6話 侵攻
投稿が遅れてすみません(^^;;
----パルチア王国 インディール帝国との国境付近----
日が沈みあたりが闇に包まれている中。
パルチア兵A「あぁ〜全くやってらんないぜ、夜中の歩哨はよぉ〜」
パルチア兵B「全くだ。司令殿は今夜も女を連れ込んでよろしくやってんだろうな。全く羨ましいもんだ」
パルチア兵C「おぉ〜い!酒持ってきたぞ!」
そう言いながら1人の兵士が走ってきた。
ここは帝国との国境に近い重要拠点のひとつ、マグヌ砦だ。
パルチア兵C「歩哨お疲れさん。今年は帝国の方では水害や日照りで戦争どころじゃないって分かってんだ、真面目に見張る必要なんてないんだぜ」
パルチア兵A「そりゃそうか、司令も楽しんでんだ、俺らが少し羽目を外そうが罰なんてあたりゃしねーか」
パルチア兵B「ちげぇねぇ」
そう言うと3人は早速持ってきた酒を飲みはじめた。
だいぶ酒が回り始めた頃。
パルチア兵A「そんでよ、そしたらあいつションベン漏らしやがったんだ、ほんと根性ねぇ奴だろ?」
パルチア兵B「あいつらしぃじゃねぇかよ」
パルチア兵C「へっへっへっ、本当に馬鹿な奴だな」
そんな談笑をしている3人の後ろに、190センチほどあろう黒装束の男が忽然と現れた。しかし3人は話に夢中になっているのか酒が回りすぎて注意が散漫になっているのか全く気付かない。
黒装束の男「非常に嘆かわしい、お前達のような塵を相手にしなければならないなど」
パルチア兵A「んだぁと?」
ようやく人がいることに気付き振り返った次の瞬間。
パルチア兵A「ぐわぁ……」
黒装束の男は素早く懐から長さ20センチ程の短刀を取り出し、相手の首元を切り裂いた。動脈を斬られた相手は大量の血飛沫を上げながらその場に崩れ落ちた。
パルチア兵B「き、貴様ぁ!なにもの……ぎゃあぁぁ!」
パルチア兵C「うぅ……」
即座に黒装束の男から距離を取り腰にかけていた剣を抜こうとした時、後方から2本の矢が2人の喉を貫通した。
黒装束の男「ふん、遅いぞルイ」
矢が飛んできた暗闇に向けて男は言う。すると奥から、同じ黒装束を纏った、身長150センチ程の、まだあどけなさが残ると男の子供が出てきた。手には2人を射るのに使ったのか、普通子供の力では扱えないような長弓を持っていた。
ルイ「いやいや完璧なタイミングでしょ、あのタイミング以外どうしろって言うんですかパルモンさん」
ルイという子供は頬を膨らませながら不満げにでてきた。その姿はまるで大人に怒られ、拗ねた子供そのものだった。
パルモン「ふん、しらばっくれるんじゃない、お前なら俺が短剣を抜くと同時にやれた筈だ」
ルイ「パルモンさんは僕を過剰評価しすぎですよ!それに見ました?あの2人の顔、凄く恐怖に染まってましたよ!いや〜あんな顔はいつ見ても堪らないですね!」
ルイは心底嬉しそうにしている。
パルモン「その癖をどうにかしろって言ってんだ」
ルイ「は〜い、ぜんしょしま〜す」
ルイは気怠げに返答した。
パルモン「はぁ……なんでお前は戦闘能力やセンスあんなに化け物なのに、そんなガキみたいなこと言うんだよ」
ルイ「いやいや、僕ガキだからね⁉︎まだピチピチで青春真っ盛りの15歳だからね⁉︎」
ルイは大袈裟に手を振り否定した。
パルモン「普通の15歳のガキが10歳の頃反乱軍を1人で300人も殺せるかよ……お、ルッカも仕事が終わったみてぇだな」
するとひとつの人影が暗闇の奥から現れた。
ルッカ「目標の司令は排除したわよ、ちょっと死ぬ前ってことで付き合ってあげたけどなによあれ、毎晩女を連れ込んでるって聞いていたから少しは私も楽しめるかと思ったのに、あんなチンケなもの付けていて恥ずかしくないのかしら。イライラしちゃったからすぐやっちゃったかわ」
暗闇から現れた人影は、官能的な身体づきをした170センチ程の美女であった。プンスカプンスカ怒っていた。
ルイ「まあまあルッカお姉ちゃん落ち着いて……はいこれお姉ちゃんの」
ルイはルッカを宥めながら黒装束を渡した。
ルッカ「ありがと〜ルイ〜、いつ見ても男前で可愛い!どう?お姉ちゃんとお付きあ」
ルイ「お断りさせていただきます」
ルイはずいぶん食い気味に断った。
パルモン「おいルイ、ルッカはお姉さんなんて歳じゃなくて、ただのおば……」
ドン!!!!!
