76話 緊急クエストを受けよう1
サボタンは、アイの肩に座る。
鎧の上で、歩く振動もあるのに落ちないよな。と、考えていたら、針10本が飛んできた!盾でガードする!カンカンカンと弾いた!流石、鋼の盾!この針は回収だ!
「仲間が増えた記念に、今日は飲むぞ!」
「飲む理由をつけんな!飲みたいだけだろ。」
「まぁ、今日はいいじゃないか。」
「うふふ。」
「キュピ!」
腕を組んでくるユリさん。狩人だから、鎧では無い。が、皮装備なんだよな。感触は味わえない!残念。匂いだけでも、堪能する事にしよう。
忘れていた。HNMのデススコーピオンが沸いたので、これを冒険者ギルドに報告しなくてはな。僕らも一応冒険者だから、報告義務がある。これを怠ると、ペナルティが少なからず発生するのだ。
冒険者ギルドに入り、ユリさんに説明をお願いする。元受付嬢だから、手際も良いだろう。その間、何か良い報酬のクエストを探していた。
「アレックス!これはどうだ?」
「灼熱の竜巻を越えた先にある、奇跡の花1つを取ってくる、か。これはランク9だから、無理だな。」
「では!これはどうだ!」
「砂漠の夜に沸く、ワイトキングを倒し、貴重な骨を奪って欲しい、か。これ狩れるのレベル40は必要だぞ。無理無理。」
「キュピキュピ!!」
「ん?お前も見つけたのか。キングサボテンクンを2体と、ビッグサンダーサボテンクンを1体倒して欲しい、か。うーん、行けるか?ウチのメンツで?」
「キュピキュピ!キュピ!」
シュシュとジャブをして、手を上げる。
「じゃあ、サボタンがアタッカーな!」
「キュピ!」
胸をドンと叩き、任せろ!と言いたげだ。
そういうやり取りをしていたら、ユリさんが戻って来た。
「あ!丁度良かった。これ受けようかと思うんだけど、どうかな?」
ユリさんは、少し溜めて話し出す。
「えとですね。明日、デススコーピオンの討伐が決まりました!緊急クエストです!」
「マジかよ!?」
「緊急クエストって、何?」
ピンキー、お前締まらないぞ。
緊急クエストとは、
冒険者ギルドが、町や村に災害を持たらすモンスターが沸いた時に、発行するクエストの事を言う。
今回は、デススコーピオン。
HNMで推奨レベル35以上で、9パーティーのフルアライアンスを組む必要がある。
僕達は、レベル平均20くらい。パーティーには、入れてもらえない。が、雑魚処理は出来る。フルアライアンスでデススコーピオンを抑え、雑魚は僕達のように中堅冒険者で対応するのがセオリーらしい。
「我でも戦えるぞ!デススコーピオンとやらせろ!」
「まぁ、決まった事だしな。」
「これで、安全にレベル上げ出来るわね。うふふ。」
「キュピ!」
これでいいのかと思うが、まぁいいか。冒険者ギルドが決めた事だし、それに従う事にする。
「倒した後の、素材で揉めそうだな。」
「え?何で?」
「猛毒デスサソリの爪がドロップするんだよ。売れば1千万円かな。」
「ほう!それだけあれぱ、串焼き何本食べれるんだ??」
串焼きで表現するなよ。でも、まぁ、3万本は食べれると答えた。何故ガッツポーズするんだ?
「人数で割ると、1/54ね。」
「ユリ!串焼き何本になるんだ!!」
「ざっくり15万円くらいだろ?」
「約18万円ですね。串焼きだと、600本かな?」
「ユリさんは、計算も得意なんですね!凄いですよ!」
「えへへへ。」
顔を朱色に染め、クネクネ体を揺らす。
「ぐぐぐ!何故そんなに減るんだ!アレックス!可笑しいでは無いか!我は困る!」
「キュピ!キュピ!」
サボタンも賛同すんなよ。後、針10本打つな。
「僕達は、その恩恵は無いぞ!雑魚は、報酬には入れてもらえん。」
「な、なんだとぉ!!!!」「キュピ!キュピーー!」
シンクロすんな。ユリさんまだクネクネしてるよ。何とかしてー!!
「そういやサボタンは何食べるんだ?」
「キュピ!」
コップに水を汲み、飲み干す。人間の使う道具を使えるとは、もう馴染むの早すぎだ。何も言うまい。
「明日の用意するから、お前達は留守番しろよ。」
「断る!」「キュピ!」
「すぐ飲み屋入るだろ!買い物したいんだよ!」
「だが、断る!」「キュピ!キュピ!」
「あー、もう、好きにしろ!」
「それでも、断る!」「キュピ!キュピ!」
「あ、じゃあ、留守番な。」
「ちょっと待った!アレックス!我は謝罪しよう!ではないか!」「キュピ!キュピ!キュピ!」
僕は長い溜め息を付いた。




