冒険者ギルドで支部長に会いました
ギルドに着いたところからです。
冒険者ギルドに着いた俺達は、真正面にある受付に向かった。
面倒くさいのがまた来たと、言わんばかりにギルド嬢はため息をつく。
「・・・バッシュさんに言われたのに君たちまた来たの?」
(魔物狩りは危険だから大人になるまでは控えて欲しいんだけど・・・)
三人とも頷き、それぞれがモノを用意をする。
俺は生け捕りしたサイレントスネークを、ティアは大量のオーク、そしてメロエは帰り道に偶然仕留めた角兎と言われるウサギの魔物だ。
「じゃあ、そこのトレイの上に魔物を置いてね」
半径三十センチほどの丸いトレイをギルド嬢が指す。
「お姉さん、このトレイでは壊れてしまうので別のはありますか」
「分かったわ、じゃあこっちの鑑定室にきてちょうだい。こっちなら大きな台があるからそこなら大丈夫なはずよ。荷物はそとにあるのかしら」
(やっぱりこの子達・・・あの人と同じ臭いがする、昔あったあの人と同じ感じの臭い。彼と同じ部類ならこの子達・・・危険ね)
受付の隣にある部屋に案内され、その部屋への扉を開けると鼻を刺すような刺激臭が鼻を抜ける。どうやらここは、解体や鑑定のスキルを持たない冒険者がギルドに頼んで解体してもらう場所のようだ。下の大理石の隙間と隙間からは血が流れ、つばを飲むだけで血の味がする。
「じゃあこのテーブルに置いてちょうだい、ここなら大丈夫でしょ?」
「はーい!じゃあ私から。アスク、アレだして」
頷き、魔法で作りだした亜空間から約一メートルほどの針兎を取り出す。魔法で作った亜空間の穴にも驚いたようだが、取り出したものからも驚きの表情が隠せないようだ。
「貴方それどこから出したのよ・・・それよりこの個体はニードルラットよね。一般的には緑色で毛並みもザラザラで余り毛皮としては良いものではないのだけれど・・・この青色のツヤツヤはなんの冗談?」
「ニードルラットの特異個体なんだって~、二人とも初めて見たって驚いてたんだよ!!」
「あっはっはっはっはっは、ユニーク個体を倒す事ができる学生なんて面白い。いいわ!とっても良いじゃない?ホントにユニークなのって魔物じゃなくてあなたかも知れないわね。それとやっぱり後の二人も貴女と同じ感じで強いのかしら?」
「いえ、二人は私よりもずっと強いんです」
「そうなの?じゃあ楽しみねえ」
(こんな子供がまだ二人もいるって言うの?冗談はよしてよね・・・。一日に驚くのは一度で十分なのよ、しかもこの子よりも強いなら当然その獲物も凄いはず・・・私大丈夫かしら、とりあえず冷静にならないと)
(この子が三人のリーダーじゃないみたいだし、そうなると亜人のヴァンパイアの子がリーダーかしら。話し方もなんだか強そうだし。隣の男の子も強いのかも知れないけど、これぐらいの子なら冒険者にも普通にいるし、礼儀正しくて良い所のお坊ちゃんって所かしら・・・でもこの子の顔どこかで見た事があるのよね・・・・)
「次は俺が出す。アスクの次は嫌だぞ?」
ティアは作り出した穴からオークを一匹、二匹・・・と、次々と机に皮と肉をセットで並べて行く。そういえば今近くで見たがオークも全部同じに見えて服装やら顔が違うようだ。
「こんなに沢山・・・しかもこれオークジェネラルとかちらほら見えるんですけど・・・」
(子連れのオークなんて見方によってはCランクにもなるわ、それと言い逃れできないほど立派なCランクモンスターのオークジェネラル・・・まぐれでどうにかなるような相手じゃない、一体この小さな体のどこにそんな力が・・・)
「俺にとってコイツらは肉だ、それ以上でもそれ以下でもない」
