175話 毒々地獄と巻き付きのセット
ガブリ!
「ぎゃああ!!!」
「ユリさん!解毒薬の準備をお願いします!」
「了解です!」
ピンキーは、キングコブラスネークに巻き付かれていた。首筋をガブリと噛まれる。毒が回り、ピンキーの表情は暗い。ナイトでなければ、こんなにも耐える事は出来ないと思う。
「たりゃ!」
「たぁ!」
「キュピ!」
巻き付いたキングコブラスネークを剥がす手段は無い。頭部を鈍器で殴れば効果的だろう。が、鈍器使いはいないので、斬撃で怯ませるしか出来ない。
ピンキーが自力で脱出するのが、キングコブラスネーク戦う唯一の方法と言える。ユリさんが用意した解毒薬を京子が、ピンキーに忍より飲ませた。傷口にも振り掛ける。
「弾かれますね!」
「蛇の皮は厄介だ!」
蛇の表面の皮は、ゴムに近い感触だ。ヌメリも無い。剣では、どうしても弾かれてしまうのだ。傷さえ付けてしまえば、そこからダメージが通るので、突破口となる。
「とう!」
石を連続で投げ、頭部を狙い撃つ!ゴン!ゴン!ゴン!と命中し、キングコブラスネークは、堪らず離れる。
「アレックス!助かったよ!」
「それよりも、巻き付かれる対策出来ないか?」
「動きが読めないんだよ!」
「じゃあ、慣れるしか無いな。巻き付かれたら、また剥がしてやる。安心して、締め付けて貰え!」
雷撃でも、剥がせるだろう。しかし、電気が走っている間に、近付けないから、有効な手段では無いのだ。
「はあ!」
ズバーン!ようやく頭部の切断に成功した。頭さえ切り落とせば、楽に倒す事が可能である。HPは多いが、比較的倒しやすいのが、キングコブラスネークを狙う理由の1つと言えよう。
「チェーン切れてるから、休憩にするか」
「そうですね。丁度良いです!」
僕達は、真ん中の見晴らしの良い場所に腰かける。
ミーシャさんが手配したシートの上だ。魔道具で、座り心地は抜群である。さぞお高いのでしょうね?こぼしたりしたら大変だ。
「あ!?」
ジャバー!!
アイが振り向いた瞬間、コップにぶつかる。中身は、盛大にシートにこぼれた!
「あ~あ、やっちまったなおい」
「我のせいではないぞ!」
「お気になさらず!魔法で清掃出来ますわ!」
「ほっほ!じぃにお任せあれ!」
汚れたシートは、直ぐに綺麗に乾き、汚れも除去された。魔法は便利だなぁ。僕もこっそりと浄化の魔法は覚えている。アイには絶対に言わないがな。
「アレックスさん!
私、アサシンレベル75になりました!どうします?」
「そうだね。料理人に変更して貰えるかな」
「分かりました」
今回は、神官も同行して貰っている。職業の転職し放題だ。まぁ、転職は結構疲れるので、何度もやりたくは無いけどね。
ユリさんには料理人になって貰い、経験値を無駄にはしないようにする。
料理人は下位職業であるが、レベル99まで上がるのだ。他にも釣り人や鍛冶等がある。これらは、モンスターを狩った時に得られる経験値だけでは、レベルアップしない。料理人ならば、高レベルモンスターの解体や料理。鍛冶ならば、レア金属での制作等が必要だ。
釣り人だけは、特殊なので割愛させて貰う。
「ピンキーはレベルいくつになった?」
「レベル73だよ。アレックスは?」
「同じくレベル73だ。京子は?」
「拙者、レベル74で御座る」
「やっぱりエクストラ職は、必要経験値が多いな」
「ですね。今までが、凄い勢いでしたから」
「7チェーンも出来ないよな」
「ううう、ごめんよ。僕が不甲斐ないばかりに」
「あの大量のキングコブラスネークに絡まれるんだ。仕方無い。2Pで狩れば、もう少し楽に倒す事も出来るだろうけど。それだと、狩る獲物が無くなるんだよな」
それ程、キングコブラスネークは沸かない。2Pもいれば狩り尽くしてしまうだろう。
HPも多いが、頭部切断出来れば、全滅スピードも上がる。が、未だに巻き付かれるので、切断しにくいのが現状だ。
「ピンキー、耐えろ。それがナイトの宿命だ」
「うん。頑張るよ」
「巻き付かれたら、
皆離れるように。石を頭部に当てまくるから」
「「了解」」
こうして、2週間の時間を要した。
その甲斐も有り、遂に全員レベル75に到達したのだ。




