馬車の乗り心地を確かめよう。65話
魔王討伐が最優先事項だ!この事をしっかり言った。文句は沢山言われたが、何とか押しきった。
魔王討伐はハネムーンのついでだとか。
住む家は6LDKじゃなきゃとか。
子供は3人は欲しいとか。
正妻はどちらが相応しいとか。
とりあえず、魔王討伐してから!と言ったので、先伸ばしには成功したようだ。
今は、馬車に揺られている。
乗り心地は、もう最悪だ。吐きそう。
道等舗装されている訳が無い。雨が降り、土は削れ、ぐちゃぐちゃだ。馬車も、性能が良い訳では無い。安い荷台は、振動を吸収出来ないので、もう歩いた方が楽かもしれない。
ただ、救いはある。
ユリさんの膝枕をして貰っているからだ!
女の子って、何でこんなにイイ匂いがするのだろう?同じ石鹸を使用しているのに、不思議だ。
「我も膝枕したい!」
と、アイが言うが、鎧で柔らかさを堪能出来ないじゃないか!顔をケガするからと、やんわり断った。
ピンキーは、羨ましそうにこちらをチラ見するが、外の警戒を怠る訳にはいかない。馬の手綱を握り、扱いも随分上手くなった。
でも、このたまに脳に直接訴えかけてくる匂いは、何だろう?ツーンとかそういう嫌な感じでは無い。
「ヒヒーン!!」
馬車が激しく振動する!馬が足を上げて、立ち止まった!
「皆!モンスターだ!」
僕達は、馬車を素早く降りて、戦闘体制を整えた。
現れたのは、フレイムリザード5匹。
火を扱うので、とても厄介な相手だ!しかも、5匹と群れに遭遇するとは、運が悪い。
「僕が撹乱するから、1匹づつ処理してくれ!」
敵の真ん中に走り、特技 叫ぶを発動!
「喰らいやがれ!」
超音波の範囲攻撃で、フレイムリザードの動きを止めた。
「ぐぎゃあ!!」
このままでは、僕はフルボッコにされてしまう。
特技 トンズラ発動!
「ここは任せろ!」
ズガン!モンスターを置き去りに逃げる!
「俺の方を向け!」
ピンキーの挑発が発動!1匹フレイムリザードの群れから、引っこ抜いた!
トンズラで、モンスターとの距離を開けた。この距離を保ちつつ、1匹づつ挑発で引き抜き、仕留めていく。
「とりゃ!」「あっはっは!」「えい!や!」
残り1匹になったので、逃げるのを止めて、パーティーへ合流した。
「アレックス!ご苦労さん!」
ピンキーが労いの声をかけた。
「俺の方を向け!」
挑発で、ヘイトを上げる。
ヘイトとは、敵対心の事で、高ければ高い程、モンスターを足止め出来るのだ。
ヘイト管理出来るか、出来ないかで、生命線を分けると言っても過言では無い。
ピンキーが壁役に徹してくれるお陰で、狩りは安定していた。盾、アッカーがいて、回復が居ないんだよな。まぁ、ケガしなければいいだけだが。
日も暮れて来たので、野宿する事にした。馬車から、荷物を降ろすのに、荷台へ乗り込む。
あれ?ユリさんの座っていた所が、濡れているぞ?指で触ってみる。粘っとしていて、糸を引く。何だろう?
また、スライムだったら、あの悪夢が甦る。
しかし、覚えのある匂いだな。この脳に直接訴えかけてくる匂い。
特技 調べる発動!
「この液体は何?」
『ゆりの体液。以上。』
僕は、思わず舐めた。




