189話 最終決戦4
「何だ?お前は?それで強くなったつもりか?」
「言いたい事はそれだけか?旧魔王よ?」
「旧魔王?ふん!現魔王だ!お前こそ、偽物ではないか」
「偽物はどうかは、戦ってみれば分かる」
「その減らず口を、塞いでやるわ!」
竜子のパンチが炸裂する!
が、指1本で止められた!後ろからの攻撃だったのに、振り返りもせずだ。竜子は距離を取る。が、後ろにアレックスは立っていた。
「遅いぞ!旧魔王!」
「ぐぬぬぬ!ならば!」
ブン!ブン!ブンブン!!
「まるで扇風機だな!」
「小癪な!!」
ガシッ!!
竜子は、首を掴まれ、持ち上げられた状態となった!ステータスを確認すると、アレックスのレベルは174だった!竜子との差は、89もある。手も足も出ないとは、正にこの事だ。
「おい。死んで詫びろ!」
バキッ!!!!!
何十回転しているか不明なくらい、竜子は回転しながら床を転げ回った!床に這いつくばっている竜子は、呼吸をしているか怪しいくらい痙攣を起こしている。
「アレックスさん!もう止めて!実の妹でしょ!?」
「ん?ユリか」
ユリがアレックスの前に立ちはだかった!無謀だ。勝てる見込みは0%である。死ぬと分かっていて、それでも行かなくてはならないのは、アレックスの事を愛してるからだろう。私に出来るだろうか?無理だ。そんな事出来るなら、もうやっている!
「どうした?魔王をかばうなんて。
ひょっとして、情でも沸いたのか?」
「ニーナさんって、言うんですよね!」
「ん?ああ、そうだったな。もういいんだ。魔王を倒して、新世界を築こうではないか!」
「サボタンが居なくても、ですか?」
「うぐああ!!うううう!!頭痛が!そ、その名を呼ぶな!俺の前では、言ってはならん!」
「何度でも言います!
サボタンは何て最後言ってたんですか!!!」
「ぐああああ!!ええい!」
バキッ!
「キャアアア!!!」
ユリは殴られ、気を失った。
「男が女の子を殴るとは、最低だな!アレックス!」
竜子にハイヒールをして、回復を行っていたピンキーが言う。ピンキーは立ち上がり、アレックスと対峙した。
「死ぬ前に、遺言はそれだけか?」
「いや!まだだね!お前はいつもそうだ!自分だけが正しいと思っている事を!全部正解なんて無理なんだ!」
「舐めやがって!俺に指図するのか?ピンキーは、吟遊詩人をしていた方が良かったと思うよ」
「それが本音かい?でもね!僕には響かないよ!」
「煩い煩い煩い煩い煩い煩い!!!!!!!!!」
「僕の憧れだったアレックスにも、やっぱり欠点はあるんだ。僕は安心したよ。完璧な人間なんていないからね」
「何が言いたい!!!」
「サボタンが死んだのが、そんなに悲しかったんだね」
アレックスの目には、涙が流れていた。魔王になっても、気付いていなくても、本心では悲しかったんだろう。
「くそがぁあ!!」
ドッゴーン!!
ピンキーは吹き飛び、壁にぶつかった!動かない事から、気を失ったに違いない。
私は無力だ。仲間が倒れていくのを、見ているだけしか出来ないのか?
「アイ殿。最後に譲って貰うで御座るよ」
「き、京子!?」
京子がアレックスの前に立ちはだかった。無謀だ。でも、私達は全員ここで死ぬ。自分の死に方を自分で決めるのも悪くは無い。そう思った。
「ん?お前も俺に説教か?」
「いやいや、アレックス殿に、
逢い引きして貰いたいで御座るよ」
「ふふふ!はははは!はっはっは!よかろう!いくらでも楽しんでやるぞ!わははははは!!」
京子の胸を揉む。
「ああ!この感触だ!懐かしい!このザラザラのトゲトゲの感触が堪らん!!」
「そうで御座ったか!
良かったで御座るな!サボタンの形見で御座るよ」
「ぐえぇ!!!!!」
握っていた手から、サボタンの球根の花が落ちる。そして、私の目の前で止まった。
「サボタンは、アレックス殿を慕って申したで御座るよ
。これを探すのに、随分時間がかかったで御座る」
「うぐぁ!!!痛い痛い痛い痛い!頭が割れるようだ!」
「辛かったで御座るな!泣いても良いで御座るよ」
「ぐうぁ!やめろ!」
バキッ!
京子は吹き飛んだ。もうアレックスを助ける方法は無いのか!?サボタンの球根の花が優しく光る。
「サボタン!私の役目なんだな?」
ここで立たねば勇者失格!最後のメインを京子から譲って貰ったのだ!サボタン!私に勇気を下さい!球根の花を握り締め、縺れる足を奮い立たせる!




