夏休み 到着
魔法で吹き飛ばされながらも何とかブーツが空中の環境に適応し、落下による衝撃を吸収した俺は自らの顔の怖さを恨みながらアンデットとの戦闘を開始させていた。
アンデットの群れには連携という言葉はなくただ数の暴力によってただひたすら攻撃の一手のみで、防御という考えは無いらしい。
先に剣を振り、前にいるアンデットから切り伏せたとしても次から次えと水のように沸き、体力も連戦の影響か少しづつ削られ、日ごろワープにしか殆ど使わない魔法さえも使い始める始末になり、いよいよ自宅に戻ろうかと考え始めた頃、空から声がしたかと思うと黄金の光によってアンデット達が滅され始めた。
「そこの少年、お怪我はありませんか」
そこには代表的な癒し系とか言われそうな顔をした二十歳ぐらいの男、要するに俺の顔とは正反対の慈愛に満ちたような笑顔を見せそうな奴であり、一生かけても分かり合えないであろう人間だ。
「ありがとうございます、大丈夫です」
「それは良かった、あのその銀の髪はもしかして今日ご到着なされるアスク様でしょうか」
「はい、今のうちに聖都に入らせてもらいます」
「はい、私はもう少し掃除があるのでまた後で」
今アイツ死んだ人が魔物に憑りつかれてなったアンデットを掃除って言ってなかったか。アイツが教皇で本当に良いのか教会・・・
考えを切り替え俺は聖都に向かうと、シスター達が待っていた。
「先ほどの光は教皇様がいらしてのですか!?」
「はい、おかげで何とか、それにしても教皇様の魔法ってなんか派手で強いですね」
「何か教皇様に悪意が感じられる気がするのは気のせいでしょうか」
「はい、キノウセイデスヨ」
「そうですね、教皇様の悪口なんて教会が知ったら大変なことになりますよ」
「例えばどんな事があったんですか」
「敵国の暗殺者が教皇様の寝室にうまく忍びこみ捕らえられた人がいましたがその人は今あなたの後ろにいる方です」
「サヴァイブさん・・・・」
「三日三晩教皇様にありがたい話を聞かされ出てきた時には既に悟りを開いた状態でしたねぇ」
「教皇様のお話はどれも素晴らしいものばかりでして私は自らの犯した過ちに気付くことができました」
(どうやらこの都では彼に逆らう奴は全て彼のように悟りを開かされてしまうのか、恐ろしい事このうえないな、俺が悟りなんか開いたら大変な事になるしな、この顔で布教活動は流石になぁ)
俺は彼とのもめ事は慎むように心がけようと思った。
やっと聖都につきました、現在は門の前です。




