悲劇? 喜劇? 魔勇戦?
2017 4月 23日 修正&加筆
ストーリーの中で、ステータスをかけなかったのでここで紹介
ステータス
名前:アスクレオス・ワイズバッシュ
性別:男
職業:毒と賢さの神
称号:公爵家長男 天才 多柱の加護者 魔王のお気に入り サマエルの寵愛
隠し称号:探究者 転生者 カティウスの友達
年齢:6歳
種族:人族
レベル170
HP:5400
MP:25000
攻撃力:28000
防御力:17000
素早さ:27000
賢さ:28000
器用:13000
幸運:1500
通常スキル
・薬学12・鑑定8・看破5・剣術8・大剣術8・身体能力強化8・暗殺術7
・剥ぎ取り3
エクストラスキル
・聖剣サマエル召喚4
・毒薬の才能
ユニークスキル
・毒薬生成7
・限界突破2
加護: カティウスの加護 サタンの加護 ヘルメスの加護 サマエルの加護 ハーデースの注目 アレキサンダーの加護
装備品
■ 至高の上下鎧 古代級
■ 至高のヘルム 古代級
■ 至高のブーツ 古代級
■ 聖剣サマエル 伝説級
ステータス
名前:ティア・ゼパル
性別:男
職業:破壊王子
称号:鬼城を治める者 野菜ソムリエ
種族:魔族(吸血鬼)
年齢:6
レベル80
HP:13000
MP:20500
攻撃力:7800
防御力:5000
素早さ:8000
賢さ:18000
器用:8000
幸運:100
通常スキル
鑑定7 看破6 暗殺術6 双剣術6
エクストラスキル
破壊衝動5:気分が乗ると攻撃力が上がる
吸血4:相手の能力の1000分の1を吸収
不死10:再生力を高める
ユニークスキル
状態異常無効
■ 吸血王の服 精霊級
■ 吸血王の靴 精霊級
■ 吸血王の手袋 精霊級
吸血王シリーズ
三種類で不死スキル1アップ 吸血によるステータス増加量大きく上がる
~翌朝早朝の闘技場にて~
二人が丁度良くコロシアムで模擬戦をしているのが目に入り、俺も混ぜて欲しいと言うと躊躇う素振りも見せず、闘いに参加させて貰った。基本学校だけの付き合いの二人だったから学校以外の場で闘うというのは新鮮な気分がする。鎧の検証がてら二人の実力も見ておくか。
「何故だ、何故切れぬ・・・!」
「拳をはね返すだぁ!?んだよその鎧はよお!!!上から叩き潰してやりたくなっちまうなぁ!!!!オラオラオラオラ!!!!!!」
二人の攻撃を交わしたり弾いたりして遊びながら、朝の軽い運動が続く。転移の後から今までずっと着てみてこの鎧の着心地を試していたが、皮鎧だから毛玉の心配もなく汚れも直ぐに洗い流せる。それでいて人肌に触れているかのように温かく、良い買い物をしたという実感が一日たってジワジワと湧いて来ている。
「鎧の重要性がよくわかりますねぇー。あぁ、メイリオ、左脇が空いてますよ?」
「何!?」
模擬戦なので剣は出さず、変わりの左フックをメイリオの左脇に叩き込む。上手い具合に拳があばらに入り、肉を押し込む感覚が全身に伝わる。
「あ、すいません。僕から見て左脇でした」
「ウッ!・・・・グゥツ・・・」
あばら骨を折らないように、丁寧に肉の感触を味わうだけの左フックを軽く三発、息が詰まって苦しそうなメイリオのあばらに打ち込む。こっからもう一発腹に下からフックで押し込む感じで止めを・・・。
「そうはさせんぞ!」
アルバートが左腕を蹴りで撥ねのけ、剣で間合いを作り牽制をかけながらメイリオを下がらせた。―――良いところで邪魔をする奴だな本当に。剣の腕は半端モノの俺より数段上の強さだが、今の蹴りは剣の踏み込みを応用したものか?はね返しても剣で攻撃できる間合いを作られてしまった。日頃から趣味で闘う奴らは面白いことを考えるな。
「その鎧にその話術・・・流石アスク殿だ、某の目標たる人物の一人なだけある。姑息と呼べば聞こえの良い悪魔のような戦法、そしてそれを可能にする心技体。どれも素晴らしいものだ」
面白い冗談だな、思わずヘルムの下で陰気な男が笑みを浮かべてしまうような高度なジョークだ。アルバートの奴、闘いの上で俺に負けずとも劣らない煽りの技術を少しづつ編み出して来ているようだな。
「ありがとう。これならどうですか?」
アルバートの後ろから土属性に分類される泥の塊を発射する。
「遠慮させて貰う!」
それも見事に攻略され、次の魔法を俺に打たせないためにか、チクチクと堅実に刺して邪魔をしてくる。将来が不安になるような強固な壁を張りながら戦う奴だ。下手に大きく出るとどうなる?
