レベリングしよう。49話
ここはニブル高原の積雪地帯。
勇者御一行は、レベル上げをしに来ていた。
狩りの獲物は、スノーゴーレム。
硬いが攻撃が遅いので、レベル上げには最適な敵と言えよう。適正レベルは8と低いが、防御力とHPが多いので、アタッカーが少ないと手こずる。攻撃力は、高い訳では無いが、殴られるとかなり痛い。スノーゴーレムの経験値は、200と低レベルとしては、まずまずだ。
経験値についてだが、何人で倒しても一律取得となる。
6人で倒しても、ソロで倒しても、皆同じだけ貰えるのだ。レベル差による増減も無いので、気軽にパーティーが組める。
但し、攻撃しなければ経験値は得られない。だから、カスらせてでも、当てなければならない。
又、モンスターの適正レベルより5上回ると、経験値を取得出来ないのだ。
アイとピンキーはレベル1だ。危険な事はさせられない。そこで、あるパワーレベリングを思い出した。
カッタール王子が実践していた、石を投げてレベルを上げる。題して『石投げパワーレベリング。』だ。
まず、配下の兵士にモンスターを釣りに行かせる。倒してしまわないように、十分気を付けて弱らす。動きの鈍くなった所で、石を投げる。当たったら、兵士達に倒させる。
3Aなレベル上げ方法だ。
3Aとは、頭文字の安全の『あ』安心の『あ』安泰の『あ』の3つのAを差す。
つまり、安全安心安泰なのだ。
『伝説のギャンブラーカル自伝』に載っているやり方である。因みに、カッタール王子は遊び人で、女遊びしまくっていた。しかし、王様にレベル上げしないと追放と告知され、慌てて、レベルを上げた事で有名だ。
その後、遊び人からギャンブラーに転職し、才を開花させた伝説のギャンブラーである。僕の師匠とも言って良いだろう。
狩りのやり方は、僕が安全な地帯へ、スノーゴーレム釣ってくる。アイとピンキーに、雪玉を投げさせる。命中を確認し、退避させてから倒すという流れだ。
「モンスター釣ってきたぞ!」
「出かした!」
アイはスノーゴーレムに斬りかかる!
ザンザンザン!!
スノーゴーレムを倒した。
「うおい!」
「アレックス!流石だな!レベルも幾つか上がったぞ!」
「違ーう!レベルアップおめでとう!だけど、違ーう!」
「ありがとう!アレックス!でも、何が違うのだ?」
唖然とするピンキー、あっはっはと笑うアイ。握り締めた雪玉が、虚しく空を切る。
「ドンマイ!とりあえず頑張ろう。アイ!お前は、とりあえず待て!だ!」
「我は犬なのか!?ペットか!?」
「ピンキーが、雪玉当てるまで、だ!」
「ならば仕方あるまい!」
「次釣ってくるけど、いいか?」
「ああ、分かった。」
僕は、スノーゴーレムを引き連れて来る。
「ピンキーが当てるまで、待つんだぞ!」
「分かった!」
ザン!
アイは、スノーゴーレムを倒した。
「あ、うん、まぁ、アレックス!レベルアップしたぞ!」
「お前は、アホか!」
「我はアホではないぞ!アイだ!名前を間違えるとは侵害だぞ!」
僕はアイの覇王の剣を取り上げる。
「これは預かっておく!」
「剣が無ければ、どう戦えば良い!?」
「さっき雪玉投げろ言っただろうが!バカチンがぁ!!」
「ねぇ、僕帰っていい?」
「ピンキー!ちょっと待った。覇王の剣が強過ぎるんだ。でも、もう大丈夫だ。」
「アイ!お前は強くなった!だから、次はピンキーの番。我慢するんだ!」
「成る程、分かった!」
こいつの分かったは、とりあえずビール頼むレベルだろう。
次は大丈夫と、心に刻みスノーゴーレムを釣る。
「アイ!我慢だ!我慢だぞ!」
「分かった!」
アイは振りかぶる!そして、雪玉を投げた!
ズキューン!ドッゴーン!!
スノーゴーレムに風穴が空いた!アイは、スノーゴーレムを倒した。
「えへ!やっちゃった。てへ。」ペロッと舌を出す。
こいつ『てへペロ』出しやがった!
ピンキーは、無言で帰り仕度をしだす。
僕はアイを木に縛り付け、二人でスノーゴーレムを狩り続けた。
「アレックス!縄をほどくんだ!放置プレイだと!?これはこれで良いが、あ、でも、このままだとレベルが上がらないぞ?ああ!何だ?この高揚感は!!」
スノーゴーレムを30匹程狩って、その日は帰る事にした。
何か忘れているなぁ?何だっただろう?
ドドドドドドという音が響く。何やら叫び声もする。
あ!アイを縛り付けたまま、忘れて来た。
3メートルもある木を根っ子から引っこ抜き、追いかけてくる!
「はぁ!はぁ!こんなプレイ!初めてだ!はぁ!あああああああ!!!!!!!」
僕は逃げた。




