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独学の毒薬で異世界無双  作者: ほふるんるん
夏休み編 
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夏休み 番外編    カイン王

たまたま書きたかったので書きました。ストーリーとは多分関係ないです。たぶん。

アスクが教会の人間と話をしている頃・・・


「ねえジャバ、外が騒がしいけどなんかあったのかい?」


「国王が心配することじゃねえから安心しとけよカイン」


特別な小さな部屋に三人の人間がいた、国王カインとその王妃メルジーナ。そして厨房に立っていたはずのジャバの姿がそこにはある。


「そうですわ、何かあっても私がいますから心配ありませんわ」


「ありがとうね、頼りにしてるよメルジーナ」


「ええ、貴方に死なれると私とっても悲しいもの」


二人のアツアツぶりに、若干疲れを感じるジャバ。彼は思った、コイツら結婚して一体何年たってやがると。永遠に倦怠期を迎えそうにない二人に割って入る。


出なければずっと二人の世界から帰還してこない事をジャバは知っていた。カイン王とは腹の探り合いをする必要の無い中なのだ。国王とそれぐらいの中と言うのも彼自身不思議な境遇だと思っていたが、彼自身、別段気にするような性格でもなかった。


「二人とも暑苦しいぞ、店内で熱いのは厨房だけで十分だ」


「うまいこと言うねぇ」


「ハッ、嫁と仕事で頭のネジでも飛んだか?」


このような冗談を言えるのは世界中探してもジャバ一人だろう。カインは温厚でビビりな性格だが、王としての力と、ソレをどのように使いどうやった事をするのか、そういう事は子供の頃から叩きこまれて育ってきた。つまり冗談は冗談でも時と場合を考えなければ親しい中でも不敬罪があり得るという事だ。


ジャバもこの事を知っているのか、この狭い空間でしか彼に冗談を言う事は無く、カイン王もそういった冗談を聞く事がここに来る一つの理由になっているのかも知れない。


「前にクレウス君がZ級を持ち帰ったせいで生態系がまた崩れてね・・・」


「その目からすると俺が依頼したのやっぱ気付いたか」


(カインが魚が死んだような目で俺を睨んでくるな、ちと言い訳でも考えるか)


カインは骸のようなその光の無い目は、自分が如何にしてその後処理をさせられたかを語るような、そんな深い闇を抱えていた。


「そこでだ、ジャバ君に少しお願いを―――」


「待て待てカイン、俺の話しを聞いてくれよ。何も何の理由もなくクレウスに頼んだわけじゃあねえんだ。本当だぜ?」


(これ以上特別客をこの国に呼ばれたらメロエとの時間が取れなくなっちまうじゃねえか。シンリーもアイツもアイツで仕事馬鹿だし・・・)


「で?その言い訳と言うのを聞かせて貰おうかなー」


「そ、そうだ、Z級の肉がまだ残ってたんだった、それで今回の件は・・・」


「それって今多分魔物に食われてる奴だよね」


振り返ると一匹の丸々太った狼型の魔物が俺の食糧庫から出てきたところだった。


「メロエには悪いが今日の夜飯は狼のハンバーグだな」


「僕もごちそうになるね、それともう言い訳はいいのかな?」


「グッ、しかしだな俺にこれ以上は・・・」


「ジャバさん、男なのだから諦めなさい。シンリーに言いつけるわよ、店の食糧庫にあるもの全て狼に食われておじゃんになったからまた調達してくれって」


「そしたらシンリー怒るだろうな~ジャバは誰かにこのことも隠さないといけなくなっちゃったな~いったいどうするんだろうな~」


「き、汚ねぇぞ!シンリーを盾に・・・それにお前ら何で外でオオカミが暴れてるって知ってんだ?」


「貴方のよそ見が問題だったわけですから私達の事は今関係ありませんわ。ねぇ、あなた?」


「そうだねぇ~、やっぱこれは運営側のミスだよねぇ。シンリーさん起こると怖いだろうなぁ~」


ケラケラと笑いながら、ジャバを脅す二人。シンリーという鬼嫁の存在に心を震わせる彼の心には今どうやってシンリーに言い訳をするかでいっぱいいっぱいだった。


「わ、分かった、今回の事シンリーには告げ口しないでくれ、あと材料の調達を冒険者ギルドの方へ依頼しねぇとな、後ついでに要件とやらも聞いてやる、分かってるか、ついでだぞ!?」


「それは良かった、この間一年に一度世界中に配られる年間冒険王に載ってたアレが食べたいなぁと思って」


年間冒険王とは、イザヴァルの仲間の一人が発行している定価銀貨十枚の分厚い本の事。中には主にイザヴァルの冒険した箇所がどういう所だったかという事が乗っている。国によってはその本を五冊ほど買い、軍事活動に使用する国もあるほど。


「アレかぁ、冒険者ギルドが賑わいそうだな」


「じゃ、クレウス君にもこのことを伝えておいてくれよ、僕はまた仕事に戻るから」


「本当にアレだけでいいのか?」


「今日は少しジャバが哀れに思えたからね」


「そりゃどうも、またのご来店お待ちしております」


こうして後に料理王が冒険者ギルドに大量の依頼をしたことによって冒険者層が潤う事となり、冒険者の数が増え多くの人が冒険者を副業にしたりしなかったり。











カイン王とメルジーナは馬車に乗りながらとある紙を見ていた。


『明後日君の所にローブ来たお爺さんが現れると思うから、適当に相手してやってくんない?ちょっとウチの腐敗してる部分の奴らが勝手に動いちゃってさぁ。僕は一切関係ないから、最悪やっちゃっても全然問題ないぜ?あ、そだそだ、これはあくまで同じクラスの仲間だったカインに書いてあるものであってカイン王に書いている手紙では無いからね。そこんとこよろしこー(^_-)-☆ 教皇より』


「なんだい・・・このふざけた文面は。しかも僕よりチャラいなんてキャラかぶりも良い所だよ・・・」


「文末の最後にあるこの暗号は何でしょう・・・?」


「顔文字って言うんだよ。まぁ、もうちょっと後に僕達の国でもはやるだろうぜ」


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