「右の脇を締めて、大振りなパンチが飛んで行きますよ!」
当たればまず間違いなく後ろでチャンスをうかがっているメイリオ諸とも地面に叩き伏せる一撃を持った一発を溜める。『左足を軸にして体を動かしながら左手で顎を守りながら腰で打つ右ストレート』は大人が受け止めても失神するだろう凶悪なパンチだが、果たしてコレをどうするアルバート。
「メイリオ!頼むである!」
「オッシャア!任せろ!!!!!!」
先に打った俺のパンチよりも先に速く飛び出る拳を鎧が自動で弾く。隙の出来たメイリオに止めの一撃を打ち込もうとしたその瞬間、奴の眼が一瞬光ったような気がして・・・そして、
「あ・・・?・・・何が起こったんだ?・・・」
地面に大の字で倒れているのは俺の方だった。何だ?何が起きた。確かに鎧はメイリオの速いパンチを弾いて俺のパンチはメイリオの眉間に直撃寸前だったはずだ。
「メイリオ・・・何をしたんだ?」
「いやぁ、弾かれるもんだから、弾いた腕でアスクさんの腕を受け流したんだぜい!!!!」
「・・・で、あとはお好きなように攻撃できると」
自慢気に言う必要はない、咄嗟の機転でソレが出来るメイリオ、お前のセンスは自慢できる代物だ。正直二人を舐めてかかった部分はあった。油断も慢心もしていた、偶然何かあった時も鎧という保険があると、そう甘んじていたが・・・なるほど、鮮やかに決められてしまったのは俺の方だったか。
「ふぅ・・・僕の負けです。結構なお手並みでした」
「いやぁ・・・なんつうか・・俺達二人でコレですから・・・」
「正直剣を交えたかったのである。次からは剣で勝負してほしいのである」
「そうですねぇ・・・では次やる時は必ず」
「お願いなのである。某は後に国の剣となる者ゆえ、手加減されているようでは責務を全う出来る自身が無いのである」
「俺も次は骨を砕き合う闘いがしたい!!!このままじゃあ俺もバティス家の名折れってもんだぜ!!」
野郎ども調子に乗りやがって・・・・。・・・・まあ、今回はいい。十分な収穫が出来た。早く帰ってさっきのメイリオが見せた一連の動きを再現して二度とあんなことにならないように反復しなければ。
二人と別れてコロシアムから出ようとすると、人だかりが出来ていた。横断幕や看板を持った奴らはデモ隊か?見た中では『アルバート様素敵最高!』やら『メイリオ君大好き!』などといった内容で反政府的な物ではないように見えるが・・・鎮圧すべきだろうか?
「あぁ・・・また来ているのである。あっちに行って欲しいのである」
「嬉しいけど、あとにしてくれ!!!!!!今はアスクさん・・・アスクレオスさんが帰る途中なんだ!!!!!!」
あだ名で呼ばれない事がこんなにも悲しいなんて・・・・。と思ったりした瞬間が僅かにだが俺の中にあった気がしないでもない。気のせいかも知れない。それとやっぱり彼女達はデモ隊だったのか、緊急事態を示す赤ランプと共に警告音が鳴り響く。
「緊急警報!緊急警報!これは訓練ではありません!勇者の軍がこの学校に攻めてきています!原因は不明!繰り返す!緊急警報!勇者の軍が攻めてきています!生徒はただちに先生の指示に従って避難を!Z組の皆さんは勇者迎撃の自身がある方のみ教員と共に防衛戦線に向かって下さい!!緊急警報!緊急警報!」
施設の中の闘技場を中心としたあらゆる場所が警告音を響かせ、施設にいた生徒達は複数ある扉から我先にと蜘蛛の子を散らすようにして逃げて行った。
「アスク殿コレは緊急事態である、戦いは一時休戦といたそう。某は先生に話を聞いて参る」
他の生徒達が大量に出入りしている扉を切って渋滞を解消した後、流れ出るような生徒と共に教員の元へとアルバートは走っていった。
「勇者がこの学校に攻めてきただとぉ!?アスクさん!何匹勇者狩れるか勝負しようぜ!!!」
