次の準備 4 武具
俺はこの一か月様々な毒薬を作成し、その中で毒薬生成のレベルを上げ、希望喰ライと希望の生産者という、少し特殊な相手を想定した薬を作成する事に成功した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■ 希望喰ライ 伝説級
効果:発熱や嘔吐、出血から全身麻痺など、あらゆる病気の症状がでる。全ステータスを下げ、抵抗力も一時的に下げる効果を持つ。無効スキルには効かない。
材料:マンドラゴラ 古代蛇の毒袋 その他
説明:あらゆる苦痛を乗り越えた先に待っているのは本当の自由。
■ 希望の生産者 伝説級
効果:あらゆる病魔を退け、死後十分以内に限りその体を完全な形で再生し、ショックを与え意識を吹き返す。五秒以上たったものに使用した場合ゾンビとして新たなる生を迎える。
材料:希望喰ライ 毒薬生成7
説明:新薬のため、説明はまだありません。
ちょっと最近新薬作り過ぎじゃない?自重してよね!by神界鑑定部 薬剤類科
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
説明欄に文句のようなものが添えられている気がするが多分気のせいだな。
毒の準備も出来た、後は鎧をとりに行ってとりあえず物は揃う。それから少し実践練習も踏まえて対人戦も何回かして起きたいな・・・・そういえばメイリオが遊び場にしてる闘技場があったか。
学生相手に毒は使えないとしても技の練習台ぐらいにはなってくれるだろ。致命傷でもあそこの保険魔呪師は優秀って噂をどこかで聞いたような気がするしな。
取りあえず鎧をとりに行かなければ話が始まらないので鍛冶屋のオッサンの所にワープで飛ぶとしよう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
~鍛冶屋 レボルタ ~
ボロボロの木の看板にもちゃんと名前が入っていたのか。鍛冶屋レボルタね・・・これからも使うだろうし名前ぐらいは憶えておくか。
「レボルタさんいらっしゃいますか~」
「・・・・アスク君か、例の物はできているぞ。きたまえ」
店のカウンターの奥にあるゲートの奥へと更に進むと、以前みたファンタズマが量産されている工房にたどり着く。工房と売り物が近くにあるので、微調整などは直ぐに頼むことが出来るというのが、ここに部屋を作った一つの利点なんだそうだ。
用意されていた鎧を見ると、神々しい・・・という雰囲気もありながら、鎧本体が自立して動きそうなほど何かどことなく不安にさせる輝きを放っている。
銀色をベースに黒の入った全身皮鎧が基本ベースとなり、金属や宝石、鑑定によると暗黒物質なるものが装飾につかわれている。
(どこからこんなもの持ってきたんだこの鍛冶屋は・・・予算足りてるのか?)
「この皮鎧とかは元が分かるんですが、この心臓部にある暗黒物質の装飾品はなんです?」
「ほほう、やはり君もそこに目が言ったか。偶然にもサタンがここに来てね、君へのプレゼントだそうだ」
様づけしない辺り、このオッサンかなり凄い人のようだ。サタン様というのは、彼(サタン様)の能力の一つだ。強い力の持ち主だったり、身内だったりすると様づけさせる能力は発動しないらしいが・・・まず身内以外で様づけの力を免れるのは今の所ウチの親と伯父ぐらいのはず。このオッサン・・・なんなんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■ 至高の上下鎧 古代級
効果:完全適応
材料:聖銀 暗黒物質 天使竜の皮 天使竜の翼 天使の羽 その他多くの宝石
説明:天使竜の皮をベースに、金属にミスリルを使用した鎧。装飾には数多くの宝石をこしらえた至高の一品。今にも動き出しそうな雰囲気を醸し出す。
■ 至高のヘルム 古代級
効果:完全適応
