176話 久しぶりの再開
「パーティーを開きますわ!」
何故こうなった?
レベル75になり、魔王討伐の条件は揃う。後は、必要な装備と消耗品を準備して向かうだけだ。なのに、パーティーだと!?正月にもした。そして、救出パーティーもやった。更に、またパーティーだと!?
「いや、ミーシャさん。もうパーティーはいいですよ」
「何を言ってますの!?勇者をお見送りするのに、パーティーは必須!開催しなければ、お父様の名に傷が付きますわよ!!」
「アレックス。諦めろ」
「一斉一代のパーティーにして差し上げますわ!」
ピンキーに諭され、僕は渋々受ける事にした。
後日、僕は唖然としていたのだ。
街には人が溢れ、城には沢山の馬車や乗り物で一杯である。自家用気球で、駆けつけた者までいる始末。
「おい!?何だこれは!?」
「ごめん。止められなかった」
パーティー会場が、街全体になっていた!城も街並みも、だ!これはお祭りじゃね?そう思える程の賑わいを見せている!道を歩けば、メイドに出会う。そして、飲み物を貰うのだ。色々な箇所に、立食用の机が用意されている。そこで、誰でも食べる事が可能なのだ!
「これ、一体いくら掛かってるんだ!?」
「10億以上だろうね」
頭が痛くなってきた。頭痛持ちじゃないのに!この支払い誰がするんだ?アルフォート興かなぁ。と、思いつつ、爪楊枝で刺したカマボコを口に入れた。
「アレックスさん!どうぞ!」
「ん?ありがとう。あ、これ珈琲じゃないか!いいね!」
「うふふ」
「アレックス!我のも受け取れ!」
「おい、珈琲にビールは合わないだろ」
「あっはっは!では、我が替わりに飲もう!」
「アイが飲みたいだけじゃないか」
色々なお店を回る。どこもタダだ。もう何でも有りだと諦めた。楽しむ方がいい。そう、そうしよう。この街は、殆ど観光してなったからなぁ。新鮮な気持ちで、街並みを歩く。
「きゃああああ!!ピンキー様!!!」
「アイ様よ!ああ!お美しいわ!!!」
「わぁああ!!可愛いいいい!!このサボテンクン!!」
「ほう!あれがアレックス様か!」
「うっは!この可愛い人は、ユリ様ですね!」
「おい、あの変な忍者誰だ?」
騒がれるのは辛い。でも、勇者御一行だし、仕方無いのだ。
「拙者だけ、扱いが雑で御座る!!」
「そうかなぁ。いつも通りだと思うよ」
「ピンキー様!顔がニヤけていますわよ!」
ミーシャさんに怒られ、必至に謝るピンキー。こいつもいつも通りだ。アイは食べる事と、飲む事に気が行っているので、歓声等聞こえていないだろう。ユリさんは満更でもない感じで、くねくねしている。サボタンは照れている様子で、僕と目が合った。ニコリと笑うので、親指を立てる。親指を立てて、返してくれるのは恒例だ。
「勇者様!魔王討伐頑張って下さい!」
「期待しています!」
「絶対倒してね!」
道行く人々に声を掛けられ、声援を送られる。悪くない。まぁ、照れるし、恥ずかしいし、もどかしいけどね。
色々なお店に周り、沢山のお土産を貰った。シーザーや狸の置物、熊の彫り物やダルマといった地元の工芸品だ。関連性が全く無いので、どうかと思うが、この際気にはしない。
城へ行くと、ファンファーレが鳴り響き、僕達を出迎える!わざわざ、アルフォート興自ら対応する等、張り切っているのが分かった。
「おおお!勇者御一行様!この度は、我が城に来て下さり、誠に嬉しいですぞ!ささ、城の中にお入り下さい!ビュッフェ方式の食事をご用意しておりますので!」
「ありがとうございます」
僕達は中に通された。扉を開けると、盛大な歓声と拍手で、歓迎されるのだ。もう3度目だから慣れたが。
「勇者御一行様のおなーりー!!」
「「ワワワワワワワワワワワワ!!!!!!!!!」」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!
「お?」
そこには、砂漠の町のギルド長、ヒートテックと、水の都アクアロードのギルド長、ウォールがいた。そして、隣にはヘラクスさんもいる。名の知れた数々の人々が駆け付けていたのだ。
「お久しぶりです。ヘラクスさん」
「おお!アレックス!魔王討伐したんだってな!」
「いえいえ、これから行く所ですよ」
「冗談だ。よくやった。随分早くレベル上げしたな?」
「アルフォート興の娘のミーシャさんのお陰で、レベル上げもスムーズに行えました。」
「ほほう!アルフォート興がか!これは随分とギルドに貢献してくれたのぅ。感謝状を送らねばな。」
「こういうのは、ヒートテックの役目だな!任せた」
「ぐぬぬ!仕方あるまい!
祝いの席で、文句は筋違いだからな!がっはっは!」
ギルド長2人を交え、ヘラクスさんと話をした。オーク・オーバーロードが何処に行ったのか?とか、今まで何をしていたのか?とかだ。
「結局、無駄骨になったな。
何処に行ったか、未だ調査中だ」
「それは仕方ありませんね」
あの後、調べるを使った。
『お答えする権利はありません。以上』
とても、冷たい対応だった。まるで、役所仕事だ。調べるに文句を言っても仕方無い。今は出来る事をするだけだ。
開催してくれたアルフォート興の元へ向かった。少し遅くなったが、許してくれるだろう。まぁ、ピンキーが先に行ってるから、大丈夫。何せアルフォート興の娘の婿だからな。
「アレックス!遅いよ!」
「遅れました。申し訳ありません。アルフォート興」
「いやいや!謝る必要は無い!来てくれただけで、良いのだ!歓迎しよう!おい!グラスをアレックス様に!」
「畏まりました」
グラスを貰い、乾杯の為にお酒を注がれる。色が赤いから、ワインだろう。僕はワインが苦手なのだ。ビールに交換してとは言えない。まぁ、乾杯の時に、1口、口にすればいいだろう。と、思っていたら、アイは飲み干す!
「くぅ!!!もう一杯!」
「勇者様の飲みっぷりは最高ですな!おい!お注ぎしろ!」
「畏まりました」
「アイ、乾杯用だから、飲むなよ」
「煩いぞ!アレックス!小姑か!」
「いえいえ!沢山召し上がって下さい!」
もう酔っぱらっているのか。そういえば、来る途中でも飲んでたなぁ。ワインとかウィスキーは、次の日くるんだ。絶対に解毒魔法は使わないと決めた。少しは苦しい思いをしなけれぱアイは懲りないだろうし。
その日もまた、沢山の人と挨拶を交わす事になる。深夜まで続いたので、かなり疲れた。もうダメだぁ。
気が付いたら、朝だった。




