4話 生き甲斐
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ーーーーフィヨルド・図書館ーーーー
ユア「あれ? そういえばミゲル達はどこ行ったんだろ」
私達は散らかった本の片付けを手伝っていた。まぁ私が原因なんだけどね。
ミヤ「帰っちゃったんですかね? 疲れも溜まっていたでしょうし」
シヤ「ミゲル片付けサボったんだよきっと、怪我したユアがしているのになんで男!」
ユア「まぁまぁシヤ落ち着いて、それに私の怪我は偶然近くにいた魔法師さんに治癒魔法かけてもらったから平気だよ」
シヤ「そんな問題じゃない! それにユアは気付いてなかったかもしれないけど、あの魔法師なんて魔法かけながらユアのこと見て凄い鼻の下伸ばしてたんだよ‼︎ 襲われなかったから良かったものの、あんな無防備にしちゃダメ! ユアの魅力に負けてそのまま襲われでもしたらどうするのよ!」
シヤが言ってることはあながち間違っていない、というより正論。私だってそれぐらい分かってるし、誰にでもあんな無防備にするわけじゃない。何故か私には小さい頃から相手の目を見るだけで相手の性格や少しだけ考えていることが分かる、さっきの魔法師の人に邪な考えを感じ取れなかったし悪い人じゃないことが分かっていたから任せたんだけど、まぁ結構全身に痛みがあったから誰でもいいから治療してくれとも思っていたけどね。
ユア「すみません、以後注意します」
この能力については誰にも話す気はない、話したくない。
自分の考えが少なからず私に読まれてしまうなんて知っていい思いをする筈がない、それにそのことで相手から嫌われるのが怖い。シヤとミヤなら受け入れてくれると信じているんだけど、もしものことを考えてしまって言い出せない。もし今この2人に嫌われたり避けられたりでもしたら、また以前の私に逆戻り、いやもっとひどくなると思う……2人と出会って5年、私は大きく変わった、それ以前の私といえばお父様やお母様以外の人には敵意をむき出しにして誰も近寄れない様な雰囲気だった、それが今ではシヤとミヤをはじめとしてたくさんの人のことを愛することができるようになった。もう前みたいになりたくない……。
でも今はそんなことを考えている場合じゃない、フォールとロッドも見当たらない、すごく嫌な予感がする……。
ユア「ロイヤー君にマイク君、フォール君はどこに行ったの?」
私は近くで一緒に片付けをしていた2人に尋ねた。
ロイヤー「え? フォール様とロッドならミゲルを連れてあの入り口からでていきましたよ」
マイク「おいどんも見たでごわす」
一向にマイク君のキャラが分からないんだけど……って、ウソ……もしかして、2人がミゲルに逆恨みして……いやいや、私と約束をした時の2人の目を見たらそんなこと有り得ないよ……。
ユア「シヤ、ミヤ私ちょっとミゲルのところに行ってくる」
シヤ「何かあったの?」
ユア「フォール君とロッドさんの3人で出て行ったってロイヤー君とマイク君から聞いて急に不安になって……」
ミヤ「それは心配ですね……今どこにいるか分かってるんですか?」
ユア「分かんないんだよね、今から街を見て回ってこようと思って」
ミヤ「無闇矢鱈に探すよりまずは情報収集をした方がいいしょう」
ユア「で、でもそんなことしているうちにもしかしたら……」
ミヤ「私も不安ですけど、場所も分からないのにこの街を探すとなると流石に時間がかかると思います、ここで取り乱してしまって、情報なしに飛び出してしまっては見つかるものも見つからなくなってしまいます」
ユア「う、うん、そうだね、それじゃあロイヤーとマイクにもっと詳しく聞いてくる、アドバイスありがとう」
シヤ「待ってよユア、私たちも手伝うに決まってるでしょ、ユアが困ってるのに助けてあげないわけないでしょ」
ミヤ「そうですよ、それにミゲル君ももう私たちはのお友達ですからね」
ユア「ありがとう2人とも、それじゃあ行こうかって、あぁ‼︎ ミゲル!」
私たちはが探しに行こうとしたその瞬間、ミゲル1人が嬉嬉悠々と帰ってきた。
ユア「ミゲル! どこ行ってたの、心配したんだよ!」
ミゲル「ごめん、フォールとロッドに頼みたいことがあるから来てくれって言われて、ちょっと出てたんだ」
シヤ「まぁミゲルになにもなかったなら良いけど、あの2人はどこ行ったの?」
ミゲル「もういないよ」
ユア「え?」
なんだろう、今のミゲルは私が知っているミゲルじゃないような気がする。
ミゲル「いやいや勘違いしないでね、僕は伝言を預かっただけなんだよ。ロッドは今のままじゃ衛兵になっても誰も守れやしねぇ、強くなるために隣街にある道場に弟子入りしてくるって、フォールも父上に頼ってばっかりではダメだ、1人でも生きていけるようにロッドについていくっていってそのままいっちゃって、その事を伝えておいてくれって頼まれたんだ」
シヤ「えぇ〜? あの親離れできなさそうなフォールがそんな事言ったの? なんだか信じらんない」
ミヤ「これもユアさんの説得のお陰ですね」
ユア「そこまでやらなくても良いと思うんだけどなぁ〜」
