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独学の毒薬で異世界無双  作者: ほふるんるん
大会準備編 
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大会準備編 3 選ぶ時間

アスクの性格が引っ越しの準備でボンヤリになってしまった・・・!!後夜のテンションでまたアスクの口が悪くなってます。色々と今回アスクの言い方がキツイので嫌だったりしたらごめんなさい。

あれからしばらく引っついて話をしていたら、地面に無理矢理腕の力でつま先から頭の天辺まで埋められたので、しばらくそのまま山と生きていると、暫くして竜王の気配が突然消えた。余りに突然だったのでどうしたのかと思い、山の頂に急いで帰るとそこには書置きと人形が。



内容としては俺は魔道具に騙される程度のマヌケだのなんだのと書かれており、その近くにおいてあった人形の効果は対象を隠し、道具はその対象と近い存在としてそこに身代わりとして残るというどこぞで見た代物。要するにソレを置いて脱兎の如くその場を去るというその場しのぎの魔道具ということだ。



流石にそこまでされて逃げられたのだと思うと、追いかけたくなると同時に悲しくもなってきた。今回はもしかしたら若干悲しい方が勝っているかもしれない。こんなものを使わずとも言ってくれれば離れたかも知れないというのに・・・・希望の薄い話だとは思うが。



このままくよくよしていても仕方がないから、とりあえずこの孤独感を埋めるべくして俺は薬を飲んで、スキールニルを撒いた後研究所へとワープした。(邸に戻る事も出来るが、今はメロエが泊まりこんでいるため帰りたくなかった)



ワープはしっかりと軌道し、俺の研究所にしっかりと到着はしたはず。・・・・したはずなのだが・・・・どこだここは。


ワープの利点を最大限利用してミトレスと魔族地域の大工たちを片っ端から集めて作らせた研究所の内部は、豪華絢爛というよりも効率と利便性を重視した俺設計なのは間違い無かったが、アレはまだ試行する前のこと、実際にはまだ作っていなかったはずだが・・・。



匠達が作って初めてああそうなるのかと唖然としていく姿を見てその時はニヤニヤが収まらず、彼らの仕事に対する熱意を削ぎかねないと感じ後は任せていたのだが・・・明らかに内部はその姿を変えていた。


確かにミトレスの匠は学校にエスカレーターを作る天才(馬鹿者)であり、魔族大陸の匠は結界や魔道具の設置場所などに関してはプロデザイナーと言って間違いないが、明らかにこの時代に作られるようなものでは無くなっていた。



特に笑ってしまったのがジャマッパに会い話を聞いた所、研究所を空に飛ばしてしまおうという俺の考えを、彼らは後少しの所までの枠組みを完成させていたこと。後は俺が適当に魔法を詠唱する魔法を構築して配って作らせれば飛びそうなのである。



ジャマッパにとりあえず作って見ると言い、床に胡坐をかいて構築術式を書いているとジャマッパが「何をしているのだ」や、「正気か貴様」などと大変失礼なことを言っていたような気がするが無視して書き続ける。



うーん、えーと、と、悩んでいる内に手はひたすらに動き続け、パッと出来てしまった。学校の基礎というのは思わぬ所で役にたつものだなぁっとしみじみする・・・あの時の授業に戻ってくれればなぁ。今もこうして音楽の授業の思い出から気管を生贄にした半自動詠唱魔法を作る事に成功した。


「本当に・・・・出来たのか・・・?」


頷き、辺りを見回した所手頃そうな素材が無かったのでジャマッパに聞いた。


「試したいのでなんか必要ない人間とか獣人とかいますか?あ、実験途中の奴以外で」


誤ってジャマッパがシュリーを連れて来ては俺がジャッキーに殺されかねない。まあジャマッパがそういう獣人で無いというのはこの研究所にいる人間なら誰しもが知る事だろうが。

(・・・一応奴の名誉に係わる冗談なのでここでキッチリしておくべきかとな、思ったわけだ)