ルッカ「んだぁとぉ⁉︎おい糞爺、もういっぺん言ってみろや」
ルッカは目にも留まらぬ速さでパルモンの胸倉を掴み、そのまま張り倒した。
パルモン「ぐ、ぐるぢぃ……ぢぬ、ほんどぉにぢぬ」
パルモンの顔がみるみる青白くなってきた。
ルイ「ルッカお姉ちゃんパルモンが死んじゃう!死んじゃうからやめて!」
ルイは必死に止めに入った。その後しばらくしてようやくルッカの怒りが収まり、パルモンは解放された。
ルイ「あぁ〜……パルモンさん意識飛んじゃってるよ……年上は敬わなきゃダメだよルッカお姉ちゃん」
パルモンは痙攣を起こしながら口から泡を吹いていた。
ルッカ「悪いのはそっちのじじいよ、レディーに対してあんなことを言おうとしたんだから、殺されなかっただけましと思えば良いのよ。いっつもいっつも本当に!」
ルイ「でもこれじゃあ他のみんなにどうやって作戦終了の報告をするのさ」
ルッカは、「はっ!忘れてた」というような顔をした。
ルイ「ほら、ルッカお姉ちゃんはもっと後のことを考えて行動しなきゃ、パルモンは仮にも僕ら黒豹部隊の隊長なんだし。それを副隊長が張り倒してどうするのさ」
ルイは意識のないパルモンを起こそうと必死に頬を叩いている。心なしか赤く膨らんできている。
ルイ「だ、大丈夫よ!いつも通りお姉さんに任せなさい!」
そう言うとルッカはパルモンの懐から小さな笛と小袋を取り出した。
ビューーー!!
パルモンの懐から取り出した笛を鳴らすと50名ほどの、同じ黒装束を纏った人影が集まったきた。
男A「おい、パルモン隊長はどこだ?」
女A「知らないわよ、どうせまたルッカ副隊長に何か言ってやられたんでしょ」
男B「パルモン隊長も懲りねぇな」
と集まってきた者達は小声で話していた。
ルッカ「よし!報告をしろ!」
男C「監視塔、敵24、排除完了」
男D「こちら哨戒班、敵10、排除完了しました」
女B「宿舎、敵65、排除完了」
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ルイ「以上で全分隊の報告完了です」
ルッカ「よし、全作戦の完了を確認。あとは本隊が到着するのを待つのみだ!よくやってくれた、明日からは半分の分隊は休暇で1日おきに交代しろ、以上だ!解散」
すると1人の男が
男「ルッカ副隊長!パルモン隊長殿はどこへ行かれたのでしょうか!隊長の御命令が無いと我々も終了できません!」
ルッカは溜息をつき、先程パルモンの懐から取り出した小袋を男の方へ投げた。
ルッカ「それは隊長からお前達に対する個人的な報酬だ、それで酒でも買って英気でも養えとのことだ。隊長は残存がいないか周囲を捜索している為ここには来ていない、いいか?」
黒装束の者達は「ヤッホー」、「流石隊長殿!いや、副隊長様!」など、歓喜の渦の中だ。
ルイ「いつもこれだよね、みんなも隊長のことよりも、そうやってお金をもらうことの方が大事になってきてるよ。それにパルモンさんもいっつも大金を持っているのもなぁ……」
ルイは未だに意識の戻らないパルモンの側に来てつぶやいた。
ルッカ「いいのいいの、これでみんなが幸せになるんだから!」
ルッカはそう言うとルイにウィンクをして、「一応、私がやりもらしがないかみてくるわね」と言い、闇に消えていった。
ルイ「はぁ、隊長はいっつも幸せになって無いんだけどなぁ」
ルイはそう言い、パルモンの頬をまた叩き始めた。
ルイ(あっ!やべこれ気持ちぃ!)
----フィヨルド ミゲル宅(仮)----
ユア「––––––ん、ここはどこ?」
ユアは窓の無いそこそこの広さがある部屋の真ん中に置かれた、キングサイズの豪華なベッドの上で横になっていた。
ってあれ?このベッド……それに周りの調度品、どこかで……っあ!
