番外編 言いたい放題 竜海回
今回は龍神の竜海回。
アスク達が城内を歩いている時、ふと僕の名前が出た。
「今度久しぶりにたつみに会いに行ってみるのも良いかもしれませんね」
その言葉をオーブごしに聞く僕は、少し脇をくすぐられるような気分だ。
「アスクさん達も僕の魔道具には気づいていないようですね、クックック、第一段階クリアです」
アスクさん達が帰った後も当然僕の物語は進んで行くわけであって、僕は僕なりに主人公キャラのつもりで頑張って行こうぜって気分でね、まあ僕もくくりでいえば異世界転生系主人公の枠に入るだろうし。
それでもしも僕の行動は誰かによって創作されたものだとして、僕の物語に読者がいたとする。すると、きっと読者の皆々様は思いになるだろう。
「コイツはさっきから何をしているんだ?」ってね。そんな時のために僕はこのような回答を用意しておこうと思う。
「男で異世界来たんだから千里眼でいろんな所、ソレはもういろんな所を覗き見してよくね?」と。
龍族の神となり、子を必要としなくなったが為の代償が自分の例のブツの消滅。初めは諦めるのは早いと、魔法で作ったよ。うん、作った。少しの見栄を含めて。機能とかもそれっぽくした、けどさ、やってると分からされたんだよね。自分が如何に虚しい事をしているかという事に。
それ関係の事で自分の体をいじくって遊んでたらさ、千里眼にいきついたって話だ。これぞ神々に許された唯一の楽しみってね。・・・・・いや、神々も人間と変わらないか。なら―――龍神に許された唯一の楽しみとでも言い変えようか。
千里眼も初めは楽しかった。塔の内装や外の世界、そう色々と。世界中で結界が張られていない所だったら殆どがこの千里眼という魔道具で見る事が出来る。学校の中や、塔、城といった所は見る事が見る事が出来ない対象と言った所だろうか。
そうそう、アスクさんの邸を見てやろうと思って千里眼を使おうとしたら、あちらで掃除をしていたメイドさんや、庭師の方々全員が僕の存在に気がついて、コチラに手を振っていた事を恐怖体験として今でも覚えている。
アスクさんは知らずに過ごしていたらしいけど、僕の魔道具を察知できる人間が普通とは思えない。メイドや執事ならそういったハイパーな設定で何人かいても異世界ならアリだろう、けどそうじゃない。控えめにいってモンスタ―ハウスですかね。
特に僕、龍神がユニークスキルを使ったとしても勝てないと確信したのは、二人。女性と庭で紅茶を飲んでいた緑の髪の男性、多分アスクさんのお父さん。それと、鎖のようなもので何重にもステータスを隠しているメイドの女性。
アスクさんのお父さんの力量についてはよく分からない、もしかしたら強いのかも知れないし、弱いのかもしれない。存在を測る長けた龍族の目でも彼がどれくらい強いのか全く予測がつかないんですよね。メイドの女性に関してはまず僕が何をしてもまず間違いなく勝てないと思った。
僕が看破出来たステータスの鎖は四つだけだったけど、その時見えたステータスは体力から賢さまでオール三十万。器用さと幸運は0と表記されていた。それがエラーを示す値なのか、それとも実はああ見えて不運でドジっ子設定があるのかは不明な所。
そして話は戻るけど、そういったモンスター達を見てSAN値がピンチになった僕は癒しを求めて大浴場を覗きに行ったんだ。大浴場は貴族を覗いた多くの国民が使うものらしく、大人から子供まで様々な客が利用に来ているようで、値段価格は僕も初めよくわからなかったけど、女神のリョウ様からラノベ以外のお給金として銀貨三枚を貰った時に、お金の単位を知った。
そして大浴場のお値段はというと・・・・・・なんと、銅貨一枚という破格のお値段。国からお金が出ているのか、それとも施設運用がそれほど低コストで運用可能なのかわかんないけど、皆が清潔な事は良い事だよね。
んで、その結果。やっぱり二次元しか僕の生きられる場所はないと悟った。大浴場ってさ、そりゃ美人なお姉さんとか来るかも知れないよ。実際問題として、団体で来るっていう事もあった。でもさあ、そういう桃源郷と言われる光景を見てさ、思ったんだ。
異世界だろうが、前の世界だろうが罪悪感がある事には変わりないという事。それと、二次元のようなそんな綺麗なボディーを持った女性は本当に一握りという事に。異世界なら全員スリムで贅肉無くて出るとこでて引っ込む所は引っ込んでいるとでもお思いの方は今からの僕の一人語りを見ない方が良いかも知れない。きっと想像すると、ブツが役に立たなくなってしまうかも知れないから。
正直言って、僕のやっている事はまず覗きという事を理解した上で今からの語りを聞いてほしい。まず一つ、正直いって異世界の住人の皆さんちょっとゆったりした服を着すぎじゃないだろうか!?そんな服を着ていたら男が騙されるのは当然の摂理でしょうが!・・・・と。別に贅肉が悪いわけじゃない、むしろ多少肉付きのいい子というのは男性として平均的に言えば好みのタイプの枠組みに入る。
細身の女性より、少し太めの女性を、という共通認識の中、この異世界の女性はソレを良しとし、まあまあ服の中にはえげつない物を隠し持っていたわけだね。
多分今からだと思う、この世界の男性陣が女性に対して、少し痩せたらいいのではないかという考えを口に出すのは。普段思っていたとしても男はソレを口に出さない、それが無意識のうちにダメだと分かっているから。
冗談で言うのには一向にかまわないと思う、相手を間違えなければの話しだけど。もしもさほど仲良くの無い女性に対して「デブ」だの、遠回しに「最近肥えたね」なんて言った日には殴り殺されるか、嫌われるかの二択と思ったら良いだろう。
そんな世界で僕は何を見るべきか、そう、二次元である。理想は異世界にあらず。精神誠意、二次元の嫁に全財産と自分の人生を貢ぎましょう。
とまあ・・・・色々と語ってしまったんですが・・・・。結局の所異世界の女性でも美しい人は上限が無いと思いますし、顔に自信のない方も大勢いらっしゃるという事を分かって貰えたなら嬉しいですね。この世界ではただ上限値があちらの世界とは大きく異なると行った所でしょうか。
そして、話をそれはもうおーきくおーきく遡って、僕の語りの冒頭部分にまで一度戻っていただいて。僕が何故にエルフの国のお城を覗いていたかという話になります。まず、おまいは城の中を見れないのではないのか、という疑問が浮かんだならエルフの国は防御が甘かったとだけ伝えさせていただく。
とある竜の王から、アスクさんの監視のお仕事を押し付けられまして。自分で魔道具は貸すからやって欲しいと言ってはみたものの、「妾にあの忌まわしい奴の行動をわざわざ見ていろというのか?」と、大変理不尽にご立腹になられ、依頼料の袋と時間指定だけして飛んで行ってしまいました。
誰も女ならいざ知らず男の日常など見たかねぇと言いたい所ですが、アスクさんは現在エルフの国。きっと彼ならここで一つや二つ面白い事をしてくれるでしょう。
この魔道具で見た所、南の海よりの森から面白いお客さんたちがわんさか沸いて来ているようですから。
番外編って時々書きたくなるんですよねぇ。




