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独学の毒薬で異世界無双  作者: ほふるんるん
グダグダ編
154/185

平穏な日常   ヒミツの宴 (下)

色んなアニメを見ていて書いた結果、大変な量&大変な内容になった事をここでお詫び申し上げます。

授業のボイコットを清々しい気持ちで終えたお昼、俺達は戦利品を連れてお昼ご飯を食べていた。


「き、君たちは・・だ・・・・誰ですか・・・・ぼ、僕は楽しく・・・ありません・・・」


戦利品と言うのは今机を囲んで二人の少年少女、今何となく言っている意味が分かった方が少年の方だ。彼の名前はカランと言うらしい、スキームニルに調べさせた所によると彼の父は小商いをしており、ワイズバッシュ領にあるアイアンの町の隅で店を開いているらしい。そして母はその小商いの手伝いをしているそうだ―――――まあどこにでもいる商人の息子だ。



学校には国の支援もあり行ってはいるものの、そこで成果を発揮することが現在まで叶わずDクラスにいたという。ちなみにこの少年は俺が半ば強引に授業終わりに扉を開けて、孤立していた所見て拉致してきたので俺達が誰なのかいまだに知らない。


彼に関しては、拉致してきた俺よりも周りの方が興味を惹かれているので俺はもう片方の相手をした方が良いだろう、少年は直ぐに俺達が誰か分かる。


少女の方は多分連れて来る間に飽きられているのだろう、彼女を連れて来た癖に誰も相手をしていない。彼女はFクラスの生徒らしいがこれが全く喋らない、喉や表情筋を見る限りではこの少女が最近笑ったり泣いたりした形跡もなく口元を見ても最近言葉を話したようにも見えない。


・・・・この少女の口は食事をするためだけについているように見える。さぞかし口の中を見せたくないのだろう、変わった少女だ。俺には少し興味を持っているのか歯をカチカチと鳴らし、コミニュケーションを取ろうとしているがどうやら少しここでは恥ずかしいようだ。


周りをキョロキョロとしながらあたかも助けを求めるように彼女の目はリーズやスクイに目が泳いでいる。そんな事では余計な誤解を生むばかりだ、とりあえずこの少女とどこか別の場所で話がしたいな。


「僕はちょっとお散歩へ出かけに行って来ます、そこの彼女と」


「え、お散歩ですの?その~いつ頃になられるとか~・・・」

(夜には帰って来て貰わないと私の首が飛ぶんですけど!?)


「直ぐ帰って来ます、お昼休憩が後一時間も無いぐらいでしょうから・・・まあそれぐらいを目安にして、では」


机を立ち上がると、寡黙少女に手を差し伸べるとティア達が何か超常現象でも見たかのような表情で、ティーカップを床に落すだのアツアツの紅茶を口からこぼしている。


「アスクが・・・・女に・・・・興味・・・・・・だと・・・・・」


無いわけ無いだろ、馬鹿かコイツ?てかいい加減口から紅茶零すの止めろ、ソレ熱いだろ・・・。


「というより人に興味あったんですかぁあ!!!???」


メイリオはクラスのうちでは常識人だと思っていたんだが・・・・どうやら勘違いだったか?


「二人とも中々酷い事を言っておるぞ・・・アスク殿にも人間味が無い分けでもないのであるぞ」



よし野郎どもは後で新薬の実験体にしてやろう――――まあ、そんな奴らの事は置いておいてまずはこの少女だ。この少女には妙な親近感を覚えずにはいられない。


数年前の、あの人付き合いをしていこうという覚悟を決めたその日から、自らの表情筋や会話のレパートリーに七転八倒した日々を思い出しながらそう思う。


彼女はきっとまだ人と話す利点を知らない、もしかしたらそうした利点どうこうの思考段階にすら到っていないのかも知れない、だた人と話す事が面倒だとか必要ない事じゃね?ぐらいにしか考えたことが無いのかも知れない。


