夏休み バッシュさん久しぶりの登場
シスターの話では聖都には魔法の結界が張られているらしく、不審物が入り込むと自動で町中のいたるところにある魔法道具で蜂の巣らしく、仕方なく俺の嫌いな馬車に揺られて聖都へと向かっていた。
「シスター、やはり途中までワープで・・・」
あまりにも長すぎる道のりと吐き気にシスターにお願いをしようと横を見ると、シスターは既に夢の中に落ちていた。・・・この世界の人間は何故ここまで馬車に強いのだろうか。
「なんで俺だけこんなに苦しまなければならないんだ・・・なぜなんだ・・・・くそ・・・うっぷ」
仕方なく外の風景を見ているとどこかで見た顔が戦闘をしていた。このとろい馬車の中でなら一勝負ぐらいなら余裕で観戦できる。
「バッシュさーん、お元気でしたかー!」
小型のトカゲ型の魔物達と戦闘していたのはバッシュだった。いつも一人で戦っている事から俺の心の中では類友のようなカテゴリに入っている。彼が戦闘をしている所は何度か見た事があり、そのどれもが全て自分よりも最低二十レベルは離れた雑魚のみなので、今回もそうだろうと思い、声をかけた。
「大きくなったなー坊主!ちょっと待ってろ!」
そういうとバッシュはセイ!っと周りのトカゲ達を一蹴すると新調したのであろう大きな斧で切り裂いた。あの斧をパーティの中でも仕えたなら彼はAランクは確実に上る事が出来るだろう。それがこんな所で雑魚を相手にするというのは・・・慎重派というべきか臆病者と言うべきかという所だ。
「すいませんー今馬車でしてー」
「そうかー早く酒が飲めるぐらいに成長しろよー」
「まだまだですよー」
もう少しでバッシュが見えなくなっていく。ふと、バッシュの戦っていたトカゲがレベルの低い魔物に似合わない動きをしていたので、鑑定をした。
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ステータス
称号:ユニーク個体
種族:闇黒トカゲ
レベル:87
HP:8900
MP:8000
攻撃力:3300
防御力:3000
素早さ:4000
賢さ:1000
器用:30
幸運:4
通常スキル
双牙術8
エクストラスキル
集団性7
集団性7
・スキルレベルが上がるほど群れを統率する力を増す。同じスキルで全ステータス上昇。
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「以前まで俺よりレベルの低かったバッシュがいつの間にか俺と同じレベル帯まで登りつめていたのか、自分より年下に負けるのは何か不愉快だな・・・俺も今まで以上にレベルの方も上げていかなければ」
と、大人げない事を呟きながら真剣に自分の生活を改める事にした。最近は基礎的な腹筋やら背筋を鍛えず、魔物と戦闘をしていれば自然と筋肉ぐらいつくだろうと甘く見て、朝の時間を全てレポートに費やしていた。それが俺を取り残して回りが心身とステータス共にレベルアップしている現状だろう。
戦闘経験値も馬鹿には出来ないという事を理解し、これからは毒を使った狩猟的な戦闘ではなく、一対一、魔力を使った真正面からの戦いに時間を費やすという事に考えが纏まったのだった。
数時間後・・・俺が聞いていたよりも長い時間をかけてやっと中間の町までやってきた。
町は夜の月に照らせれながら静まり返っており、明かりが見えるのはこの街の冒険者ギルドや酒場、教会など人が集まる所ばかりだ。
この国の住民の平均的な就寝時間は七時から十時の間と言ったところで、十時以降というのは魔物が本格的に活動し始める時間帯であり、冒険者の中にはそういった夜にしか活動しない魔物を狙って狩猟する者達もいるとかいないとか。とにかく夜に余り出歩く人間も少ない。
そして現在時刻は大体八時と言った所だろうか、日も沈んで月が出ている。この世界の月というのは前世で見た記憶にある月よりも大きく、常にスーパームーン状態と言っても過言ではないと主観的に思える。
「今日はこの町で宿をとりましょう」
どうやらシスターたちは今日はこの町で滞在するらしい。この町の位置はこれまで来た道のりと時間で何となく座標はつかめているので、後はワープで自宅に帰り、また明日この場所まで帰ってくればいい。
「ではまた明日の朝に、この場所で待っていますので」
「え!?ちょっとまっ・・・」
何か言いたそうだったが、ダッシュで木の陰に隠れると自宅にワープした。コレは馬車をどうにかしてくれなかったシスターへの仕返しである。我が儘と言われてもしょうがない。俺の幼少期はきっとこれくらい我が儘だったはずだからな。
自分の都合で大人と子供を使い分けるんじゃない!