「一応相手は勇者ですよ・・・全く。油断は絶対してはいけません、殺すなら一瞬。相手に一言も喋らせず一撃で、それが出来ない相手なら逃げた方が良いでしょう。何よりこちらは情報不足、情報収集が先です」
「一撃必殺なら任せておけ!!!連打も得意だが一撃にも俺は自身がある!!!!」
「・・・・・・・はぁそうですか。では僕はとりあえず空から勇者を見てみるとしましょう」
メイリオを連れて、闘技場が中にある施設の上にワープすると、多くの校舎は光る炎で焼かれ、唯一無事なZクラスとSSSクラスのある黒い樹の校舎に皆が避難しているところだった。
勇者の姿は向こう側に三十とちょっとばかりいる。見た所学生服のようなものを着ている、それに前にたって先導しているのは教師にも見える。
「アスクさん、アイツら異世界転移者って奴だろ!うぉおおお!!初めて見た!!あれが異界の人間か!!!ワクワクすんな!!!」
下でメイリオが叫んでいるが、実はこの世界には異世界転移者は数多くいる。だいたいSSランクからSSSランクと言われる強者たちになるというのが殆どらしく、彼らの利用には最近用検討という定評が付いて回る。
「あ、アスクさん!!!あそこ!!!ティア様だ!!!勇者の魔法を魔法で食い止めている!!!!」
「ティアはもう研究は良いんでしょうか?」
「・・・アスクさんあんたちょっとマイペースな所あるよな・・・なあなあ、助けに行こうぜ!!!!、な!」
「マサトラ先生も防衛戦線に参加しているみたいですね。話も聞きたいですし、行きましょうか」
「待ってましたあ!!!!!」
メイリオを連れて転移で向かうと、ティア達はなぜか防戦一方の様子。
「何してるんですか?」
「これが校舎を守っていないように見えるか?」
「いえ、そうではなくて。何故勇者を全部潰さないですか」
「それが出来たら苦労は・・・」
勇者の頭上に風魔法で跳ねる。消費MPが半減と威力upで前以上に風魔法による跳躍が可能になったいるのが、鎧の効果だと使った後に気付き、その効果に驚く。
「そして勇者に毒が効くか不安だが・・・!」
空中から、勇者の軍団目がけて瓶を投げ落とす。
「まずはお遊びで作ったストリキニーネジュースを君たちに振るまおうじゃないか。はっはっは」
バシャバシャと、音をたてて勇者達の前で破裂するストリキニーネ。
「教師っぽいのにはお気に入りの希望喰ライを進呈しよう」
今何を投げているのが何か分かったのか、直ぐに口を手で塞ぐ勇者達。
「クソ!なんだよこれは!」
「飛んでるアレ何よ!異世界にはフライングヒューマノイドまでいるっていうの!?」
「コレって毒魔法って奴でしょ!!皆口を塞いで!!」
一人、口を覆いも何もしない奴が一人、こちらに剣を構えている。
・・・・毒無効の類を持った勇者とみても良いだろう。しかしおかげで良い事が分かった。
【勇者にも毒は効くのだ】
その情報は今一番俺の欲しかった情報。勇者が全員口を塞いで毒が効くフリをしているかもしれない。だが、今こうして口を防いでいない勇者が一人でもいた場合。
それはアイツの移転した時に得た力が毒無効の類という事だ。そしてそれ以外は別の異能の力。会話の内容がダダ漏れな所から見ると、こちらにきてまだ日が浅いのか戦い慣れしていないようだ。
「良かった。馬鹿がいてくれて」
「喋った・・・!アレ、喋ったぞ。雄二郎!」
「異世界の敵でいるだろ、魔王の幹部的なアレ、そういう類のだろ。達也、俺達の目標は魔王だ!アイツは毒の聞かないお前に任せるぞ」
ペラペラと情報をはいてくれる子は良い子だ。俺はそういう騙しやすそうな奴を相手にするときが一番気が楽で好きなんだ。出来れば、もう少しお相手して貰いたい。
「よし、おい!銀のフライングヒューマノイド!!俺が相手だ!!!」
誰が銀のフライングヒューマノイドだこの野郎。それと薬の効果がもう現れてコイツら自分の顔が笑顔になっていっている事に気づいた方がいいころじゃないか?
