僕の職業は勇者ではありません。5話
「しかし困ったのぅ。」
暫くの間、沈黙が流れる。
「王様。発言宜しいでしょうか?」
「うむ、述べてみよ。」
僕は、アランの装備品を献上する事を伝えた。勇者専用だから僕には装備出来ないし、勇者に転職するのは絶望的といえよう。
「うむ、それならばそうしよう。」
「王様!一つお願いが。」
「よかろう。」
「ありがとうございます!」
「して、何を望む?」
「鋼シリーズ一式と鋼の剣を用意して欲しいです。」
ブファーッ!
クラーク大臣が飲みかけの水をぶちまける。
「バッカモーン!!!そんな高価なモノを用意出来る訳無いだろう!?」
この辺りで売っているのは、精々銅の剣。
文字は似ているが、全く異なるモノ。魔王城に最も近い町リムルにしか売っておらず、しかも金額は鋼シリーズ一式+鋼の剣で300万円だ!
兵士の月給が10万円くらいだから、破格の値段と言えよう。
「そもそも、遊び人に装備出来ないだろ!?」
「あ、出来ます。古い書物を調べた所、カッタール王子が装備してますね。遊び人の職業を発見したのは王子ですから。」
カッタール王子とは、過去に存在する遊び人の職業に、最初に付いたとされる人物。彼が鋼シリーズを装備していたのだから、問題無いだろう!
「鉄の剣でよかろう?!」
「まぁ良いではないか。よかろう。準備しよう。」
「なんと!?王様!今年は不作為で税金が、昨年よりも落ち込むのは避けられませんぞ!」
今年は特に雨が降らなかった。作物は恵みの雨が無ければ育たない。雨が嫌いだから、降らなければ良いのに!とか言う奴もいるし、こう言うだろう。肉を食えば良いと。
それは間違いだ。よく考えて欲しい。
雨が降らない。
↓
作物が育たない。
↓
動物が居なく無なる。
↓
結果、食べ物が無くなる。のだ。
「中古でも構わないな?」
「はい!」
「では、ワシのをやろう。」
「本気ですか?!あれは亡くなったスワン王子の形見ですよ!?」
「使わなければ、ただのインテリアではないか。」
「・・・・よろしいのですか?」
王様は静かに頷いた。
「勇者アランには世話になったし、これくらいは良い。覇王装備も返却されるのだからな。」
クラーク大臣は、王様に頭を下げる。
「準備には時間がかかる。夕方にもう一度訪れるが良い!では、謁見はこれにて終了とする!!」
僕は、ホッとため息を付き、胸を撫で下ろした。
18年も稼ぎが無い状態だったのだ。いくら魔王討伐で報酬を貰っていたとしても、底を着く。遊び人だから、魔王討伐は免除されるだろう。弱いモンスターを最高装備で葬ふればいいやと思っていると、クラーク大臣に呼びつけられる。
「アレックス!お前はこれから小二時間説教だ!」
予想外キター!?
顔面神経痛って、こんな感じになるんだなと体感するのであった。




