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独学の毒薬で異世界無双  作者: ほふるんるん
大会準備編 
171/185

地獄編 一 砂漠の地獄

地獄で魂を回収、魂とは何だろなー。

黄色い砂の上に珍妙なオブジェが所々に隕石のように落下している場所、サマエルが言うには地獄だ。竜海と少しばかり神界の辺りをウロチョロとしていたところ、偶然にも以前神界に来た時に一緒に仕事をしたオッサンの天使がいたので、ソイツに案内を頼んだのだ。


地獄と言うのは俺が想像していたよりも寂しい場所で、悪鬼羅刹が亡者にワンツーマンで刑罰を与えると言った仕組みなどなく、ただ決められたメニュー通りに多くの亡者が少数の監視のもと罰を受ける場所と言ったようなイメージを持った。


そのメニューの中に有名な蟲の地獄やら飢える地獄なんかがあるそうだ。案内の天使が地獄マニアらしく、そこら辺を歩きがてらに聞き、移動の最中で色々と地獄について知ることが出来た。


奇妙なオブジェの正体が魔物や獣の亡者だとか、そういう悪い奴らの中にも反省しない奴はもっと深くまで地獄に落ちるのだとか。今回サマエルに纏わせるという話になっている亡者は既に地獄の方で選ばれ、一番最下層にいるとか。


下に行けば行くほど罰が重くなる地獄で、その仕組みを分かっているのに下に落ちる亡者というのは余程の馬鹿かお子様なのだろうと思ったが、お子様って言うのはお子様に失礼だとも思う。


だが、そんな地獄が認めた公認の馬鹿共が俺の武器の材料になるらしい。頑固かも知れないが、折れにくい武器にはなりそうだ。


「アスクさん・・・此処からは天使さんはついていけないそうです」


「何で?現世案内じゃあ不服だったか?」


「あの、あのアスクレオス神、私にはこの先の道は危険なのです。堕天の可能性も考えられるほど瘴気や倍増ではすまない悪い亡者の数々、先ほどまで片手間に薙ぎ倒されて来た亡者とはレベルも技術も違います。いくら二柱の神がお守り下さると言っても、私が正気を保てるとは思えません」


「無理だと言うならしょうがない。ご苦労さん、現世案内、帰ったら楽しみにしていてくれ」


「あり難き幸せ。では私はこれにて失礼させていただきます」


天使が去って言った後に竜海がボソッと日本語、「あの天使さん日本人ですか?」と聞いて来たので「お前の翻訳スキルが何となくそう解釈したんじゃないか?」と言うと何かとても納得したように頷いていた。


完璧な翻訳スキルが存在しないのと同時に、異世界の翻訳も時々面白可笑しく解釈される時があるのだ。さっきの天使のお礼が、俺の方では時代劇風にアレンジされたように。


「竜海、準備は良いか」


「良いですよ~、爪もイイ感じに尖ってますしぃ~なにより神界は体が軽いので」


「よし、地獄巡り再開だ。あとちょっとだけどな」





~ 地獄最深部から三フロア上 ~




青いひび割れた太陽のような恒星・・・・なワケねえか。地獄を照らすランタンと言ったら違う気がするし、子どもに教えるなら多分お空の上に青い割れた皿のような太陽が昇っていると表現するだろう。


そんな面白太陽が昇っている砂漠で、上を見上げれば果てまで砂漠と同じ黄色の空。この異様な光景と四十度はあるのではないかと思われる気温で、立っているだけで気がおかしくなりそうだが、亜空間から水を時々被りながら進むことでそれも幾分かマシに思えた。