「あ、あれれ。私体が痺れて・・」
「まって、今私が治癒魔法を・・・口が・・・しぶれて(痺れて)・・・・・えへない(だせない)・・」
「あれ、ぼくも・・・・」
「な・・・・んで・・・」
「なんじゃこりゃ・・・・」
「「「「なんで?」」」」
攻撃特化型の勇者達がこんなに脆いとは。まあ、初手で毒攻撃を使う相手に出くわしたお前達の不運を呪うんだな。ストリキニーネには対象のステータスを下げる魔法を付けてある。痺れて能力値も下がって、初見の初手で受けるには辛い攻撃だろう?
「おい、フライングヒューマノイド!俺の仲間に何をしやがった!!!」
俺もそのテンションで会話に受け答えしなきゃいけないのか?・・・しょうがないなぁ・・・。
「ふふふ、はっはっはっはっはっは!!貴様の仲間の命はこのフライングヒューマノイド様が預かっている!!質問に答えれば薬を渡してやらなくもないが。どうする?」
おぉ・・・自分でも驚くほどノリノリじゃないか、俺。しかも中々に面白い。
「クソ!卑怯な!なんでも話す!早く仲間に薬を!!」
ヒッ、コイツ面白いな。絵に描いたような良い奴だ。なら俺も・・・
「では聞こう、貴様はなにゆえこの場所に進攻してきた。この場所は次世代を担う若者たちの集う学び舎。そのような場所を狙う勇者など私は聞いた事が無い!答えよ!!!何故だ!何故ここを狙う!!」
楽しいなぁ・・・もっとやらせてくれないかなぁ・・・。しかしいい加減にしないと周りの奴らが一人ぐらい呼吸困難になって死んでもおかしくないから、それに気を配っても良いと頃だろう。特に教師っぽいの。早くしないと真面目に他の生徒よりも危険だぞ。
「俺達はお前達とは違う学び舎で勉強していた者達だ」
「知っている、異世界の学生だな」
「そ、そうだ!何故知っている」
「ソレは学服だな?全員が同じものを着ている」
「分かってくれたか!そうだ、俺達は学生なんだ!それが神様とかいう奴に連れられて学校の教師とか事務員とか全員とコッチに転移して来たんだ!お願いだ。話の分かるお前とは戦いたくない!」
戦いたくない系主人公キタコレ―――っと、竜海がいたらいいそうだ。取りあえず、別の薬で彼らは助けてあげよう。こういう面白い奴は残しておくに限る。というか滅茶苦茶弱いし。
俺が鎧を着ていて強そうに見えるからかも知れないが、誰も攻撃しようとしない。やったのは俺が来る前に魔法で何発も学校に攻撃したぐらい、とんだ根性無しだ。根性無しと分かれば後は少し遊ぶだけのこと。おっとっと?いつぞやのデジャビュを感じるな・・・。
「なるほど、貴様の要件は理解した。なら私の配下に加わる事を条件にして助けてやろう」
「こ、断る!」
あー楽しい。
「時給銅貨十二枚、他に用事があるときはキャンセルも出来る。特別サービスにお前は時給銀貨一枚でもいいぞ」
こういうの、どうだろうか?
「何故俺だけ・・・いや、そんな事はどうでもいい。断るものは断る!」
だろうと思ったよ。しかし良いと思ったんだけどなぁ、時給銀貨一枚。こんな仕事絶対ないぞ?一日十時間働くだけで十銀貨、異世界換算で十万円。危険な仕事だけど儲かるのになぁ。
「では仕方無い!更に特別サービスだ!お前達の元いた異世界に帰らせてやろう!配下に加わればだが!」
さあ!これで俺の配下(実験動物)に!