まぁ、幾ら考えたところで俺には大雑把にしかそこらへんは分からん・・・・・が、だが、俺には普通に話せるようになってもらわなければ困る。何せ俺が暇になってしまう。とりあえず連れ出して歩かせてみてみた所、少しふらついているようにも見える。




「なあなあ少女、お前の名前は?」


歩きながらせめて名前だけでも先に知っておくべきだったと後悔する。スキールニルをとばそうにも、彼女は絶賛食事中であるためその指示はとばしづらいものがある。


「・・・・・・・・・・・」


少女は此方を見る、今度は既に歯はカチカチとなっていない。話す気すら無くなってしまったというのか、目だけ一瞬チラリとこちらを見ると直ぐに目線を前に戻してしまった。


「シカトかまされたのは何気にアナタが初めてですよ、名無しさん」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「二度の無視は流石に答えました・・・お願いします、お名前を教えて下さい」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


こりゃあ皆の興味が尽きるワケだわ、反応するが返事せずという彼女のスタンスにティア達は面倒になったと見える。しかし裏を返せば返事はしないが反応はするという面白い奴という事であることに違いは無い。


「このまま何も僕に返事をくれないようでしたら僕は貴女の反応をみて楽しむことにしますが、宜しいですか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


今度はコクリと反応してくれたので、コレで良いのだろう。彼女は無理なく、俺に心変わりしてくれればいい、その彼女が彼女でいられる理由が何なのかは知らないが信念やらポリシーがあるような歳でもあるまい――――つまり・・・おそらく家庭環境やそこらへんの環境が彼女のこの状態の原因になっている可能性がある。


百パーセントではなくむしろ一割も無いだろうが、とりあえず何かしらの影響がなければ少女がこういった面倒な表現をしてくることも無かったはずだ。一番初めから寡黙キャラなんてのは存在しない、産声を上げない赤子がいたらソイツは既に死んでいる。


九歳の少女じゃあその寡黙キャラも早すぎとも思うし早い所この沈黙少女をお喋りとはいかずとも会話の相手ぐらいにはしたい。どうせこのまま生きても友達なんざこの少女には出来やしない、出来たとしても離れていくだろうしな。


それならそんな女なら俺が貰っても別に誰の迷惑にもならないだろう、本人さえも自分の事に無関心なんだからな。


「名無しさん・・・と言うのもなんかもう嫌ですね、竜海みたいで。適当に名前を付けてしまって良いですか?」


「・・・・・・・・・・・・・・」


なんか喋るかと思ったら普通に頷くので、と言うかヘッドバンキングのように思いっきり頭を上下にしているのでその激しく揺れる頭部を掌でロックし揺れを止めると、彼女を腕に乗せて少し考えた。


「あなたの髪は長いんですから、あんなに激しく頷いてしまったら髪が乱れてしまうじゃないですか」


肩よりも少し長い彼女の茶髪は上下に激しく揺さぶられた事によって、所々で髪が跳ねている。この世界ではそこそこの希少性があるであろう天然茶髪の少女は髪の手入れはしているのか彼女が手を通すと直ぐにサラリと伸びた。


そしてなぜか前髪に手を伸ばし、シャッと下すと当然のように目を隠すようにして落ちる前髪と隠れる顔がある・・・・そして隠れてはいない口元が少しニヤッとしたのを俺は見逃さなかった。何が楽しいかったのかは知らないが、この少女にとって今の一連の動作はニヤケるに値することだったみたいだ。


髪に木の葉がついているのを取ろうとすると、バシッとその手を払いのけられてしまった。まあ、確かに少女だとしても女性の髪に勝手に障るのは失礼だったか。とりあえず謝礼の意味も込めて、彼女の手を握ると爪を立てられた。いや、実際には爪を突き立てようとしたが無理だと分かって力を緩めたが正しい。


