水浴びしよう。62話
「どうしてこうなった?」
僕は、ズボンの裾を捲り上げ、脛まで水に浸かっている。振り向けば桃源郷が、そこにはあるだろう。
しかし、振り向いてはならない。死が訪れる、これは免れない事実なのだ。
「アレックス!ここの水は冷たいな!気持ちいいぞ!」
「こっちに来てもいいんですよ?キャ!うふふ。」
二人は多分、裸だろう。体を洗っているのだから。
僕とピンキーは、見張りだ。ピンキーは、10メートル向こう側に居る。そして、僕は何故か、水の中だ。しかも近い。
悪魔の囁きが、僕を揺さぶる。
『おい!女の子が誘ってるじゃねーか?お前男だろ?』
《いや、無理無理。ユリさん以外を見た瞬間、あの世だよ?》
『バカ!リスクの無い賭け事何てのはな!この世には無いんだよ!手を伸ばせばそこにあるんだぜ?』
《お預け状態なのは、分かってるよ。》
『はん!チンチン付いて無いのか?覗きは漢のロマンだろ!』
《ロマンで命消費したくない!》
『じゃあ、オレが見てくるぜ!』
《おい!ちょ!おま!》
『うひょー!?いい体してるぜ!うひひ!あれが観賞出来ないとは、お前も可哀想だな!けっけ。』
《じ、実況して貰えないだろうか?》
『このヘタレが!ありゃあ!間違い無くDはあるぜ!』
《D!だと!ゴクリ!》
『けっ!Bだな!形はいい!美乳か!』
《うぐ!B!でも、それはそれでいいかも。》
イヤラシイ手のひらの動きをさせる。
『このド変態が!でも、嫌いじゃねーぜ?』
ここで、僕の善の声がする。
〔ダメよ!悪魔の言う事を聞いてはいけない!見たら死よ!死!分かる?〕
『お前も本当は、見たいんだろ?』
〔何をバカな事を!触れて死ぬから本望だけど、見るだけ何て耐えられない!バカじゃないの?〕
《あれ?方向が違う方へ進んでる気がする。》
『感覚より、まず視覚だろ!脳に焼き付けるんだよ!』
〔記憶何て曖昧よ!ラッキースケベの素晴らしさを知りなさい!肘が先に当たったり、お尻に股関が触れたり!もう!我慢出来ない!〕
『バカ言うな!チラリズムの方が上だ!上!暑いから、シャツの襟を少し引っ張り、風を起こす!先が見えるかどうかの、このもどかしさ!見えたら、どうしよう?のドキドキ返せやぁ!!!』
《もう訳が判らないよ。》
バッシャーン!僕はどうやら水をかけられた様だ。
「服がびしょ濡れじゃないか!アイがやったんだろ?」
「ん?我では無いぞ!」
「じゃあ、ユリさんがやったと言いたいのかよ?そんな事する訳ねーだろ!」
「我では無い!何故そんな事をしなければならない?」
アイが怒っているのが分かる。うーん、ユリさんがやる訳無いしなぁ。
ザバザバ!肩を掴まれ、振り向かされた。
「我では無いと言ってるだろが!」
まん丸な2つの丘が、僕の前に現れた!
ああ!死んだ!見れて悔い無し!涙が止まらなかった。




