ならまだやり直せるよ! これ以上こんな事をしたらもう戻ってこれなくなっちゃうよ‼︎ミゲルお願い、お願いだから……」

ミゲル「やりなおす?」

ユア「そうだよ! 私はミゲル、貴方を見捨てたりなんかしない、他の誰が貴方の事を蔑み、軽蔑しても私はあなたの味方であり続ける、本当の貴方を私は知ってる。だから……ね?私も付き合うから一緒にやり直そう?」

ミゲル「ユアはやっぱり優しいね。もしかしたらこんな事をした僕を嫌いになって居なくなってしまうんじゃないかと恐れてたんだ……でも僕はもう決めたんだよ、それにもう僕は引き返せない。ユアも薄々気付いてたんでしょ?僕1人でこんな広い家に住んでるはずがないって」


 やっぱりそうだったんだ……信じられなかった、信じたくなかったけど本当みたい。やっぱり私じゃミゲル1人も救う事ができないのね。


???(違うよ、悪いのは全部心が弱い人間。貴方は悪くないの。人間は弱い癖に虚勢を張る、そして何事も自分達が一番じゃないと許せない種族。貴方もそろそろ気付いてる筈。人間なんて生きる価値がないってね。)

ユア(そ、そんな事ないよ! お父様やお母様のような人やテケルさんやロイ、トンだって、良い人だって沢山いる、生きる価値がないわけがないの! それに貴方は誰? 私の心に話しかけてくるなんて……)

???(私は貴方、貴方は私、分かりました、もう少し様子見にさせてもらいますね。精々頑張ってくださいね)


 そう聞こえると私の心に語りかけてきた声が聞こえなくなった。ミゲルっ!


ユア「私は、うっ!」


 なんなのこの、凄く頭がクラクラする。ダメ、今意識を失っちゃ。


ユア「な、何を、したの?」


ミゲル「なにって、そりゃ……の………ため…」


 そこでユアの意識が途切れた。



----インディール帝国  首都シャン----


大臣「陛下! ダメですぞ、その様な何処の馬の骨とも知れぬ軍属上がりの男の話に耳を傾けるなど」

ウォン「大臣、少し口が過ぎますよ。陛下、今こそ我らが帝国の版図拡大の時です。関係各国への根回しも滞りなく進行しており、明日中には完了いたしましょう。軍の再編も完了し、兵達の戦意も最高潮に達しております。後は陛下のご決断を待つばかりでございます」

大臣「何を言っておる、今は水害や日照りによって農作物が壊滅、その結果兵糧すら満足に用意できとらんのだ、国力が落ちている今戦争など不可能じゃ。それに相手はアルメニアとも同盟を結んでおるパルチア、1ヶ月程ならまだしも長期戦必須、そのような無謀な策など承認できんぞ!」

ウォン「早期に戦争を終わらせ、勝てばよろしいのでしょう? 大丈夫です、私の作戦ならこの戦争、1ヶ月、いや2週間程で終わらせられるでしょう」

大臣「なんという浅見な考え……陛下この様な妄言など」

シュウ「もう良い! お前達の話を聞いていても埒があかん。ウォンよパルチアをどのようにしてそのような短期間で落とせるというのだ、言ってみろ」


 我こそはインディール帝国 第98代皇帝 シュウ・キンである。我が帝国は今2つに割れておる。1つはパルチアとの開戦を望む者たちだが軍部・軍属の者たちが中心である。もう1方が反戦派だが、こちらは大臣達が中心となっておる。今日は今後の帝国の方針を決める会議だったのだが……やはりこの事で大荒れである。全く情けない。この議論もかれこれ半日がたっておる、これではいつまで経っても平行線のままだ。そろそろ我らとしても結論を出さねばならん。


ウォン「は! 今回の作戦をご説明致します……」


シュウ「ほう、そのような作戦が成功するのか?」

ウォン「は! 私に全権を任せていただけるようならば100%成功させてみせましょう!」

シュウ「フハハハハ! よし! ウォン、お主の作戦に乗ろうじゃないか、失敗は許されんぞ?」

ウォン「は! 分かっております、おまかせください!」

大臣「へ、陛下!なりませんそのような作戦!」

ウォン「大臣、陛下の叡慮に背く気でおられるのですか?」

大臣「む……分かりました、今回の件は引きましょう」

シュウ「では、我が国は6日後、パルチアへ宣戦を布告する! ついて、今回の作戦の総司令として帝国第2軍団司令 ウォン・ヤオを任命する。この戦いは我が帝国の野望であったフェリオス大陸統一に大きく近づく、重要なものである。我が元に勝利を‼︎」

一同「仰せのままに‼︎」

シュウ「それでは、総員準備に取り掛かれ!」


 そう言うと皆足早に散っていった。


 まぁ大臣の言う事も一理ある、シュウは1年程前に軍に入隊し、異常なまでのスピードで昇進を果たし、今では軍の3番手までに上り詰めた男……空漠とした男で、本心で何を考えているか、我にも読めん。しかし、我が帝国に尽くしている今は特に気にする事もないであろう。それに、あいつらがいつ目を光らせている筈だからな。しかし、今回の作戦が成功すると、いよいよフェリオス統一まで見えてくる。我の代でなんとしても達成してみせようぞ。


誤字・脱字等ございましたらご報告ください。


次話の投稿予定は8月2日の午後を予定しております。

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