時々巻き起こる砂漠の砂と黒い異物を含んだ塵旋風じんせんぷうが、辺りの砂を巻き上げながら時々遠くで亡者を巻きあげているのが見えた。


「アレに飲まれれば時々降って来る肉片になるのだろな」


「付近に現れないことを祈るばかりですね・・・」


「俺の幸運は千を越えている、問題ない」


「変なフラグ立てないで下さいよぉ!」


それから何度か地獄の塵旋風じんせんぷうを見たものの、どれも近くには起こることはなくただ遠くで被害に遭った亡者の肉片が、降り注ぐばかりだった。


舗装された道のない地獄の砂漠地で、劣悪な環境の中でも嫌々ながらも刑罰を受ける亡者達はその殆どが正気を保てておらず、ただ与えられた罰を健気にこなす獣のようにも思えた。


救済されるのを待つ彼らだが、そんな彼らも元々は何時の何所にいたかは分からないが、神の定めた悪行をして来た者達だ。


当然の如く、襲って来る亡者も多くいる。その中で他人の足で作ったような鈍器を振り回す奴や、何者かの皮で装備を一式持っているものなど、僅かながらに残る自我と知性で作り出した武具を持つ者達は、ソレだけ体に馴染むのか、かなりの強さを持っている。


しかし個性豊かな武器で襲いかかってくると言っても亡者も元はただの人間なので、斬れば血が出て叫び声を上げる。そしてその鳴き声にも似た叫び声を聞いてまた新しい亡者がやって来る、つまりは黙って倒さなければ仲間を呼ばれるシステムになっている。


正直言おう、面倒であると。確かに大人数で攻められれば自然と後ろに下がったりはするものの、レベル差もあり考える力があれば例え大群の亡者であっても負ける気がしない。



「レベリングには最適じゃあないですか。ここらで五レべは上げられそうですね」


などと竜海が欠伸あくびをしながら言う始末、ここを早く終わらせて地獄の最下層とやらに出向こう。


~地獄の最下層から 二フロア上 ~


重い罰を与えられる亡者にはそれ相応の肉体を用意されているらしい。火に炙られて正気を保つことや、斬られても傷が素早く塞がるというような固有の能力を持つ個体と道の途中に何体か対峙した。


しかし、複数の群れで来たとしても竜海にはブレス攻撃があり、俺には耐性がないであろう魔法を選択して発動するだけのただの作業だった。


しかしここから先の空気は更に悪い物に変わりつつある、用心をしつつ今の内に砂漠の熱された空気を肺で堪能し先に進む。

竜海は呼吸らしきことをしているが、実際人間の時の癖が残っているだけで必要ないらしい。全くどうやって動いているのか不思議で仕方がないが、神様なんだからなんだって許されるのだろう。


いつか絶対に暴いてやるつもりだが、今は目の前の文字通りの地獄を前に砂漠で深呼吸をしよう。


「ふいぃーーー、かなり歩きましたねぇーー、大丈夫ですか?」


「フシュー、フシューシューシューシュー!」


「あの・・・アスクさん、口元が鎧で塞がっているから喋れてませんよ」


「深呼吸は髪で光合成しながら出来るんだが、会話はまだ難しいな」


「いやアンタ自分の髪になに無限の可能性感じてるんですか。せめて腹話術とかなら分かりますけど・・・・」


「腹話術?ンフフッ、おいおい、そんな戦士は聞いた事がないぞ?戦っている時に口を閉じて会話するのか?ハハッ、それなら口の中を切ることもなさそうで良いなぁ、ハハハハハッ」


「いや、深呼吸の方がおかしいですからね!?」


「そうかぁ・・・?他に人間がいないから判定に困るな」


「今ここにいたら大変ですけどね」



その言葉に頷き、口で一つ大きな深呼吸をして兜をかぶった。焼けつくような腐臭に鎧の中で思いっきり咳き込み、亜空間から水を被ってもう二度と地獄で深呼吸はしないと誓った。


