生命の危機を回避しよう。32話
「ああん!迷っちゃうわ!」
僕の方を見て、ネックレスを幾つか胸元に当てる。
「ねね!どれが似合う?」
正解は、無い。どれを選んでも間違い、だ。
「ユリさん、どれもお似合いですよ?ただ。」
僕は言葉を詰まらせる。
「ただ?」
「ユリさんのお美しさには、どれも霞んでしまいます。」
「あら?ヤダー!」
バッシーン!僕は背中を強打された!例え、正解を選んも、叩かれるのだ。間違うと、命の保証は出来ない。
ここは、宝石店。
悪い言い方だと、軟禁されている。良い言い方だと、デート、だ。
「お嬢様!よくお似合いですよ!」
店員さんは、誉めまくる。
「おほほほほほ!」
バンバン!!追加の追撃がやってくる。た、耐えるんだ。命あれば、明日はやってくる!もう五時間もここにいるぞ。あの店員さんも、凄いな。
「これなんてどうです?」
おい!もう新しいの出すな!帰れねぇじゃねえか!
「あらまあ!?」
おいちょ!おま!これは、素人でも解る!間違い無く高い奴だ!ルビーじゃねーか!デカイ!デカ過ぎる!100万円はくだらないんじゃね?
「ねぇ!どう?」
「お似合いです!まさに相応しい!でも、少し大きいようで?ユリさんには、こちらの方が、スタイリッシュに使え、まさにエレガントで、ビューティーフォーだと思いますよ。」
「そうかしら?」
「いえいえ!それだと、小者過ぎます!やはり、お嬢様には、このタイプが間違い無いかと!赤は、情熱の赤!気品溢れる、愛に満ちた貴女の様な方でなければなりません!」
うおい!嘘だろ?ハードル上げんじゃねぇ!もうこれ買うしかねーだろ?マジか?金無いよ?
クルリと、僕の方を見る。上目遣いで、
「これがイイな?」
可愛い!くぅ!あの性格が無ければぁぁぁぁぁぁ!僕は叫んだ!
「買います!買いますよぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
僕は全財産を使い果たした。足りない分は、アランの遺品を売り払う。代金は、126万円だった。