「そうですねぇーー・・・どこに行きましょうか、シュリー」



「・・・・・・・・・・・・・・・・」



彼女の名前はシュリーである、そう俺が今決めた。少女もそれで納得してくれたのか、とりあえず町の方へ指を指した。城下町に着くと彼女の指はアッチだコッチだと指先が蛇なのかと思うほどよく曲がり、遂についたのがボロイ一軒家。


彼女は三メートルある俺の腕から必死にもがいて降りようとするので、急いでおろすと彼女は脱ぎ掛けていた靴を履き直し、くたびれた扉をノックした。


「誰だいこんな真昼間に・・・・今は客とっちゃいないよ・・・って、お前か。あぁーなんだ早く入りなよ、って後ろのソレ・・・ナニ?」


多分シュリーの母親だろう、扉が小さすぎて俺からは背伸びをしたら屋根が見えそうだが、相手からしたら俺の下半身だけ扉の前に立っているのだろう。


「・・・・・・・・・・・」


「こんにちは、この子の友達のアスクと言います。これ訪問に対する品です」


金貨の入った袋を一つポンと彼女の母親の胸当たりに投げる。ドアを覗き込んでみてみるとどうやらかなり驚いているようである、こんなモノで家に入れるとでも思っているのかと言うような雰囲気になっていたので、今度はもう一度上半身を起こして白金貨の詰まった大袋を彼女の母親にポンと一つ置く。


「数えていませんが・・・多分白金貨が五千枚ぐらい入っていると思います、今の僕の全財産なんですがそれで入らせて頂けますか?」


再び覗くと泡を吹いている母親とそれに寄り添うシュリー、流石に悪ふざけが過ぎたと思い貨幣を回収した後薬を飲んで体を小さくする。人のいるような感じの場所では無いのでお構いなく脊髄やらを丸見せにして変形できる。


「シュリー、倒れる時にお母さんは頭を打っていませんでしたか?」


「・・・・・・・・・・・・」


どうやらイエスやノーで答えられない事も何とかして答えようとするみたいだ。今みたいに二回頷いたり、ジェスチャーしたり。とりあえずシュリーマザーを持ちあげて部屋にしいてあった布団に乗せる。具合が悪いのか隈があり体には痣がある。


よほど悪い環境で働いているのか、気絶から呼吸を取り戻し今はもう眠っている。部屋の中を見渡せば彼女がどういった人か一目でわかるようになっていた。


「シュリー・・・・君のお母さんは研究者なんですね、それもこの部屋は魔法の中でも治療系統の魔法の書類ばかりだ。そして・・・脳に関する資料も多い、この世界では呪いとして一括りにされていますからね、あなたのような子供達も。ちょっとあさっても良いですか?」


首を横に振られたが、飴を上げると言うと首を縦に振ってくれた。暫く漁っていると古びたタンスやクローゼットから大量の資料と彼女のレポートが出てきた。多種多様な民族から手に入れたであろう古文書めいたものから冗談のような呪いの紙も出て来た。そしてそれはある一時を境に全てが治癒魔法、治療魔法に変わっている。


状態異常回復の魔法から精神異常解除の魔法、それから脳の一部をすり替える魔法・・・探せば探すほど

彼女ははおやが本気な事が分かる。


要するにそこまで認めたくないのだ、彼女が彼女たる意味を彼女の母親は良しとせず、皆と同じように育って欲しいという己が願望を叶えるために今も彼女は無謀な挑戦を続けているというのだ。


ハッキリ言うと、こんなモノは見つけるべきでは無かった。このまま見つけず今後一生彼女の母親は彼女のために研究していく事を俺は知らずに生きていたかった。


俺は元から人という生物を地上から全て絶滅させより上位種に変えようとする化学者であって、彼女のように我が娘のために研究しているような女性ではない。


だけどさ・・・・馬鹿みたいに一人で背負いこんで彼女が生まれた時から研究を続けてる彼女にちょっと惚れてしまった所があるんだな。


そんな彼女に俺は一つ大きなプレゼントをしようと思う。惚れた女性だ、偽善でも何でもない。欲望のままに欲しい女に向かってプレゼント攻撃の真っ最中である、本人は未だ夢の中ではあるが。


