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独学の毒薬で異世界無双  作者: ほふるんるん
ムズィーク王国編
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ムズィーク王国 その5 天との再会

「おい、メゾとやら。早く俺達を連れて行かないか」


「は、ひゃい!!」


ティアがイラつきを隠せないといった感じの声でメゾと呼ばれている女兵士に詰め寄った。何も八つ当たりをする事は無いだろうに・・・・・・可哀想な兵士だ、助けてやるとしよう。


「・・・・ぉい、大丈夫か」


「ば、馬鹿!脅してどうする!」


「あ、あああ、あああああああ」


やってから気付く事というのは誰しもあるだろう。そう、俺は今こうして彼女を偶然とは言え上から見下ろすような形で下で震える彼女に低い声で話しかけたのだ。


低い声というのはわざとではない、長く話さなかった時によく起こる、声が詰まってかすれたような声だ。それをしっかり出そうとすると低音の響くような声が出る。今回誤って、偶然にも低音ボイスになってしまったに過ぎないのだが・・・遅かった。


考えれば誰にでもわかる事だった、伸長がオークを通り越しトロールにも近い俺が小柄なエルフの兵士に話しかける事自体がいけなかったのだ・・・・・・考えているうちにへこんできた・・・・・。


金縛りにあったように足だけ震えて動かなくなった彼女は必死に身振り手振りで動こうとはするものの、下半身は動かせず上半身のみが忙しく動いている。


「誠意は伝わったぞ、うん。光武・・・・さん、別の使いの者を頼めるだろうか」


呼び捨てにすることは流石に避けたか。


「しゃーーーーーないなぁああ~~~~~~!!!!!!、うちの所のちょ~有能な右腕を案内にやるわ」


「ほう、この国の右腕か。どのようなものか見せて貰おうか」


「期待してまっとり。天~天はおるか~。いや、おると思うし早く来て~」



光武が天と言われる人物の名前を虚空に呼びかけると、認識は出来るが目には見えない亜空間がその場に確かに出現した。俺達が物を取り出す時に使用する亜空間に近い存在なのは分かるが、出現した過程から見て、創造の仕方に違いがあるのだろう。



「何ですか光武の姉さん、朝の占いカウントダウン(勇者ver)はもうやったじゃないですか」


「ちと案内役のメゾちゃんが使い物にならんくなってもうてん~。代わりに二人をアイツの所まで案内してほしいの、お・ね・が・い」


なぜだろう、彼女がやると歳相応のはずなのに少し老けたように感じる。


「あの人の所ですか?はい、わかりました。それで案内する人達は・・・・はい!?」



「久しいな」


「お久しぶりです勇者天使、二度と会わないと思っていましたがまさかこんな所でお会い出来るとは、運は君を見捨てたようですね♪」


それはかつて身の程知らずにも神に騙され、サタン様に負けにやって来た勇者達の一人、ステータスが可笑しい天使くんである。おかしいというのは弱いわけでも無くましてや強いといった意味あいではない。なにがしたいのかステータス表記が全て7という数字に憑りつかれている可哀想な男である。


「あ、アスクさん大きくなられましたねぇ・・・そ、そうだ速く案内しなければ、ささ、こちらです」


「いや、せっかく会えた事だし少しのんびり歩きながら話でもしようぜ」


ティアも悪い笑顔が板についてきたなぁ、しょうがない、俺もティアの悪乗りに付き合うか。


「ははっ、久しぶりに会った事ですし少しあれからの事も聞いてみたいですねぇ。ねぇ?現在エルフの国で王の右腕をしていらっしゃる天さんとやら」


「なんやティアちゃんとアスクくん知り合いなんか!?天は昔の事とか話さんミステリアスな男やからなぁ~。ここで光武様、ちょっと天くんの事をよぉ~知っておこうと思います」


三人揃って悪い笑顔を天使てんつかに向ける。


「か、勘弁して下さいよ~、やっと手に入れた職なんですから~」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


