131話 打ち上げ花火。
「おう!久しぶりだな、半蔵門。」
返事は無い。ただのアンデットだからだ。それでも構わず話を進める。
「覇王丸の次はお前かよ。
何やってんだ?アランとの約束を忘れたのかよ?」
アンデット半蔵門は、涎を垂らしていた。象徴のスカーフも今や見る影も無い。ヘラクスも初めて半蔵門の口を見たのだろう。顔をしかめる。
「はぁ。最後は俺が印籠を渡してやるよ。」
ヘラクスは、自己強化を図る。筋肉強化最大、俊敏強化最大、器用さ効果アップ、溜める×10!
「はぁあああああああああ!!!!!!!!」
ヘラクスが消えた。その瞬間にアンデット半蔵門の顔が吹き飛ぶ!スローモーションの様に首なしアンデット半蔵門は倒れた。ドスンと地面に振動がする。
「み、見えなかった。
ヘラクスさんてメチャクチャ強いんだね。」
「我もあれくらいは出来るぞ!」
称賛と強がり、それ程ヘラクスが凄かったのだ。が、安堵はここまでだ。首なしアンデット半蔵門は、再び立ち上がる!
「全員離れていろ!」
ヘラクスは叫ぶ!黒い禍々しいオーラが、顔を形成する!何だあれは!?恐ろしく強い。そして、何よりも黒い。漆黒と言える程に。禍々しい漆黒の物質は、ニタリと口元を開く。
「ぐは!」
ヘラクスは吹き飛んだ!何をされたのか分からない。もしや、先程の攻撃を真似たのか?空中で体勢を整え、着地する。方膝と手を着き、アンデット半蔵門へと拳を放つ!大砲の様な風圧が飛ぶ!が、首を少し傾け避ける。後方では、拳の風圧で木が薙ぎ倒された。
「参ったな。」
ヘラクスは最大の過ちを犯していた。アンデット半蔵門の面影がある顔を、最初に破壊したからだ。初手は取れていたのだから、全部消滅させれば良かった。感情的になり、普段しない失敗をする。そのせいで、ピンチになってしまったのだ!
「まぁ、半蔵門の顔じゃなけりゃ、本気も出せるか。」
失敗を後悔するより、前向きに考える。それがヘラクスのやり方だ。脳筋と呼ばれるヘラクスが、アランのパーティーで頭脳明晰でいたのも頷ける。
「はぁああ!!」
両手にオーラが集まる。気弾を飛ばすつもりなのだろう。そのまま飛ばしても、先程と同じ結果が待っているのは分かる。アンデット半蔵門はコキコキと無い首を鳴らした。
「ふん!」
地面を蹴る!ヘラクスの残像が残った。それ程の速さだ。アンデット半蔵門の肩に、飛び蹴りを畳み込む!そのまま裏拳だ!そして、右足で腹を蹴り上げる!空に舞うアンデット半蔵門。気弾を溜める溜める溜める!大気弾にまで膨れ上がった!
「ほぉおおおおおお!!!!」
まだ溜める!アンデット半蔵門は落下しだす。大気弾は、超気弾へと変化した!大きさは1メートルになる!
「ほわたぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!!!」
超気弾を飛ばした!というより当てたが正しい。落ちてきたアンデット半蔵門に拳を伸ばしたからだ。
「ががぎぐげがががががご!!!!!!」
アンデット半蔵門は、よく分からない声を発しながら、天まで飛んだ!伸びたり、縮んだりと世話しなく。雲がある辺りまで到達し、爆発した!ドッゴーーーーン!!
「うわああああ!!!!ああああああ!!!!!」
ダムが崩壊したかの様にアレックスは泣いた。自分の無力さに泣いたのだ。ユリはアレックスを抱き締め、涙を堪えた。自分まで泣いたら、誰がアレックスを支える?泣きじゃくっる子供をあやすように、頭をそっと撫でた。
「まるで花火だ。」
ピンキーはそう呟く。




