ムズィーク王国編 その12 失う者、得た物
俺が目を覚ましたのはベットの上だった。辺りは白い壁に囲まれ、一つある窓からは風と小鳥のさえずりが入り込んでくる。
(ここは何所だろうか・・・・意識もまだハッキリとしない)
馬車から降りた後のような酷い酔いを感じながら、額に冷たい何かが触れているのが分かる。
(俺の隣に・・・・誰かいるのか?)
「おはようアスク、気分はどうかしら?」
心の安らぐ声がする・・・・これはきっと母の声だ。
「母様・・・・・・・はい、比較的気分はいいのではないでしょうか」
「ないでしょうかじゃあありませんよぉ?私が一体どれだけ心配したことか・・・・・・下手をすれば死んでいたのですからね?」
「ここは一体どこなのでしょうか、記憶が混乱していて今の状況を整理出来ないでいるのです」
「そうねえ~、ここに送られて来た時はボロボロだったものねぇ~。マサトラの馬鹿がいなかったらアスクをシンリーに頼んで連れ戻して貰わないといけなかったわぁ~、あの馬鹿も少しは役に立つのねぇ~」
(マサトラ先生の頭が悪かったのではなく・・・恐らく母様達の頭が他よりも飛びぬけていただけだろう)
「ははは・・・・それにしてもここは何所なんですか・・・・・・どこを見ても見覚えのないものばかりで」
「ここ?うふふ、そういえばアスクはまだ私の呪院に来た事がなかったわね。どうかしら、ここでお母さんは働いているのよ」
呪院というのは確かこの世界の病院だ、税金で動いているわけでは無いので破格値だが体の欠損や呪いと言われる病気を魔法によって治療する場所のはずで、一般的に八年も生きていれば一度は行った事があるはずの場所だと思ったが、運が良いのか体が丈夫なのか一度も来た事が無かった。
(そうか・・・・ここが呪院か、使用するのが魔法なだけあって別に独特の臭いがするという事もないようだ・・・・)
「ここは・・・・・陽だまりが良い場所ですね」
「うふふ、そう?良かったわねぇ」
(呼吸も安定になって来たようね、ふぅ・・・・これでとりあえず一安心かしら。下半身が千切れかかっていた時にはどうしようかと思ったけど、我が子の生命力が巨人族なみで良かったわ)
「何か食べれそう?隣が邸だからある程度の物は持って来れるわよ」
「では・・・・・・レバーとほうれん草を小麦のパンで包んで持って来てくれますか・・・・八十キロあれば足りると思います・・・・」
「それを・・・・食べるの?と、とりあえず少しづつ食べましょうね。うふふ、食欲があるならそういってくれればいいのに」
「ははは・・・・お願いします・・・・」
(食欲がある分けが無いが、食べなかれば元気は出ないので口に運んで飲みこむ作業はしなければいつまでたってもベットから出られない。何か忘れているような気もするし、早くここから出なければ)
「じゃあ、何かあったらそのベルを鳴らしてね。中央にある部屋とベルが共鳴して彼方の所に別の人が来るから」
(はぁ・・・・今回の事はどうやって注意したら良いのかしら、あの馬鹿が話すには決闘での負傷らしいけど、そんな事をするような子じゃないのは親である私が一番分かってる。アスクは決闘スタイルよりも闇討ちスタイルよ!ならこんな事には普通ならないはず!・・・後でアスクに聞かないと)
母親が部屋からいなくなった後、自分のステータスを見て唖然とした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ステータス
名前:アスクレオス・ワイズバッシュ
状態異常:回復魔法副作用&毒の後遺症
性別:男
職業:毒と賢さの神
称号:公爵家長男 天才 多柱の加護者 魔王のお気に入り サマエルの寵愛 バンスィーとの邂逅
隠し称号:探究者 転生者 カティウスの友達
年齢:8歳
種族:人族
レベル130
HP:2000
MP:25500
攻撃力:10000
防御力:7500
素早さ:13500
賢さ:50000
器用:2400
幸運:15
通常スキル
・薬学12・大剣術10・剣術9・身体能力強化9・鑑定8・暗殺術8・看破6
・剥ぎ取り3
エクストラスキル
・聖剣サマエル召喚5
・毒薬の才能
・抵抗3
・レクレール・メルダース召喚1
ユニークスキル
・毒薬生成8
・限界突破4
加護: カティウスの加護 サタンの加護 ヘルメスの加護 サマエルの加護 アレキサンダーの加護
スキル説明
抵抗
レベル1
治癒力が上がる
レベル2
抵抗力が飛躍的に上がる
レベル3
苦痛のレベルを数値化出来る
限界突破
レベル4
極僅かな他種族のエクストラスキル獲得可能
称号説明
バンスィ―との邂逅
精霊獣バンスィーとの邂逅を果たしたものに与えられる称号、バンスィ―に出会えば死ぬという伝説から、生き残った者には特殊なスキルを獲得出来るという迷信が生まれた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ステータスの低下が激しい・・・・・・・一体どうしてこんな事になってしまったんだ。俺が何故ベットで寝ているのかもよく覚えていない、確かエルフの国に行こうという計画を建てた事まではハッキリと覚えている・・・・。まあ今考えた所で思い出せないモノは置いておくか、思い出せないという事それ自体を少し怖くなって来たというのもないわけじゃない。
「そうだ、薬草や魔物は亜空間の中に入れてあった。細かな作業ならここでも出来るだろう、ソレをして時間を潰せばいい・・・か」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<毒の効果>
・目眩
・吐き気
・イボ大量発生
・ダイヤモンド化
・洗脳
・対象を幼児化
・血圧上昇
・体の痛み
・巨大化
・肉風船
・動脈硬化
・幻惑
・高熱
・液状化
・嘔吐
・痒み
・ステータス減少
・吐血
・痔
・頭痛
・くしゃみ
・咳
・喉の張れ
・精神病
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(身近なものからファンタジーなものまで、よくもまぁあの森だけにあれほどいたものだと思う。ん?森・・・・森の中、毒・・・・バンスィー!そうだ、バンスィーはどうなったんだ!)
体を起こすと痺れていた下半身が悲鳴を上げ、激しい痛みが脳を満たす。全身の筋肉が思うように動かない、いうなれば油を指していないブリキの兵隊と言った所だ・・・・・。
「ベットの上からも下りれないのか・・・」
聖剣伝説やらガンオンやらやってるせいで小説を考えて書く時間が無くなってしまいました。今日は短めです。