「シュリー、俺の研究所に来い。完成はもう少し先だが俺の中で一番初めの家族メンバーはお前達で決まりだ」


シュリーに言っても分かっているかどうか分からないが俺の約束は絶対だ。この布団に転がっている女のステータスにも見どころがあるし、死んだ後も俺が面倒を見ようじゃないか。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


名前 ジャクリン

性別:女

職業:自営業

称号:テスカトリポカとの契約者 

状態異常 過労 

HP:60

MP:36

攻撃力:33

防御力:38

素早さ:90

賢さ:580

器用:180

幸運:7


通常スキル

・洗濯4 ・料理2 ・掃除2 ・呪術1 ・薬学 ・医学 ・生物学 


エクストラスキル

・根性8 

・完全健康体


ユニークスキル


加護:テスカトリポカの加護



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






この女性、ジャクリンことジャッキーが医学や生物学というものに気付き始めていることにまず驚いたが、それよりも悪魔と契約していることに驚いた、それも彼女が起きたら話して貰おう。



俺も悪魔とやらを見てみたい、と言うより本音は暇があるなら神とか悪魔にも俺の研究を手伝って貰いたいから部下の数人を引き抜きたい。


俺の考えではおそらく上位の神になるほどその権限には大きな制約が伴う。それすなわち凄く暇だと言っているようなモノだ。


生贄さえ用意すればそういった神を下界に引きずり下ろす事は出来る、何せ俺は一度そういった神に出会った事がある。アレは中級だった気がするが、最高神だろうが下級神だろうが全部神だ。引きずり下ろせない事は無いはずだ。



妄想が膨らむ中、ようやく気絶から目覚めたジャッキーが当たりを見回して俺がいることに警戒心を持っている。


「あんた・・・誰だい?」


「シュリー・・・いえ、あなたの娘さんの友達です」


「あぁ、ガーベラの・・・・・え!?????ガーベラの友達?!」


ガーベラと言うのか、ステータス画面を見ていなかったから分からなかったがうん、確かに今見たらガーベラとちゃんと書いてある。


「はい」


「気は確か?」


「失礼な人ですね」


「あ・・・・ごめん」


「いえ、良いんですけど。ちょっとお話聞かせて貰っても良いですか」


「あー、ガーベラのことなら私に聞かれてもよく知らないよ?ていうか教えて欲しいぐらい」


「その話なら僕の方が詳しくお話出来ます、別のことです」


「別のことだぁ?」

(こんなに気味の悪いガキを見たのは初めてだね・・・・顔立ちは良いクセに・・・・好きにはなれないね。ガーベラについて私より知っているとか言ってるけど学校で話たりするのかね・・・なわけないか)


「あなたが契約している悪魔についてです」


「ステータス画面を・・・・勝手に見たのかい?・・・ッチ・・・面倒だからこんなボロイ家に住んでたって言うのに・・・で!?どうすんのさ、捕まえんのかい?教会にだしゃあ金ぐらい貰えるだろうよ」


「僕が・・・・・いや、俺が要求するのは悪魔との契約書だ。それをまずよこせ」


「悪魔との契約書を渡せだって?馬鹿言うんじゃないよ、ソレを破棄されちまったら一方的に私から契約を破棄したことになるんだよ!?そんな事出来るもんかい」


「そうか・・・・それはソレはとても残念だぁ・・・俺も人の家からモノを盗むのは気が引けたんだが・・・しょうがない、居直り強盗になるしかない」


「勝手なこと言ってんじゃないよ!!!出て行け!!」



ジャッキーは立ち上がり、俺を家から追い出すようにして俺を押す。頑張って押したり叩いたりするが、当然ながら動きはしない。元から彼女はひ弱な部類だ、直ぐにスタミナも尽きてグッタリと布団の上に寝転がった。