「だ、大丈夫っすか・・・?」


「大丈夫だ、早くいこう」




~ 地獄の最下層から一フロア上 死者の町 ネクロポリス ~ 





上の穴から飛び降りると、まず予想以上の深さに驚いた。この思考の時間でさえも余裕で作れてしまうほどの高さ、途中の時点で千メートルはある。


「うわぁ!すっごい高さですねアスクさん!!」


「アアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


「ガチ叫びじゃないですかーーー。大丈夫ですよ、地面に下りる前に僕が魔法で受け止めるんで」


「オオォオオオオォォォォオオオオオオオオオ!!!!!」


「聞こえてない見たいですねー!でも聞こえてなくても大丈夫ですよーーー!!」



風魔法でこの高さからの落下を緩和させるだけの魔法がこれまでにあったか?今作るとしてもそんな時間はあるか?地面を爆発させてその爆風で何とかするか?砂漠の砂を持ち上げて衝撃を抑えることは出来るか?砂嵐を利用するか?砂嵐はないじゃないか!


「ほら、大丈夫」


「おっ・・・・・・・・・・・・おお」


「というかアスクさんの鎧だったら多分衝撃の吸収まで全てやってくれると思いますよ?」


「なにを呆れたように溜息をついているんだ?急に高いところから落ちて、きているものが丈夫だからと言ってお前は全てを鎧一つに任せられるのか?」


「ちょ、切れないで下さいって。助かったんですから良いじゃないですか」


「お前は甘い!次に俺がもっと高い場所から落下することになったらどうする気だ」


「どうするって・・・知りませんよ」


「ソレを偽善と言うのだ。本気で俺を助けたかったのならあのまま俺を落下させほくそ笑みを浮かべていればよかったのだ!だいたいお前は・・・」


「助けてやったのにごちゃごちゃうるせえ!!!!!」


「恩着せがましいんだよお前は!!助けられる身にもなれ!!」


「ハァ!?・・・意味不明過ぎますよ。何で僕が悪いみたいに言われないといけないんだ!」


『ハァ・・・ハァ・・・』


「すまん悪かった・・・。どこか休める場所を探そう」


「ですね・・・なんか僕も大きな声出して疲れましたし・・・・・アホくさいですね」


「だな・・・」


「なんかあそこに町がありますよ。亡者の町、カッコよく言うならネクロポリスですね」


「静かに休めそうな場所だ・・・・気に入った・・・そこにしよう」




上を見上げると、飛び込んだ時は大きかった穴がとても小さく見えた。体も重い、頭もイライラする。呼吸も苦しいし、状態異常のようなモノにもかかっている。


「大丈夫ですか?」


「どうだろうな・・・分からん」


「失礼します、鑑定」


「お、おい」


  


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ステータス

名前:アスクレオス・ワイズバッシュ 

状態異常:地獄病

性別:男

職業:毒と賢さの神

称号:公爵家長男 天才 多柱の加護者 魔王のお気に入り

   サマエルの寵愛 バンスィーとの邂逅 地獄歩き

隠し称号:探究者 転生者 カティウスの友達

年齢:9歳

種族:人族

レベル:230

 HP:8900

 MP:26000

攻撃力:30000

防御力:18000

素早さ:27500

 賢さ:52000

 器用:16000

 幸運:1500

通常スキル

・薬学12・大剣術10・剣術10・

身体能力強化9・鑑定8・暗殺術8・看破7

・剥ぎ取り3

エクストラスキル

・聖剣サマエル召喚6

・毒薬の才能

・光合成6

・抵抗3

・レクレール・メルダース召喚1

ユニークスキル

・毒薬生成9

・限界突破4


加護: カティウスの加護 サタンの加護 

ヘルメスの加護 サマエルの加護 アレキサンダーの加護 


注目:ハーデースの注目 


セット装備

混沌永劫崩壊神体カオスアイオーン・アザーティ 神話級ゴッド



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







「地獄病・・・ですか。サッパリ聞いた事がないですねー・・・てかアスクさんやっぱり状態異常じゃないですか!!!」


「ウルセェ・・・話しかけんな。頭に響くだろうが。体が動くなら大したことないだろ・・・!」


「僕の腕につかまって下さい!一気にあの町まで飛びます!!」



地獄病・・・・何だろな。

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