「断ると言っているだろ!!!薬はお前から奪えば良い!くらえ!アブソリュート・アルマゲドン!!うぉおおおおおおおらあああああああああああああ!!!!」
世界滅びそうな技だなぁ。いや、名前だけだが。ただの光魔法と闇魔法を合わせた魔法剣だ。こちらは何もしなくても大丈夫だろう。
「あ、そういえば貴様が私と遊んでいるうちにお仲間はもう異世界にお帰りになったぞ」
「へ?」
「いやぁ・・・なんかすいません。もうそろそろ口調も直して良いですかね。・・・実は全部君たちから情報を聞き出すための演技だったんですよ」
「はひ?」
情けない声を出すなよ、聞き間違いじゃなければ裏声になってるじゃないか。どんだけ驚いたんだ?別に不思議な事じゃ無いだろう。
「君と僕とで話をしている間に薬の解毒薬を後ろにいた彼らにワープで届けてたんです。いや、あんまり長話してると本当に彼ら死にそうだったので。ちょっと君と遊んでいる間に彼らをワープさせて、もしかしたら異世界について知っているかも知れない人の所に届けたんですよ」
「どこへ・・・」
「サタン様の所です。君もどこかの神に連れてこられた哀れな被害者なんでしょ?ならもう帰りなさい」
殺すなら復讐やら憎悪に満ちたような目をした奴、あるいは反抗的な目をした奴に限る・・・人を殺すなんてしたくはないが・・・仕方なく。泣く泣くやるしかないときは、そういう奴が良いなという話だ。
「ちょ、俺は貴方の配下には・・・」
「実験動物は他で探します。楽しかったですよ、異界の道化師さん」
話が終わると同時にワープの呪文の起動式が彼の足元に完成し、サタン様の所へ最後の一人の転送を終了させる。
「サタン様のいる所・・・といっても、この学校の校長室なんですけどね」
とりあえず要件は済んだので、ティアとワープの呪文を使い、光の炎でまだ生き残っている生徒を助けて回る。
途中で何人か力尽きる生徒もいたがそれも薬で何とかできた、なのでかろうじて被害を最小限にとどめる事には成功したわけだが・・・
「勇者とかいうふざけた連中、俺は許さん」
「しかしティア、ぶっ飛ばす連中はもう返しましたが。あ、他にも勇者が各方面から着てるんでしたね」
「お前はどうしてそんなに冷静でいられる!!仲間が!同じ時を過ごした仲間が傷ついているこの状況で!」
「いえ、僕も怒ってますよ。勇者では無くソレを先導してきた神の方にですが」
「神?だと」
ひと段落した後、ティアと話しをしていると、マサトラ先生がやってきた。
「アスク君ティア君、君達は戦力になりますので職員室に来てください、あ、お家の許可は取ってあるので辞退はできませんよ?」
『するきもない』
職員室に向かうとサタン様と校長先生や他のクラスの先生が来ていた。どうやらサタン様から話があるらしい。
「お前達も知っての通り、今日攻めてきた勇者達について話をする。今回攻めてきた勇者は私が異世界を巡って見てきたどの勇者よりも思い込みの激しい奴らだという事がまず一つ、そして想像力の豊さは我々を凌ぐ高さだ。魔法にとって想像力はいわば力の一つ。十分に気をつけるべきものだ」
「転移者・・・ですか」
「マサトラ、その通りだ。それとアスク、勇者達との会話は私も聞かせて貰った。ご苦労だったな」
聞かれていたらしい、流石・・・何でもアリだな。
「情報を整理すると、黒幕は神だ。中級神ならこの世界に神格のまま出てくることは難しいだろう、ならば下級神になり立ての世間知らずが私に挑戦状を叩きつけてきたという解釈で良いだろう。下級神が勇者の軍団を異世界から連れてこちらへとやってきた・・・という中々にセオリー通りの展開ではあるが・・・気を引き締めて事に取り掛かって貰いたい」
「相手は神・・・、なら私達教員は今後どういった対策をしていけばよろしいのでしょうか」
「うむ、私も何度かこういう体験はしているから対応策は一応ある。しかし君達の安全の保障が出来ない。そして中には勇者に恨みを持つ相手もいるだろう。教職員は各自で生徒保護と防衛を、任せられるな?」
「勿論です」
「「「生徒は私達が守ります!!!」」」
ここの教職員は優秀だな。そういえば、後から聞いたが、ティアは自分の父親を他の勇者の集団に殺されていたらしい。しかもサタン様・・・魔王と間違えられて。
「親父が死んだから俺はもう城から殆ど出られなくなる・・・勇者共・・・許さん・・・!!!」
父親が死んだことよりもそれによる自身のデメリットのことで頭がいっぱいのようだ。というよりも、王族の家族関係というのは存外サバサバしているという話を耳にしたことがあるので、実質そこまで親子の絆という物を感じてはいないのかも知れない。
「・・・よし、勇者も人間だ。夜は引いて再度朝になってからくるだろう。私の経験そくから言ってそういった夜に奇襲するタイプの勇者は少ない。彼らも一応人間だから夜目は聞かないからな。君たちは明日に備えて眠りなさい。私が夜の番をする。以上会議終了、各自やるべきことを最大限にしろ」
『了解!』
勇者VS魔王編開始です