「契約書はもう俺が持っている、ジャッキーはどうすることも出来ないぞ」


「軽々しく・・・大人を愛称で呼ぶもんじゃないよ」


「じゃあなんと呼べば?」


「ジャクリンさんだ」


「断る、ジャッキーはもう俺から逃げられない。俺は男の中では最上位のしつこさを誇るだろうからな」


「衛兵を呼ぶよ?」


「衛兵を呼んでも俺が不敬罪としてジャッキーを処刑台に送るぞ」


「冗談は顔だけにしておくれよ」


「冗談と思うならもっと面白い冗談を言ってやろう」


ジャッキーに自分が誰なのかを明かすととりあえず信じて貰えず、ステータス画面と少しづつ金貨をチラミさせ続けると、ようやく信じてくれたようで只今彼女は土下座中である。


この国は貴族と平民の差がハッキリと別れているから中々無いが、平民が貴族に向かって罵詈雑言を浴びせた場合、平民が平民に同じことをした時よりも当然重い罪になる。それに加えてその相手が公爵であり、あの冷血で名高いクレウスの息子となればもはや笑い話だ。処刑観覧人数も増える事だろう。


「この度はぁーーーーーー大変にぃもうしわけーーーーーーございませんでしたぁぁぁ・・・・」


深々と頭を地面に擦りつける母親の姿を見て無表情なシュリー、こんな可哀想な母親を見せるのはコレで最後にさせて上げたい。


「しつこいから頭を上げてくれ。契約書の件については問題無いな?」


「ワイズバッシュ様であればぁ・・・・・・・・」


「しつこいなぁお前、もう土下座は良いから座れ。ガーベラの話しもある」


「そ、そういえばウチの娘とご、ご友人になったと・・・」


「そうだ、そして彼女を俺の研究所で研究したい」


「それは!」


「引き続き研究を続けたいんだろ?だからジャッキーは引き続き彼女の研究をすればいい。俺の研究所なら最新の設備があるし、彼女により幅広い可能性という土を掘るスコップを渡せるぞ。なあジャッキー・・・・・さぁ・・・・決断しろジャッキー、決断の時だ」


「考えさせて・・・・」


「さぁ!!!今決断しろ!!!!!行くのか!?行かないのか!?どっちだ!!」


「でも・・・・」


「このまま無意味に時間を浪費して未来に残す時間を減らすのか?待っている未来は暗いぞぉ?それでもいいのかぁ?なぁ、俺に預けて楽になろうぜ?」


「お・・・・・・お願いします」


「よし分かった。コレでジャッキー達は僕の家族だ。直ぐにでも連れて行きたいところだがジャッキー達も色々あるだろう?三週間後、ここに迎えに来るよ。それまでに全ての支度を終わらせといてね」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


嵐のように過ぎて行ったあの少年が未だに私の頭から離れない。ワタシの前に突然現れ、自分は公爵の息子だといった少年は次々と証拠となるモノを出してコレでどうだ、コレでどうだと迫って来る。


終いには私の見た事も無いような金貨と白金貨が懐から泉のように沸いて出てくるのだ。好きなだけ取って良いと言われたりもした、だけれどもその時ほど金貨や白金貨がただの鉄屑に見えたのも私としては初めての事でもうどうしたらいいか分かんないっていうのが本音にある。めっちゃ混乱してるのだ。


(なぜこの少年は私とガーベラなんかに興味を持ったんだ?ずっと不幸続きだった私に遂に幸運が向いて来たか?ソレが本当ならこの波に乗るしか無いんじゃないか私?)