シヤ「まぁミゲルも無事だった事だし一件落着! ……それじゃあ片付け再開しようか」
本の片付けを終え、今日はそのまま解散ということになった。
シヤ「それじゃあ2人ともまたね!」
ミヤ「ユアさん、ミゲル君今日はありがとう、それじゃあまた!」
そう言うと2人は家路についた。
私はしばらくミゲルと歩き。
ユア「じゃあ私はここ真っ直ぐだから、何かあったり遊びたい時は私のところに来てね、ここ真っ直ぐ行くと大きな館があるから」
――そう言い私が帰ろうとした時。
ミゲル「ユア、明日僕のうちに来ない?」
ユア「ん? あぁ、いいね! シヤとミヤは私が一緒に連れて行くよ、何時頃がいいかな?」
ミゲル「いや、ユアと2人がいい……」
ユア「え、でも私たちは4人で……」
ミゲル「お願いだよユア!」
ミゲルはいつもより語気を強めて言った。
もしかしてなにか相談でもあるのかなぁ……それだったら聞いてあげなきゃね。
ユア「分かった、ミゲルがそこまで言うなら明日は私1人で行くよ」
ミゲル「ありがとう! じゃあ今日と同じ時間に! あっ、因みに僕の家はこの通りを真っ直ぐ行ったところだから、家の前で立ってるから、すぐわかると思うから、それじゃあまた明日!」
私はその後のんびりと歩いて帰った。
そういえばミゲルの家があるって言っていた通りって街でも屈指の高級住宅街だった筈なんだけど、ミゲルって確かお父さんもお母さんも亡くなっててお金も結構困ってたはずなんじゃ……まぁ色々な事情がミゲルにもあるだろうし、あまり気にしない方がいいかな……それよりもミゲルの様子が変わっちゃったことの方が大事だよ。別れ際の時だって、あったばかりの時や街を案内してくれた時とは全然違ったし、何かあったに違いない。私に手助けできることなら助けてあげたい。
その為にも何としても明日は何があったか聞かなきゃ。
家に帰ってからはお父様とお母様に怪我の説明をしたんだけど、なんとか誤魔化せた。多分何も治療して貰わずにいたらダメだっただろうけど、魔法師さんの治癒魔法である程度傷も治ってたから、段差で躓いてこけちゃいましたって言ったら信じてもらえた。お父様は笑ってたけど、お母様は、大丈夫ですの⁉︎ お医者様を⁉︎ と、終いには泣き出して謝っていた。いつも思うんだけど私の事になるとお母様は敏感になる、嬉しいんだけど、なんだか恥ずかしい」
報告した後はいつも通り夕食を済ませ、湯浴びをして、部屋に戻るとベットに倒れこみ、そのまま深い眠りについたのだった。某のび◯君に負けず劣らずのスピードだったとか。
ーーーーフィヨルド・ある家ーーーー
老爺「お前は一体この時間まで何しとったんじゃ! 昨日はあの程度で済ませてやったが今日という今日は許さんぞ!」
老婆「お前のような頭の悪い子供を態々住み込みで働かせてやって育ててやってるというのに、あんたは……」
五月蝿い人達だなぁ、育ててやったって、いくら働いても碌に金ももらえず、食べるものだって、犬の餌のようなものばっかりだったじゃないか。まぁ少し前の僕ならそんな事でも恨んでいたかも知れないけど、今の僕は違う。守るべき人ができて力も手に入れたんだ、こんな屑共のことを考えるだけ無駄なんだよ。
ユア、孤児で汚く、金もない、何の取り柄もない僕を2度も守ってくれた。しかも今日の出来事は今考えるだけでもゾッとする、あの時もしもユアが死んじゃってたら僕も今頃は……でもユアは生きていた、その結果だけで僕には充分だ。ユアに会うまで僕は生きている価値すらないと言われ、みんなから蔑まれ、弱いからと理不尽な暴力を受けてきた。生き甲斐も目標もなく、自分自身でも何の価値もない人間だと思っていた。
だけどユアはそんな僕を受け入れて、僕のことを思って助けてくれた。そのおかげて僕には生き甲斐が見つかった。
ユアをこの手で幸せにする。
僕はこの人生を自分の命をかけてまで救ってくれたユアの為に尽くすって決めたんだ。その為ならどんな事でもする、人だって殺す、国だって相手にしてやる、今の僕にはそれをできるだけの力がある。
老爺「おい、聞いてるのか! こっちにこいお前に罰を与えてやる」
それにしても鬱陶しいなぁ、あぁそれより明日ここにユアを招待したんだ、ちゃんとゴミは掃除しておかないと。
老婆「聞いてるのかい! はやくあっちに……」
――バタッ。
老婆はミゲルの手によって胸を貫かれ絶命していた。
老爺「ば、ばあさんや! お、お前一体何をやったんじゃ! 武器を隠し持っていたな!」
ミゲル「違うよ主人様、あなたの奥様は僕のこの手刀に貫かれたんですよ。とても便利でいいんだよ、剣を斬ることはまだ難しいけど人ならこんな風に綺麗に切れるしッ!」
――スパーン!
ミゲル「さぁ! 明日の準備をしなきゃ! ユアはなにが好きなんだろう……明日のことが楽しみで仕方ないや」
次話の前に色々な詳細をいれるかもしれません
昨日から以前ブッカー賞をとった日の名残を読んでるんですけどつい時間を忘れて読んじゃいますね。私も貴族として生まれてみたいなぁとここ最近思ってます。執事は私には無理です。無理なんです…
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