「そういうのは今のところはいない・・・と言うより人を生贄にする気なのか?」


「いや、別に人じゃなくても良いんですよ。ただ数が多くて見つけやすいので調達しやすいかと思っただけでね」


「・・・」


「・・・・・・猿などでも良いのですが」



猿でも良いとは言ったが、俺の中で不確定要素となるので成功確率が変動するのは間違いない。人間だと間違いなく成功するだろうとは思う、しかし生贄にすればその部分は欠損した扱いを受けず魔法によって回復することが出来ない。



例えば俺の喉を引き千切って生贄にしたとすると、俺は栄養タンクからチューブを使って直接胃の中にドロドロの栄養を取り込まなければならなくなる。とても面倒なので他で代用したかったのだ。



「魔族地域(ここら辺)では殆どの動物が魔物化して強力になっている。それでいいのなら捕獲させに行かせよう」


「早急に頼みます、研究は乗ってる時に進めるのが一番なのは何となく分かるでしょう?」


「了解だ――――――――それと最近来ていなかったから驚いたんじゃ無いか?内装と言い職員の数と言い」


そういえば俺の途中式をしげしげと見つめる彼らは一体何者だろうか、素材には見えない所からしても優秀な人材であることは俺の目から見ても一目瞭然だ・・・・。


「おや・・・何所から拉致して来たんです?」



「お前と一緒にするな。私は所長(お前)不在の期間に、元々私の職員は勿論、各国から環境の整っていない不遇な研究者達を私のコネクションでかき集めたのだ。今は良し悪しよりも数が必要だと思ったのだが、全てを決めるのはアレックス、アンタだ。俺は所長の意見を聞きたい」



ある程度の数をこの期間でコレだけ揃えたと言うのは凄い事だな・・・、俺には難しい。こういうヘッドハンティングはジャマッパにも手伝って貰った方が効率が良さそうだな。とりあえず不要なゴミが残っていないか職員の一覧が書かれた紙の束を持って、見回る事にした。



「口だけの上司になるつもりは無いですから一人一人見て、しっかりと決めさせて貰います。せっかくの人材ですから基本的には採用するつもりですが・・・・不必要であれば記憶処理をして追い出すか、もし僕に抵抗するようなことがあれば、無いとは思いますが、その時は焼却炉までの道を開けておくように」


「い、いささか処置が厳しすぎじゃないか?」


ジャマッパはコレでも俺の次にここの事情に詳しい人間でなくてはならない。なら俺がどんな実験をこの研究所でやるのか、またソレがどういった危険性があるのかを知らなくてはならんだろう。



「では一つ例え話をしましょう、僕が今取り掛かっているのは人間を別の種族へと昇華させる薬の上位互換と言える人間の欲望に分かりやすい進化を遂げる毒薬です。勿論普通に使うだけではただの化け物を生む道具にしかなりませんが、用量と使い方を間違わなければ人間は今の自信の限界を知り、新たなる跳躍が可能となりますがしかし・・・・」



「待て、まてまて、待ってくれ。話が飛躍しすぎていて私の理解が追いつかん。つまりお前はもう既に人間を進化させること自体は可能であり、あくまでそれは前提で話をしているという事で・・・良いんだろうな」



ソレは前世で完成させていた、というより試作する途中だったというのは覚えている。それの途中でこちらに俺は誕生したのだ。今考えれば中々理不尽な目に合っていると思ったが、それも今は良い思い出だ。


とりあえずジャマッパの質問に頷き返すと話をつづけた。唸っていようが知らん。


「しかし、そこに愚かにも実験の横取りをしようと企む馬鹿が入りこんだとしましょう。そこから想像できるのは最悪の狂言、生存圏を危険に晒すという問題です」


「人間をそこまで悪く言う人間はお前が初めてだ」



「ハハッ、この薬は望みを叶えようと必死に頑張ります。愛する人と会いたければこの毒は死者の蘇生の力を与え、破壊の限りを尽くしたければ望むがままに自信の再現通りの力が手に入る、肉欲の限りを尽くしたければそれに必要だと思う全ての機能が望めば望むほど使用者の体に取り込まれるようになります」



そして最後に溜息をつくようにジャマッパに告げた。


「望めば望むほどってーーーーーーーー・・・・・・・・・怖いと思いませんか?」


皮肉めいた笑顔が効いたのか、表情とは裏腹に足裏の汗が凄い事になっていそうで非常に見てみたい気もするが、いますることでは無いのでソレはまた次の機会にするとして、ジャマッパの返答を待つ。