材料:聖銀 暗黒物質 天使竜の頭 天使竜の剛角 天使の皮膚 その他装飾に使われた宝石
説明:天使竜の頭を使って作られたヘルム。元からあった強靭な竜の骨に聖銀を加えた事による強度は、数多の物理攻撃を真正面から捕らえ滅する。
■ 至高のブーツ 古代級
効果:完全適応
材料:聖銀 天使竜の天爪呪いの宝石 天使竜の皮 天使竜の髭
説明:匠の技により、重量を五分の一にまで軽量化した軽いブーツ。呪いの宝石は使用者の魔力を少量使用する事によってブーツ本体を少し浮かせることが可能。変則的な蹴りを放つことが出来る。
■ 至高のガントレット 古代級
効果:完全適応
材料:聖銀 暗黒物質 神秘の宝石 天使竜の皮 回復魔導第零式
説明:神秘の宝石と聖銀の力により、全体の魔力使用量半減&威力+大UP。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「色々聞きたい事があるんですが、古代級の装備ってのは・・・沢山効果が付くんですねぇ」
「身を守るだけが防具の役割ではない、ということを世の中の鍛冶屋には分かって貰いたいものだが・・・残念ながらこういった効果をつけるのは私のところぐらいだろう」
「それはどういう・・・」
「他の所は耐久性と防御力を重視したものが殆どだ。魔法式を加えたとしても硬化の魔法のようなものなどで、攻撃が当たった瞬間に発動するような物だろう。しかし王道というのは何とも面白く無いだろ?」
俺が実際求めていたのはその王道というモノだったんだが・・・奇妙なモノを作られたものだ。単純に暴力が上がれば別にそれでいいだろうに、態々そこまで武具に頼るというのはかえって油断を招きそうだな・・・だからレボルタは装備する者を『選ばなければならない』ということになるのかも知れないが。
「・・・・・・・紙装甲だったりしないですよね?」
「そこも面白いようにしてある。試しに私が君をグーで殴るとしよう」
そういって鎧を着た俺にグーで顔面に殴りかかってきたレボルタ。予想だにしなかった攻撃に避けようとするも余りの速さに体が追いつかない。しかし、ヘルムが丁度俺の頬の部分のみをガードし、ゴムのようにレボルタの手を弾く。弾かれた手から懐に入ればすぐさま反撃が出来るといった仕組みらしい。
攻撃を連打してくるようなメイリオタイプが相手なら、技を分解するのは勿論のこと、カウンターで顔面にパンチなり剣なり叩き込むことも可能になる。しかも意識せずとも鎧が自立してソレを行っている・・・魔法で細工しているのだろうが・・・凄い技術だな。
「カウンターを狙った防具ということですか?」
「いや、その考えは止めておいた方が良い。あくまでこれは保険のようなものとしときなさい。ガードできるものは魔法で防ぐ、これは隠し玉だ。分かったかね」
「はい。他にもこの回復何とかって奴はなんです?」
「回復魔導零式の事かね。そいつは私の趣味だ。そいつのおかげでいつも能力付与に大幅な制限が付いたりと、中々厄介だがいつもつけることにしている」
「それで本来活かせたはずの効果が出ない・・・何てことはないと言ってくれますね?」
「問題はない、安心してくれたまえ。しかしクゥールだとは思わんかね?ネーミングセンスも光ることながら効果も冒険王の折り紙付きだ。この仕事ができる鍛冶職人は世界の何所を探しても私以外にはいないだろう。気に入った武具にのみつける至極の品の印だ」
「で・・・能力は?」
「触れれば出る、以上だ」
「もう少し具体的に言えませんか。回復魔法なんだから傷が回復するとか」
「いや、回復はせんよ?」
しないのか・・・。じゃあなぜ回復魔導なんだ・・・まったく持ってよく分からん。
「では何が・・・」
「今の君には到底分かる代物ではない、これが説明だ。分かったなら帰りなさい」
「・・・ありがとうございました」
・・・キレてないっすよ。ただちょっと周りのもの巻き込んで自室に転移したぐらい。




