仲間を作ろう。41話
ここは酒場の前の広場。
僕は、何故か人だかりに囲まれている。
向かいにいるのは、アイ。覇王の剣を装備している紛れもない勇者だ。
遊び人 対 勇者
決闘の火蓋は幕を明けようとしていた!
て、どう考えても、可笑しな響きだ。逃げたい!逃げ出したい!恥ずかしいから!
「張った!張った!遊び人 vs 勇者!倍率は10対2だよ!」
賭け事が盛んに行われている。皆イベント事が好きなのだ。娯楽といえば競馬、コロシアム、サイコロ等あるが、決闘は特に好まれる。人の不幸は蜜の味ってね。
「おい?どうする?大穴10倍だってよ。」
「漢は黙って、勇者一卓だ!オヤジ!1000円勇者ね!」
「大穴じゃねーのかよ!じゃあ俺も勇者5万円で!」
「おい!?5万円もかよ!リッチだな!」
「この間、馬で稼いだんだよ!何と25万!本命が、オオコケしてよ!ありゃあ泥レースだった。へへ。」
決闘とは、挑まれたら断る事は出来ない。逃げれば一生ヘタレのレッテルが張られる。冒険者ギルドはおろか、町での買い物も出来なくなる。死んでもお仕舞いなのだが、生き地獄と言って過言では無い。
「さあ!アレックス!剣を抜くが良い!」
「本気で決闘をするつもりか?」
「冗談で、命のやり取りをするのか?笑止!あっはっは!」
溜め息を付く。こいつを黙らせるには、勝つしかない。負けたら、あのアホと旅をしないといけなくなる。
僕は、右手を握り、プルプル震える。それだけは、絶対に嫌だ!
「ほう?やる気になったようだな?」
「約束してもらおう!僕が勝ったら、仲間にはならないと!」
口を吊り上げ、はにかむ。
「良かろう。だが、我が勝ったら、言う事を聞いてもらうぞ!」
遊び人 vs 勇者 ラウンド1ファイト!
僕は、突っ込む!
「不粋な!それは悪手だぞ!」
アイは、袈裟斬りをしてくる!
特技 トンズラ発動!
「秘技!すり抜け!」
キュイイン!僕のスピードは、3倍になる!袈裟斬りを避けて、アイの後ろを更に超え、行き過ぎる。
これは失敗では無い。
特技 石を投げる発動!
「眉間!ドーン!」
慌てて振り向いたアイの眉間に、見事石が命中した!
ドン!と言う音と、「キャン!」と言う声が同時だったとか、なかったとか。
アイは気絶していた。
遊び人 WIN!
このアホどうしよう?起きないよ。僕は、アイを仕方無く背負い、夕焼けを見ていた。




