夏休み トレーニングメニュー 速さ強化
走って走って走りまくります。つまり別に読み飛ばして良い話という事。
次のメニューは後ろからの攻撃をもしされた時どうするか・・・だ。
と言っても思いつくのは、地道に振り返って剣や拳を振るうぐらいだが。やらないよりかはマシだろうか?
なぜ事件当時付けていなかったのか悔やまれる皮鎧の上から、腰にトレーニングベルトを巻き付ける。そして、ベルトの側面にあるギアを平常モードからHellモードに変更を加える。
難易度はノーマルからハード、Hellモード、Heavenモード、edenモードの四種に分かれ、ノーマルからハードに上げると体を常に締め付けられ、自動的に筋肉を付けられるように設定されている。
その上にあるHellモードとは、体力の限界をあやふやにして死ぬまで動けるようになるモードのことだ。痛みを抑え、内臓がどうなっていようとお構いなく動き続けるという、アドレナリンが強制的に出るモードがこのHellモードだ。対価としては、股間にあるはずのモノの感覚がなくなるぐらいだ。
「はっはっ・・・はっはっ・・・・」
走って走って、初めに酸欠のせいか頭が朦朧とし始める、息を吸うと今度は肺が苦しくなり、立ち止まりそうにもなった。しかし後ろから刺された時の、あの屈辱的な出来事を思い出すと自然と体は動き、足は止まることはなかった。
「ハァハァハァハァ・・・ウグ・・・・ハァハァハァ」
運んでくるのは粗々しい空気だけで、全く喉が仕事をしてくれない。息をある程度まで整えると、今度は体の疲労を魔法で癒す。ベルトだけの回復効果では少し遅いので追加で自ら足に治癒魔法をかけ、足の筋肉を再生させる。
「内側が冷たくなり始めたな・・・・よし、再開だ」
足の治癒も済み次第、再び同じように走る。長距離を意識する走り寄りも単距離を走るように、歩幅を縮めて加速するまでの距離を短く、既に限界には近づいてきている。後少しだ。
「っふ・・・っふ・・・っふ・・・っふ・・・すぅ・・・っふ・・・・っふ・・・っふ・・・」
「ちみちみそろそろやめたらどうだい?、足みてみなよ・・・ぱんぱんよ?早くこっちに来なさい」
「・・・ハァハァハァ・・・・まだ・・僕ならやれますから・・・ご心配なく」
「はぁ・・・あのね。君は侯爵家の長男で、机でお仕事するんだよ?そんな君が将来なんの役にも立たない走りこみをしてどうするんだい?」
「僕は強くなくてはならないんです―――自衛のために」
「だけどねぇ・・・君もうボロボロだよ?それはトレーニングでは無くて自傷行為っていわない?―――それぐらいにしとかないとー、ほんとにぶっ倒れるよ?」
「そんなわけ――――」
意識が朦朧とする中、目の前にいた博士が突如姿を消したかと思い気や、視界が暗転した。
「クレウスもこうやっていつも僕の手刀で落ちてたなぁ~。さてと・・・運ぶとするか。あぁ・・・と、その前に回復魔法をかけとかないとな・・・」
【沈黙の使徒よ、真理を知る我の声に耳を傾け、力の譲渡をせよ。回復魔法、ドルン・エロア】
「よし―――と。体力も少し回復しておいたから、起きたあとも直ぐに動けるようになるだろう。―――全く、全力でなにかにぶつかるその精神ってのは家系の血筋なのかねぇ・・・困った親子だよ・・・」




