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独学の毒薬で異世界無双  作者: ほふるんるん
夏休み編 
54/185

夏休み  二年後の夏 

夏休み編 開始です 





アスクが速い所成人(15歳)になってもらわないと色々と話を進めづらくなってきたこの頃。早めに彼を成長をさせてしまっても良いのではと思ったのですが、まだ色々とフラグを乱立させておきたいのでまだまだ彼の小さい頃の話しを書き続けます。


~2年後 学校は夏休み ~


爽やかな風が、吹くなかで今までにあった出来事がふと思い浮かぶ。


ティアは死んだ父の後継者となり、王の位についていた。王の仕事というのは大変らしくデスクワークに明け暮れる日々だという。仕事はまだ慣れないらしく、新しい事ばかりが増えていく多忙な毎日と聞く。


そんな忙しい友に出来る事と言えば、強壮剤を届ける事と、メロエに作って貰った料理を転移で送る事ぐらいだった。


ダンジョンにもティアは潜れず、戦闘経験の差が出始めたかと思い気や、王という役職に就いた事によって珍しい事ばかりを経験するティアのステータスは右肩上がりで急激な上昇を見せていた。次に出会うときにはもしかすれば、かなり強くなっているかも知れない。


時間が流れているのはなにもティアだけではなく、俺の家族にも小さなイベントがあった。


驚くことなかれ、なんと弟が生まれたのだ。


二年前の夏休みからせっせとクレウスが頑張っていた事もあり、種族の壁を越えてまた新しい生命が誕生した。


(種族の壁というのは、母カトレアの妖精族の血のことを指す。カトレアという、うちの母の父親、俺から見れば爺さんに当たるその人は、妖精界なるものの頭取とうどり的な立ち位置の人物に当たるお偉いさん。赤子の頃に一度クレウスに連れられてその妖精界に行ったらしいが、記憶が存在せず爺さんの顔も覚えていない。しかし今は爺さんのことは関係なく、今はその妖精界の頭取を射抜いたばあさんの方が大事だ。婆さんは人間族、しかもかなりの美人だったらしく、偶然迷い込んだ妖精界で爺さんのハートを打ち抜いたらしい。そして生まれたのがカトレア、母だという。そして俺達にも当然その血は四分の一入っており、小さい頃から俺が魔法を詠唱無しで唱えられるのはこれが一つの理由らしい。)


これがとても可愛らしい。俺のように筋肉質な感じのゴツイ体ではなく、むちむちの腕で、顔も少しぽてっとしており大変可愛い。もう可愛いのだ。例えるなら饅頭が二つ合体していると言えばいいだろうか。とにかく可愛い。そして可愛いと言っているのは俺だけではなく、親であるクレウスやカトレアもそうだった。



「アスクが全然手のかからない子だったから、ティルは楽しみだわ~うふふふ」


「アスクは本当に一人で立って一人で成長したからな・・・今度こそパパっぽい事を・・・!」


「この子は教育のし甲斐があると良いのですが・・・アスク様は理解が速くて楽しくありませんでしたし」


どいつもこいつも滅茶苦茶に言ってくれる、本人が理解していないとでも思ったか。しかし、今キレるのは止めておこう。弟の悪影響になるからな。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ステータス


名前:ティルメイズ・ワイズバッシュ

性別:男

職業:

称号:公爵家次男 

年齢:0歳

種族:人族

レベル1

HP:5

MP:1

攻撃力:2

防御力:1

素早さ:1

賢さ:1

器用:1

幸運:10

通常スキル

エクストラスキル

・カリスマ1


カリスマ1

周囲の人が注目するようになる


見てわかるように弟にはカリスマというスキルを持っている。このスキルがあれば自然とグループができ、自然と友人ができる。


有名人・・・勇者や英雄などが初めから持っているらしい。


しかし、ウチの弟はそんなモノになる必要などなく、ただコレは俺の願望だが、穏やかな環境で育つのにこのスキルが役立ってくれれば良いと思っている。適度に人に好かれ、適度な交流を持つような、憎めないやつになって欲しい。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



弟の饅頭顔を思い出して、馬車の外の景色に彼が大きくなって走り回る姿を想像する。しかし、吐気に勝るモノなし。玄関まで来た泥流を押し戻し、胸を撫でて気分を落ち着かせ、こんな馬車を早く降りたいという気分にさせられた。






何故俺がワープの魔法が使えるというのに、わざわざ馬車を利用して夏休みに実家に帰省中なのか。それには父との面倒な約束ごとがあった。


父に転移について少しばかり怒られたのだ。むやみやたらに転移(ワープ)を人に見せると、その研究をし始める人間や他の種族が出てくるという。


そうなると、父としては少し面倒なのだとか。移動手段というのが簡略化されるのが父にとっては好ましい事ではないそうだ。(クレウスの財源の一つに船や馬車などの交通関係があるため、そこに大打撃を受けると困るということだ)