いじり飽きた天に案内をさせながらこの樹の枝で出来た自然の迷路の中を歩いていると、雰囲気が変わり始め、苔のようなモノが道の所どころに生えるようになってきた。


「もうそろそろなのか?」


「そうです、少し薬品臭いかもしれませんが我慢してください」


他の奴の研究室を訪れる時はいつも少し怖いんだよな・・・自分の研究してた物の発展した物なんて作られてたりしたら何というかジェラシーが沸々と腹の底から溢れ出て、破壊衝動に駆られる。


「どうしたアスク、そんなソワソワして。不気味だぞ」


「・・・・・・・研究者の端くれとして、見学に来るというのは複雑な気分なんですよ」


「お、おう、しかし研究しているものが違うとはいえ他の研究所を見るのはドキドキするな」


「ティアが何かの研究を?」


「俺がここまで熱意を込めてやっていた研究を親友であるお前が知らないだと!?多分お前以外のクラスメイトは全員知ってるぞ」


「え、なんですかその疎外感を持たせるような発言、ティアって男爵イモ育てる事と国の仕事しかやって無いんじゃ・・・」


「俺の生きがいがイモ栽培だけなわけないだろう・・・俺は武器の製造と野菜の品種改良を研究してるんだ」


ティアがそんな事をしているとは・・・・。この世界で野菜の品種改良が出来るという事にもまず驚きだが、それよりも武器の製造の研究という事に興味がわいた。大体、国家ぐるみで兵器作りというのはヤル気に満ち溢れ過ぎではないだろうか。


「・・・・まったく知らなかった、それはいつから?」


「アスクと天使の門に行った後ぐらいだ、今の俺達なら天使の門も力技で進めるだろうか」


いやそれは流石に無理だろうと、ティアと駄弁っていると、ついに研究室の扉の前まで来てしまった。扉をよく見ると、以前にどこかで見た事のあるような気がする・・・・・・あぁ、思い出した。メロエの家の門番がわりのハイテクで喋る扉だ。アレ以外にもあったのか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


■ フルボポルタ 特異級ユニーク


効果:言語解読 状態操作


説明:突然変異で生まれ、言語を理解し扉のように開け閉めをする知る人ぞ知る高級植物


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




扉からしてもかなりの大物臭のするやつだな、凄い研究室は扉から凄いのか。次に俺が研究室をたてる事になった時の参考にでもするか・・・。



俺が部屋に入ると、一人の女性が何やら球体を両手でグニグニとコネながらコチラにやって来た。服装は城下町でみたエルフと同じく、フリフリの着物を着用している。それに白衣を上から羽織るという意味不明なファッションセンスに驚かされつつも、冷静に彼女以外の研究員と研究室を見渡す。


「アルゴンさんお客さんだよ、植物について知りたいんだってさ」


「ほほー、この国の植物に興味を持つとは中々に見どころのある若者たちじゃあないか、しかも人間だし、人間って植物に興味あったんだね」


机には資料などが散らばってはいるが、研究室自体は綺麗に整頓されている。まずここで俺の評価は最高だ、部屋の綺麗な研究室と汚い研究室では綺麗な研究室の方が捗る。そして研究員は・・・・うん、皆着物でフリフリなんだな。男はちゃんとした服装をしているというの・・・・いや、そんな事は無かったようだ。


「この神聖な研究室に何故少女と化け物が混入しているのだ?」


「僕達の研究を邪魔しないでいただきたい。非常に!」


男どもはアレだ、どの世界のどこの研究所も変わらんようだ。誰にみられるわけでも無いクセにチャラチャラしやがって。なんだその金髪は!地毛?知らん。そのウェーブはなんだ、誰も見ていないぞ?


「こんにちわ、皆さんイカした髪型をしてらっしゃいますね」


「化け物の君にも分かるのかい!この整える事に無駄な時間をかけないパーフェクトなヘアーが!」


「このふわっと上げてるのが、今のエルフのトレンドなのさ。非常にね」


「お前らここに何しに来てんだ、早く働け税金泥棒」


『はっ、アルゴン先生!』


「すまん、久々の来客に皆浮かれていてね。ここではなんだ、向こうにある畳に座ってくれ。茶と菓子でもてなそう」


ココハ、ニホンデスカ?


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