「欲望の限り・・・つまりはほぼ無限に変化し続ける・・・と」



「爆笑間違いなしとは思いますが、人間の進化の過程を世界単位で滅茶苦茶にしようとするとどうなるのか末路を知っているので、僕はしませんけど・・・。でも僕の他に欲望に負けた場合、例えば愛する人を失った悲しみに僕の薬を使おうなんて考えだしたらもう最悪です、皆終わってしまいますから」


「王女などに見つかったら大変だな」


「僕は貴方も警戒していますよ」


「冗談のつもりか?」


「冗談のままにしておくためにも研究員の厳選、及び純粋な探求心を持つ人間のみを残して起きたいんですよ。今後の為に」



今後世界規模でご迷惑をかける研究所だ。


「しかし焼却処分はそれでも厳しい。それでは非効率的じゃあないか、短い期間とはいえらしくないように思えるが」


「ここにきて初めて良いものを拾ったな・・・」


「ん?すまない聞き取れなかった、今何か言ったか」


「いいや?別に。焼却処分が嫌ならついてきなさい、今後ベジタリアンになるかどうかがかかって来ますよ」









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




結果的に言えばゴミの数は限りなく少なかった。勘違いしてほしく無いのは俺がありもしない仲間意識を持って甘い採点をしたという可能性だ。仲間意識を持つ為にやっている行動で仲間意識を芽生えさせてどうすると今自分で思って自分で笑ってしまった。


数人の寄生虫を払っただけで掃除はいともたやすく終わった。中には優秀なクセに「この人がいないと私はこの研究所で研究は続けられません!」などとほざく馬鹿たれがおり、危くゴミ共々処分する一歩手前まで行きかけたが、ジャマッパに彼女が有為な人材であるという事を懇切丁寧に説明され、俺の目の届く所に置かないでと言いその場を離れた。



「彼女は確かに優秀な方です。健康に気を配っていることが体の筋肉の動きなどを見ていて分かりましたからね。特に腰回りの筋肉はいい感じだった。日ごろからそこの部分を鍛える運動でもしているのでしょう、いい感じにリフレッシュしているようです。しかしその隣にいた男はなんです?可愛らしさの微塵も感じられない常に笑顔のアザラシは」


「あ、アザラシ・・・・一応アレックス、君よりも彼は年上なんだぞ。敬うような人間では無いが蔑むことはなるべく控えるべきじゃないのか、それに彼女の腰回りの筋肉が鍛えられているのはおそらく彼と・・・」


「年上か年下かで序列が決まらないと言うのはジャマッパ、貴方と僕で良く分かっているはずだと思っていましたよ。それに彼女の腰回りの筋肉が良い感じだと言ったのは、そういった意味も含めて言った皮肉です。九歳の少年にこのようなことを言わせる大人が果たして敬うべきかどうか、協議が必要ですか?」


「勘弁してくれ、そんな事で時間を使いたくないのはお互い様だろ?」


「まあそうですね。確かにそうだ、馬鹿馬鹿しい。とりあえずじゃあコレで研究員は全員ですか?」


「ああ、彼女達で最後だ。今から少し食堂で休憩した後に研究所内を案内しよう」


「いえ、今日の仕事は終わりですよ。貴方にはして貰うべき仕事があるので」


「な・・・・・何かあるのか?」


「四時間今から睡眠をとる仕事をして貰う。時間厳守、今から三十分後に取り掛かれ、必要な物があれば僕に聞いて下さい、ある程度の物は揃えましょう」


「りょ・・・・了解だ!!」


彼は感無量と言った感じで、研究所に初めからついていたシャワールームへと小走りて行ってしまった。恐らくやつは二日ほど寝ていないためこのままだと壊れてしまう気がしたので、強制的に仕事として体を休めさせることにした。ああいう奴は働き過ぎて体を壊すタイプだろう、うちのスキールニルがそうなんだ。


・・・しかしその話はその話で、奴め今さっきの了解が今日一番元気がよかったな?


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