139話 倍々チャレンジ。
痺れクラゲ乱獲に参加するのは、冒険者1015名。
倒したのを確認する職員は100名。1人で10人を担当する事となる。大丈夫なんだろうか?
人の心配よりも、自分だ。1位にならなければ、お仕置きが待っている。しかも、朝のお仕置きとでダブルお仕置きになってしまう!これは避けたい。はむはむ2時間とか、考えただけで身震いしてしまうのだ。
昨日の討伐数はカウント対象外となっている。それだけに、気を引き締めなければならない。
「アレックス。気合い入ってるね。」
「おう!勇者のレベル50まで上げないとな。
で、ピンキーは賢者で来たのか。」
「うん。魔法で弱らせて、こいつで殴り倒す!」
あれ?魔法で倒すんじゃないの?やっぱり痺れる快感を求めている様だ。ここはそっとしておいてやろう。
「おい!」
何か呼んでいる。
「おい!無視するな!」
「アレックス。呼ばれてるよ。」
「幻聴だ。気にするな。」
「くうううう!!この偉大なる魔法使いミーシャ様を、無視するとは!!!失礼にも程があるな!!!!」
「すいません。」
「ん?何か?」
「昨日お借りした鋼の剣を返しに来たんです。」
「おお!律儀にありがとうね。」
「むっきーーー!!!!」
魔法使いは、激怒する。自分だけ無視されているのだ。プライドもさぞ高いのだろう。
「お嬢様!用も済んだし、行きましょう。」
「私は済んでないわ!」
また無視すると、面倒になるので対応する事にした。
「で、何?」
手袋を投げつけられた。
「宣戦布告ですわ!
これで勝負から、逃れられません事よ!おっほっほ!」
手袋を拾い、砂を払う。
「落とし物ですよ。どうぞ。」
「あらあら、悪いわね。・・・て、違うですわ!」
何で僕には変な奴しか寄って来ないのだろう。しみじみと思った。
「クラゲの討伐数勝負を申し付けますわ!」
「勝手にどうぞ。」
「アレックス。負けたら、相手の言う事を聞かないといけなくなるんだよ?いいの?」
「まぁ、負けないからいいよ。」
勇者レベル45で、負ける要素が見当たらない。下級職業はそもそもレベル50がキャップとなる。例え魔法使いレベル50だとしても、エクストラ職業とでは基礎能力の振り分けが全く違う。仮にレベル70だったとしても、その差を埋める事は出来ない。
「また無視をするのですね!いいですわ!負けたら、私の下僕となって貰いますわ!」
「うーん。それは嫌だな。
で、お前が負けたらどうするの?」
「え!?そ、そ、そんな事は絶対に有り得ませんわ!でも、もし、万が一負けた場合、お嫁に行きますわ!」
「いや、結構です。嫁は2人おりますので。」
「アレックス。まだ結婚してないだろ? 」
「ピンキー。いらん事言わない。断れなくなるだろ。あ!いい事思い付いた!良かろう!嫁に貰うぞ!ピンキーが!」
「「はい!?」」
「お前が勝てば、僕が下僕になる。僕が勝てば、ピンキーの嫁になる。これでいいか?ま、負けないけどね。」
「むぐぐぐ!!いいですわ!それで受けましょう!!」
「お嬢様!いいんですか!?」
「負ける事等有り得ませんわ!必ずやギャフン!と言わせてみせますわ!!」
ギャフンと言った奴はいないと思うんだが、まぁ、ピンキーに押し付ける事に成功した。
「アレックス。」
「何だ?」
「流石にあれはちょっとヤダ。」
「贅沢言うな。それにだな!他にも嫁を取ればいい。」
「おー、アレックスみたいにだね?」
「2人3人4人と増やしていけ!ピンキー!」
「分かった!頑張るよ!」
どちらも言いくるめる事が出来た。後は倒すだけだ。
「では、皆さん用意はいいですか?スタートです!」
冒険者は一斉に痺れクラゲに向かった。僕もトンズラを発動させ、先頭へと走る。トンズラ連打で、16馬身差を開けた。流石トンズラ様々である。袋から石を取り出し、痺れクラゲに投げて行く。360度回転しながらである。アイから借りた覇王の剣で、次々と倒していく!
疑問に思うかもしれないが、勇者は痺れない。電気完全耐性を持っているからだ。
「とう!てい!はっ!」
石を投げて、7割HPを削る。そして、覇王の剣で1振りで終わるのだ。楽な方法で、どんどん倒して行く!
「トンズラ!!」
狩り尽くしたら、場所を変える。僕の通った所には、何も残らない。冒険者達は、青ざめた表情で立ち尽くす。
問題はここからだ。開始30分で、痺れクラゲは居なくなった。当たり前である。冒険者1015人でかかれば、そうなるのは当然だ。
「トンズラ!!」
そう、ここからはポップした瞬間から、狙わなければならない。通称沸き待ちである。冒険者達での奪い合い!魔法や、遠距離攻撃による牽制が入るのは当たり前だ。
倒したモンスターは、通常15分でリポップする。フィールドは15分、ダンジョンは30分と決められているのだ。BFのみ特殊で60分と一番長い。
「たりゃあ!うお!?」
魔法が飛んで来た!ん?あいつは、例の魔法使いだな!仕方無い!違う所へ行こう。すると、ついてくるのだ!
「あっちの方がポップしてると思うよ。」
「あら、そんなの関係有りませんわ。」
「お前が倒さないと、勝負に勝てないだろ?早く痺れクラゲ倒してこいよ。」
「問題有りませんわ。パーティーを組んでますの。」
「え!?そんなの有りかよ?」
「当然ですわ!おっほっほ!」
「はぁ、トンズラ!トンズラ!トンズラ!」
ドピューンと飛ばして、痺れクラゲを次々と倒していった。
焦る。ソロでの勝負なら負けない。が、パーティー相手だと話は変わる。もし、フルアラとか組まれてたら絶望しか見えない。ああ!ダブルお仕置き確定かよ!!
そして、夕方になる。
「時間でーす!そこまで!!!!」
頑張った。もう限界を超えたのだ。レベルは当然50に達し、沢山の経験値を無駄にした。やれるだけはやったのだ。後は、結果を待つのみ。
「それでは、結果発表!ででででで、でん!」
少しの間が、ドキドキとさせる。
「1位は!サボタン選手です!
討伐数256匹でした!おめでとう!」
え!?サボタン?そんなぁ!!
「では、サボタン選手には!
勇者アイさんの抱擁を堪能して下さい!!!」
抱きしめられるサボタンは、とても嬉しそうだ。今日は、アイは鎧を着ていないから、2つの谷間に埋もれている。
「いやぁ!接戦でしたね!2位のアレックス選手と6匹差でしたから!」
1位 サボタン 256匹
2位 アレックス 250匹
3位 ナルナル 96匹
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21位 ピンキー 57匹
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72位 ミーシャパーティー 50匹
となった。いくらパーティーを組んでも、ポップ管理と奪い合いに勝てなければ、こうなるのは目に見えている。
サボタンが1位になったのは、昨日のレベル上げで強くなったからだ。針10本が進化し、針100本を連打可能との事。今日使ったのは、針乱れ撃ちだそうだ。因みにレベル71。モンスターは、レベルキャップ対象外だからだな。
「アレックスさん!」
「はい!」
「お仕置き倍倍ですね!」
「のお!!!うううううう!!!!!」
僕の叫び声が響く!ユリさんはニコニコしていたのだ。