他にも色々と出来るこの魔法は、余り世間様には見せない方が良いというのが二人の間で相談して決まった結果だった。


クレウスの言うには、時代がこれから進むにつれて、交通の利便化はどこかの勇者が考えていそうなことだと言う。


だからその時はソイツらに一時的任せて、ブームが過ぎた頃に一括で買収する計画を建ててみたりした結果、ワープを使わない事は別に後々のことを考えれば損ではないのではないかという話だった。


巧く丸め込まれたが、クレウスの遺産が溜まれば溜まるほど俺の好き勝手に出来る幅も広がる。将来のために貯めておく金が少なくなるということだ、結構なことじゃあないか。


今はこの馬車に揺られる苦労もいつか金になるならば、この吐気も悪くない気がする・・・・わけがない。どうしたって吐気は気分が悪い、言い繕ってもこればかりは事実だった。



そんなウダウダ考えては吐気を感じてまた考えては吐気を感じて・・・という繰り返しを経て、俺はワープしたい衝動に駆られながらようやく邸にまでたどりついたのだった。


「ただいま・・・・うっぷ・・・」


『おかえりなさいませ、アスクお坊ちゃま』


大勢の使用人達のよくとおる声が俺の吐き気を加速させる。駄目だやめろ――――来るんじゃない。


「水を貰えますか」


「畏まりました。青き精霊神ウンディーネ、汝の力、水流となりて解き放て、水拳アクアパンツァー


俺の顔ほどの大きさの水球が俺の顔面を襲った。詠唱中は隙があったとしても発動さえしてしまえば、魔法によっては弾丸の速度を超えるものがある。今回の魔法は俺が現在進行形で頭から崩れ落ちる程度の速さには十分だったな。


ドシャ・・・・


「アスク様!!!!大丈夫ですか?メイド長、何故このような無礼を?!」


「貴方にはアスク様の御気分が優れていない、今にももどしてしまいそうな様子を見ていなかったのですか?きもちわ・・・彼の気持ちを第一に考え、その意を汲み取り行動に移したのです。・・・この気持ちが貴方にお分かりになって?」


「しかし他にも方法が!!」


「あなたは自分が苦しい時に最適な処置によって治されることと、紛い物の優しさで長い苦しみを味わい続けるのと・・・・どちらを好むのかしら?」


「・・・それは」


「あなたには忠義の意味をもう一度よく考えなおす時間が必要のようです。後で私の部屋に来るように」


「・・・畏まりました」



このメイドついに魔法を躊躇なく発動するようになってきたな。しかも自分がしたことが当たり前のような、そんなあたかも自分の意見を正当化するようなことまで言っている。


「アハハ、良いんですよ。おかげでスッキリしました。シンリー、彼女は僕を思ってのことだ。あんまり叱るんじゃないよ」


「裁量は弁えておりますので。皆のもの、列が乱れているわよ。一からしごかれたいの?速く道を作りなさい」


『お帰りなさいませ、お帰りなさいませ、お帰りなさいませ』


作られた道にレッドカーペットが必要ないのに出される。そこをあるいて家に入らなければいけないのだ、とてつもなく面倒くさい。家の出入りぐらい楽にさせろ。あと、三回も言わなくていい。馬鹿にされているみたいで腹が立つ。




屋敷の中に入ると、カトレアがティルを抱っこして出迎えてくれた。母が出迎えてくれることはとても珍しい。


普段は治癒魔法や火魔法など多種多様な魔法で人命をつなぐ呪院で院長、のような役職についている。精霊というのはもともと余り人前に出ることを嫌がる種族のはずだが、カトレアはその血を継いでいるという話が嘘に思えるほど、人を助けることに無上の喜びを感じる、一般的に変わったハーフだ。


ついでに言うとその呪院というのはウチの邸に隣接されていたりする。なので生命力の弱い使用人などがうちに来ると、シンリーによって再教育が施され、その殆どが病院送りになる。そしてそこから退院してやっとメイドになれるのだ。


ここまで聞けば酷い話だが、今もカイン王とクレウスはかなり仲が良いということもあるせいで、その教育や身の回りの世話をする者達も王室並みに一流である必要があるらしく、メイド教育では最高峰を維持するために、自然と教育が厳しくなるのだという。


俺には価値観が違うから何とも言えないが、病院送りになったメイド達からは一つも文句は出ていないというのを考えると、やはり彼女達もそれなりの覚悟があってここに働きに来ているんだろう。難儀な世の中だ。


「そういえばお父さんは仕事ですか」


「いいえ、確か新しく発見された銀山に魔物が住み着いていないか調査に行ったみたいよ~」


隠し銀山が見つかっただと・・・・?とことん運の良い人だな。どうにかして利権を奪えないだろうか?


「そうですか、ティルは何とも?」


「この子はとても甘えん坊ね~すぐに泣いちゃうんですもの~」


「ほほう、そうですか。元気があってなによりです。僕お先に部屋に戻らせて頂きます」


「お疲れ様~」


部屋に歩いて戻ると酔いがまだ残っているのか、少し体が重い。


「殺風景な部屋に代わりなし・・・・か」


ひと段落だな。ふうー・・・。

シンリーの声は強い女という感じです。

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