港町を観光しよう。57話
夕日が海に差し掛かっていた。
とても、綺麗で心が洗われるようだ。
「アレックス!何で来なかったんだ!」
ピンキーは、その雰囲気をぶち壊した。
「空気読めボケ!」
「え?何だよ!空気って!見えないじゃんか!」
こいつは、一生空気読めないだろうな。
「どうしたんだ?何かあったのか?」
「どうしたじゃないよ!高台で、ずっと待ってたんだぞ!」
あー、忘れてた。何かスッキリしないと思ってたんだよ。これで、今夜はゆっくり寝れる。
「おお!ピンキー!今まで、どこでサボっていたのだ?」
「カニカニ♪ミソ♪うふふ♪」
「サボってないよ!で、カニって何?」
「お前!カニ知らないとは、珍しい奴だな!」
「カニは知ってるよ!」
からかいがいのある奴だ。
「今からカニ食うぞ!カニ祭りだ!」
「カーニー!」
「もう訳が解らないよ。好きにして。」
「あれ見ろよ。な?」
「ぐお!デッカイなぁ!これどうしたの?」
「三人で倒したんじゃないか。な?カニ食いたかったから。ピンキー、お前を忘れてたんじゃないぞ?」
とりあえず誤魔化す。
「大ハサミカニとは、規模が違うね。」
「これは地獄の大ハサミカニよ。」
「ぶ!NMじゃないか!・・・・・・よく倒せたね。」
ノートリアスモンスター、通称NM。
出現パターンは3つある。
1つ目は、通常モンスターを倒すと、低確率でポップする。直ぐにポップする場合もあれば、5時間狩りつづけてもポップしないケースもある。
2つ目は、時間経過でポップする。倒されてから、数時間経過後、ポップする。72~106時間も待たなくてはならないモンスターも存在する。
3つ目は、トリガーアイテムで、ポップさせる。
だ。今回は、3つ目のトリガーアイテムを使用した。
大サザエは、食べても美味しいが、トリガーアイテムとしても使える。安いし、旨いし、コスパ最高だ。
トリガーアイテムを使用した場合は、リキャストタイムが発生する。まちまちだが、約1日も過ぎればポップ条件を満たす。
「こ、これ、どうやって、調理するの?」
「茹でるに決まってるだろ!」
「こんなの茹でられないよ。そんな大きな鍋売ってないじゃないか!」
「買うんじゃなくて、作るんだ!」
「どうやって!」
僕は、石を並べる。そして、穴を掘りそこへキレイに石を敷き詰めた。ドヤ顔で、ピンキーを見ると、嫌な顔をされる。
「よし!海水を汲んでこよう!」
いっぱいにしたら、カニを投入する。
「ユリさん!お願いします!」
「うふふ。カニカニ♪」
50分後、カニは茹で上がった。
カニの足を、剣で切る。剣で、足に切り身を入れる。
剣の使い方絶対おかしいな。まぁ、食えるんだから、贅沢は言わん。
自分の足より大きいカニの足。もとい、カニの身。
両手で掴み、ガブリと食らい付く。
「うおお!旨ぁ!」
「くうぅ!アレックス!我にビールを!」
「買ってねぇよ!自分で買いに行け!」
「はぅ!流石!大カニ身の霜降り肉!」
それにしても、旨い。霜降り肉って言っても、霜降り部分は無い。多分、それくらい美味しいから、過去の偉人が付けたのだろう。
1本全て食べたら、お腹がはち切れそうだ。もう何も入らない。残りは、身を取りだしてもらっている。ミソはデカイビンを購入し、それに詰めるそうだ。
甲羅の身は、ミートソースに漬け込み、保存食としておく。身を解したり、漬け込み作業は、僕達でも出来る。ユリさんばかりに頼っては、ダメだ。
ビンを眺め、うっとりした表情のユリさん。頬をビンに擦りつけている。そっとしておいてあげよう。
戦利品たが、カニの身以外にも、あった。
カニのハサミ。おい!普通だろ!は無しで。
それと、ファントムフルーレ、遊び人が装備出来る現在最高の武器だ。かなりドロップ率は低い。が、ドロップしたんだよなぁ。僕は、暫く緩む顔を正す事は出来なかった。