「オークジェネラルはCランクはあるの!、そんな個体を他のオークと同じって・・・もういいわ、諦める、貴方も冒険者になるのに十分な力を持っている。・・・それで最後に貴方・・・ね。二人が言うにあなたが一番強いみたいだけど、これ以上はもう私は驚かないわよ!かかってらっしゃい!」
「そんな驚かそうだなんて、僕の彼女はそんな人を驚かすような子では無いのですが・・・」
サイレントスネークを亜空間からだし、大きな瓶に漬けたままの状態で籠の上におく。
「こ、これって・・・死・・・神・・・・・、たたたた、助けて支部長!!!ギルドに生きてる死神が!!!」
ばたばたと部屋を出て二階に行ってしまった。もう少し大人しく出来ないものか。ビックリマークたっぷりで子供みたいな人だ。
「どうしたんだ?」
「さぁ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少し待っていると小さいエルフの少年が扉を開けて辺りを見ると、俺達の方へと歩いてくる。どうやら彼がギルド嬢のいう支部長らしい。
「君がサイレントスネークを生け捕りにして来た少年か・・・そういえばどこかで見たような顔だね」
「いえ、初めてだと思いますが」
(もしかして父親とでも見間違えてるんじゃないだろうか。勘弁していただきたい)
「・・・済まないが少し笑ってくれないか?」
「・・・・これで良いでしょうか」
(やっぱり父さんと間違えているな。そのうち笑顔がコンプレックスになりそうなんだが)
笑顔を見せると、支部長は暫く動きが膠着するも、ぎこちなく笑みを浮かべてこちらに問いかけてくる。
「そのー、悪魔・・・・じゃなかった、ギルマスの息子さんではないでしょうか」
(一瞬でかかったのは本音か。まあ俺も初めはそう思ったし、今でもそれは変わらないから追及するのは野暮ってものだな)
「はい、アスクレオス・ワイズバッシュと言います」
「で、デスヨネェ。し、シッテマシタ。あの・・・大丈夫なんでしょうか。こんな所にいて」
「え、支部長支部長、ギルマスの息子さんに私、とってもきつく言ってたんですが・・・私は大丈夫でしょうか?」
二人とも上司の息子だとわかると、あからさまに態度が変わる。特に支部長はかなり動揺しているようだ。過去に二人に何かされたのか?
「え、マジで?君ヤバいかも。いや、君ヤバいわ。僕もヤバいけど、君は絞首刑じゃ済まないかも・・・だってクレウス君僕と話すとき大体息子の話しかしないような人だよ?最近あの人変わり過ぎてて怖いぐらいだし。その息子に何かあったじゃこのギルドと僕達は・・・・アワワワワ」
元々色白のエルフである彼の表情が更に青白く染まり、ガクガクと顎と唇が震えている。困った人達だ、勝手に妄想して勝手に震えている。
「アスクレオス様、申し訳ございませんでした!!!コ、コフィルはまだ死にたくないです、お願いです。どうかお許しを・・・・」
「大丈夫ですよ、僕は何も言いませんから。それよりも僕も冒険者になれますか?」
若干ウンザリしたように言ってしまったかも知れないが、それを不快に思うほど今の彼らに余裕はないだろう。
「あ、それなら問題ありません。第一クレウス様のご子息にはギルドのルールは全て無効にさせていただきます」
「仕事をしない部下は父にとって必要ないと僕は考えているのですが・・・彼方たちもその部類なんでしょうか」
「あ!!!そういえば、誰にでも平等にギルドはあるんだったー!そうでしたよね支部長!」
「え?あ、ああ!、そうだとも。地域の皆さまの!平和と!秩序を!守るのがこのギルドです。ですので決して私利私欲で動かしているわけではないのでーす!」
俺達は冒険者になった。
次回は冒険者の説明のおさらいと、より深く冒険者について話します。




