野宿しよう。60話
パチ、パチ、パチ。
夜の寝静まった頃、焚き火に薪をくべる。
僕は、木に持たれかかっていた。見張りだ。火を消すと、モンスターが寄ってくるし、目が見えない。誰かが番をしなくてはならないのだ。襲ってくるのは、モンスターだけとは限らない。盗賊や山賊といった、輩とも戦う事もある。海には海賊がいるらしい。でも、誰も遠くへ行った事が無い。船を作る技術が足りないのと、海賊が出るからだ。
僕は、眠気覚ましに珈琲を啜る。
むくりと、ピンキーが起き上がった。トイレに行く様子だ。
「ピンキー!トイレ行くなら、武器持って行け。」
「うー、分かった。」
剣を握り締め、少し離れた場所へ行く。
モンスターも寝るが、夜行性の方が多い。狼や、ハイエナがその代表格だ。熊も出るが、一度は狩りたい。熊の胃は、高く買い取ってもらえるか。しかも、独特な味だが肉も食べられるから一石二鳥。
ガサガサ!
緊張が走る!現れたのは、ソードタイガー!
剣並みの切れ味の歯が、冒険者を切り刻んだ事から、その名が付いた。かなりの強敵だ!
「アイ!ユリさん!起きて!ソードタイガーが襲って来た!」
後ろをチラリとも見る暇も無かった。目を剃らせば、間違い無く噛み殺されていただろう。
「ガオオォ!!」
ソードタイガーが噛み付き攻撃を仕掛けてくる。
僕は、ファントムフルーレを握り締め、ガキーンと歯を弾く。ソードタイガーは、少し後退した。これは、チャンスだと前に出る!が、斬撃は空を切る。ジャンプして避けられたのだ。
鋭い爪が、僕を襲う。盾でガードし、弾き返す。その隙に、切りつけた。ソードタイガーの皮膚は硬く、擦り傷抵当しかダメージが与えられない。斬撃耐性持ちかよ!僕は、ギリギリと歯を噛み締める。
ソードタイガーの体当たり!速い!避けらないので、盾でガードするが、弾き飛ばされる。
「がは!」
ザザー、となるが、体勢を整える。盾を持った手を地面に付き、何とか転ける事は無かった。が、この隙を見逃すハズも無い。ソードタイガーの突進!ヤバい!あれを食らったら、間違い無く負ける!ゴロゴロと転がり、突進を避けた。
「く!ソードタイガーを見失ってしまった!ヤバい!」
焦りで、どうしようも無い。アイやユリさんを見るが、まだ寝ている!こいつら大物だよ!凄いな!あはは、は。
「ガオオォ!!!」
上から聞こえる!真上を見ると、ソードタイガーの上空からの噛み噛み砕き!両手で盾を構え、必至に足を踏ん張る!
ガアアアアン!!!
激しい衝撃で、吹き飛ばされる!盾も剣も何処かへやってしまった!
武器になるのは、石くらいしか無い。
死んだな、終わった。
選択肢は3つだ。
1、仲間が助けてくれる。
2、ソードタイガーが逃げる。
3、奇跡的に何かを思い付き、ソードタイガーを倒す。
絶望だ。1は起きないから無理。2はお腹を空かせているから、見逃すハズも無い。3は何も思い付かない。くそ!何か、何でもいい!武器を!
はっ!まだ1つだけある。石があるじゃないか。
僕は、石を握り締める。
特技 石を投げる発動!
「超必殺奥義剛速石烈風覇!!」
ドビューン!!!ドガン!
「キャイ~ン!」
ソードタイガーは石をぶつけられ吹っ飛ぶ!
レベル2の時は、タンコブ作るくらいだったのに、明らかに凄まじい威力となっている。この特技、もしやレベル依存なのかも?
「勝機を見つけたり!!!!!」
僕は、手当たり次第石を拾って投げる!
「超必殺奥義剛速石烈風覇!超必殺奥義剛速石烈風覇!!」
何度も何度も、ソードタイガーに投げた!
ついに、口から血を大量に吐き倒れる。
「や、やったぞ!!はあああ!うっしゃあ!!」
勝利に歓喜した。こんな使えない特技に、まさか命を救われるとは!遊び人も捨てたモンじゃないな。
調べるの特技は、とても高性能だ。しかし、追い詰められると、いざと言う時には、役に立たないんだなと実感する。
ガサガサ!
またモンスターか!?かなり疲労しているから、次はヤバいぞ!
「何か大きい音したけど、何かあったの?」
そこには、ピンキーが居た。
僕は膝を付き、項垂れた。
「もう、ダメ。」
そして、仰向けに倒れる。
「おい!大丈夫かよ!血だらけじゃないか?!」
ピンキーは、トイレに行って道に迷っていたそうだ。
因みに、朝になるまで、二人は目を覚まさなかった。女は強い生き物だなと、深く心に刻んだ。




