178話 アレックス、お腹をくだす
再び、気球の旅となる。
到着予定日は、1週間後と長い。
荷物が重いのもある。が、人数が多いのが原因だ。
人が増えれば、荷物も必然的に増える。
何度も何度も、地上へと降りなくてはならない。小なら何とかなるが、大だと迷惑極まりないのだ。お腹をくだした日には、もう気球から外へ吊るされる!
拝啓、お母さん。
僕は現在、気球から吊るされています。もう下半身がスースーしてなりません!何故かってですか?パンツを履かせて貰えないからです!酷い仕打ちですよ!そして、鳥達が、僕のお尻を突っつきます!何とかなりませんか?
とりあえず生きてます。
お母さんには、会った事も御座いませんが、助けて欲しいです。親愛なるアレックスより。
「アレックスさん大丈夫ですか?」
「そう思うなら、引き上げて下さい」
「え?何て言いました?」
「そう思うなら!引き上げて!!」
「え??もう一度?」
「ユリさん今日も可愛いですよ」ボソッ
「いやん!もう!アレックスさんたら!!」
「聞こえてるじゃないか」
何度目か分からないくらい、このやり取りをしている。やはり、ツッコミ役は大事だよ。本当そう思う。
「ピンキー、腹くだしを治す魔法を覚えてないのか?」
「それがね、僧侶のレベル50で覚えるみたいなんだ」
「ピンキー君は僧侶レベル25だもんね」
「それにしても、この気球の中、広いな!」
「アイ様がお気に召して頂けるなんて、光栄ですわ!」
「ミーシャさん、腹くだし何とかならない?」
「想定外ですわ!じぃなら、何とかなるかもしれませんが、少し席を外しておりますの」
「え?気球から降りたの!?」
「ホバークラフトって、ご存知あります?」
「あー、羽を広げて飛ぶヤツね」
「それで先行してますの。何でも急ぎの用事だとか」
僕は考えるのを止めた。だって、入れて貰えないんだもん!それよりも、外の景色を眺める。ん?あれは?ギャースじゃないか!?うは!こんな時に、マジですか?
鳥のドデカイモンスター。トサカは尖っており、翼はゆうに5メートルはある!こっちに向かってくる!?
「うおい!!!助けて!!!ギャースが来てるぞ!!」
誰も返信をしてくれない。さっき、騒いだのが原因だろうか?嘘を付いて、何度も呼びつけたのがいけなかった!嘘つき羊飼いの話を思い出す。
「ギギギギギギ!!!!」
「はぁ、煩いヤツだな」
ロープを揺らす。そして、反動を付けてギャースの攻撃を避けた。が、旋回してくるではないか!
まぁ、想定内なので首を鷲掴みする!ボキッ!
「よし!今晩の食材ゲット!」
シュー!シュルシュル!ガシッ!シャーー!!
「あ!?」
「アレックスさん!ドンドン頼みますよ!」
ユリさんに没収さた。
もしかして、僕は釣りの餌ですか?
「アレックス様!」
「うぇへ!!??」
ビクッとなる!気が付いたら、隣にじぃさんがいるではないか!この人、マジで怖いよ。
「これを」
「ん?あ!ありがとうございます!」
「ほっほ!では!これにて!」
羽の角度を変え、何処かに消えて行った。渡されたのは、多分下痢止めだろう。デキル執事はやる事もスケールが違うのだ。ふと、思った。ナイフやフォークを複数手に持ち、投げる芸当が出来るんじゃ?深く考えてはダメだ。
とりあえず、貰った薬を飲み干した。
「うげ。不味いな」
味も不味いが、状況も不味い。
今度はラドンかよ!僕は、釣りの餌じゃないって!
その後、10匹程倒させられてのは、言うまでもない。