ユアが何かが分かったと同時に部屋のドアが開き、ミゲルが入ってきた。
ミゲル「おはようユア、2日前はごめんね、でも分かってほしいんだ、これもユアのことを思って、ユアの為にやっていることだってね」
私は2日も眠っていたんだ……お父様やお母様も心配している筈だよね。それよりも……
ユア「ミゲル、この部屋の物はどこから持ってきたの?」
するとミゲルは嬉しそうに。
ミゲル「気付いてくれた?僕もユアがこれから暮らす部屋だからなるべくユアが喜んでくれるような部屋がいいと思ったんだけど、僕は女の子の好きな物なんてわからなかったからね、どう?いい部屋でしょ?」
ユア「だから、どこから持ってきたのか聞いてるの‼︎」
私はつい怒鳴ってしまった。
ミゲル「ダメだよそんな顔しちゃ、ユアの綺麗な顔が勿体無いよ……」
ユア「そんなことはいいから答えて!」
私の中の不安が段々と大きくなってきた。
ミゲル「大丈夫だって、ちょっとユアの部屋から貰ってきただけだから、そまそもこれからはここがユアの部屋なんだ、あそこにあるよりこっちに持ってきた方が有意義ってもんでしょ?」
うそうそうそうそ、やめてよ……
ユアは不安で押しつぶされそうになっていた。それをみたミゲルが優しくいった。
ミゲル、大丈夫だよ、ちょっと手を出してきた人達を軽くあしらっただけだから。でもあんな程度でユアを守ろうなんて呆れたよ……あぁ、殺してはい無いから安心していいよ」
笑ってる、なんでこんなことをして笑ってられるの?私は段々貴方のことが分からなくなってきた……
ユアは微笑みかけているミゲルの顔を一瞬見たが、すぐに下を向いてしまった。それを見みたミゲルは悲しい顔になった。
ミゲル「ユア……なんで?僕は君の為に思って、この部屋だって……」
違う、これは私のためじゃない……全部ミゲル自身の為だよ、ここに私を閉じ込めておくのも、私が居なくなるのが怖いからでしょ……でも今のミゲルにそう言っても通じる訳がない、それどころかさらに暴走しかねない。私は一体どうすればいいの……
そんなことを考えているとミゲルは一転、心を決めたような顔になった。
ミゲル「ユア!僕と結婚してほしい!今はまだこんなだけど、一緒に暮らしていくうちに分かってもらえると思うんだ!そしていつか子供をつくって、幸せな家庭を一緒に、どうかな?」
ユアはそろりと顔をあげ、ミゲルを見た。
ユア「ごめんなさい、今の貴方とは……」
そう言うとユアは再び俯いた。
ミゲル「やっぱりそうだよね……でもまだ時間はたっぷりあるんだ!ユアに認められるような人になるように頑張るよ!」
そう言うとミゲルはユアの横に腰掛けた。
その後暫く無言の時が流れた。すると。
???「おじょ〜!おじょ〜!いるなら返事をしてくだせぇ!」
???「ユア〜!ユア〜!」
???「ユアさ〜ん!ユアさ〜ん!」
この声は!ダメ、今来ちゃ、危ない!
ミゲル「なんでこの場所が……まさかつけられていたなんてことは……いやない筈だ、来ちゃったんだ、仕方ない」
そう言うとミゲルは立ち上がり部屋を出ようとした。
ユア「待って!」
ユアはミゲルの腕を掴み言った。
ユア「お願い、あの3人だけは……いうこと聞くから……お願いします」
ユアは頭を下げた。
ミゲル「そんな……ユア、顔を上げてよ」
ユア「お願い…….お願い……お願い」
ミゲルは泣きながら縋るユアを見てある考えが浮かんだ。
ミゲル「ユア、聞いて…………いいかな?」
ユア「約束だよ……」
ミゲル「勿論だよ、ユア」
ミゲルはユアの頭を優しく撫でながら囁いた。
人物紹介
パルモン……インディール帝国 皇帝直属特殊機関 黒豹部隊隊長 表向きには第1軍所属
身長192センチ 61歳 年齢の割に若々しい顔つきをしている ほっそりとした体つきをしている
古参兵、18歳から兵士として各地を転々としていた。ルイの師匠でもある 女の相手が苦手
ルッカ……インディール帝国 皇帝直属特殊機関 黒豹部隊副隊長 表向きには第1軍所属
身長170センチ Fカップ 年齢不詳 整った顔立ちをしている美女 ルイにお姉さんと呼ばせている パルモンが嫌い
ルイ……インディール帝国 皇帝直属特殊機関 黒豹部隊第1分隊隊長 表向きには皇帝直属騎士団所属
身長150センチ 15歳 まだあどけなさが残る少年。目元がぱっちり、笑顔がかわいい美少年 ルッカにお姉さんと呼ばされている
9歳の頃に軍に特別入隊し当時10歳の頃に起こった反乱で反乱軍兵士300名が立て篭もった砦を1人で陥落させた程の力の持ち主、表向きには帝国に忠誠を誓っているが内心はそうでもない
相手の絶望する顔や恐怖する顔を見るのが大好き
ご覧いただきありがとうございます(≧∇≦)
今回は投稿が大分遅れてしまいすみませんm(__)m
色々な方々からのアドバイス、ご指摘を受け訂正をしていたらこんなに遅くなっちゃいました。
少しでも読みやすくなっているといいです
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次回投稿予定日は8月5日〜6日です