そして契約書を取られていることを思い出して、コレは波などでは無く荷馬車なんだなぁと思った。自分に乗るかならないかの権利なんて初めから無くて、もう知らぬ間に事は運んでいて私は娘と共にどこかへ運ばれてしまうのだ。



「・・・・・・・・・・・・・・」



娘がこちらを覗き込む、顔が良いとは言えない私の大切な娘だ。そういえば娘が帰って来た時に何でか知らないけどあの子笑ってたんだっけ。私もあの子の笑顔なんて数えるぐらいしか見た事が無いのにあの少年は・・・はぁ、悔しくはあるけど娘を笑顔にしてくれる人なのかも知れない。・・・・・・玉の輿とかねえかなぁ。









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



辺りが暗くなり始めた頃、緑色のローブ達は森の中に集まり始めていた。その数は数十、数百、いや数千。しかしその姿を、その影さえも他の人々に認知される事なく地面を這うように、滑るようにして彼女達は集う。この夜、この集会のためだけにあらゆる交通手段を用いてでもやって来る。


空から、海から、森から、山から、天界から、魔界から、地獄から、塔から、ダンジョンから、学校の寮から、王都の町から。ありとあらゆる場所から彼女達はその日その場所その時間に必ず間に合うよう走る。


そしてこの大群は恐ろしいことに全てが一人の少女が統率し、彼女の一言で動く。それは何故か、彼女がその全てと戦い、そして勝利を手にしたからである。王族、暗殺者、異世界人、学生、勇者、英雄、神、魔王、悪魔、天使、鬼、宇宙人の類も含まれるこのある意味最強とも言える組織の名称を・・・彼女自身たちはこう呼ぶ。


「元アスクファンクラブ、現アスク教・・・・随分とこの二年で大きく出来たわ。これも全てアスクが凄いからね」


否、玉座に居座る怪力無双少女メロエがいるからである。


彼女はアスクレオスという存在を世に知らしめるために日々活動し、それに恋した乙女は真っ向から完膚なきまで叩き伏せ、そして更にアスクレオスは素晴らしいと説き、大人も子供も分け隔てなく信者に引きずりこむことが彼女の仕事である。


そして驚くべきはその彼女のフットワークの軽さと言える。自分の身分、扱い、全てを使い大量の資金を投じての大旅行によって彼女は今までに多くの同士を増やしてきた。彼女の大旅行が始まる時は、とある一言から始まる、「パパ、私旅行にいきたーい」である。その一言で莫大な何兆という大金が動く。


受け入れ先もソレを阻むことは無い。


例えば地獄では「ウチの娘がな、ちょっと地獄巡りしたいって言うから連れて来たんだわ、ちょっと案内しろや」というパパの一言と後ろに控える大きな袋の数々に圧倒され閻魔大王も苦笑い。


そして天国では「お前のとこに鬼神の軍勢来訪させんぞ菩薩、道開けろや」というパパの一言と後ろに控える大きな鬼神の数々に圧倒され観音菩薩も苦笑い。


とある冥界では「よう、遊びに来たぜ。相変わらずお前のとこの嫁とウチの嫁って中良いよな」というパパの一言とそのパパを足蹴にするママにハーデスは苦笑い、ペルセポネは爆笑である。


そんなこんなで広がる彼女のネットワークは止まることを知らず、彼女の布教した者は更なる者へその布教を行う為に、その数は膨大な数へと膨れ上がってしまった。


数多くの地を訪れた彼女にはその地最強の相手を師匠に持ち、その生まれた頃から持ち合わせている人知を超越しているその器用さによってまさしく神業と言われる離れ業を彼女は幾つも習得していたのだった。


そんな彼女が心酔している男が、何を血迷ったのかアスクレオス・ワイズバッシュである。彼の何所が良いのか、皆目見当もつかないがそれでも彼女には何か彼の良さが分かるらしい。


僕はアスクレオス・ワイズバッシュの何所に惚れる要素があったのかは分からないけど、あの狂信者メロエちゃんのお父さんが沢山お金を落としていってくれるから別に関与はしないけど。


ただ・・・・少し不安が残るっていうのもある、子供を見守る事が仕事のカティウスとしてだけどメロエちゃんがこのまま変な方向に曲がり続けて行った先どういった大人になるのか・・・すこぶる心配になるね。


ほら、下界したでまたなんか怪しげな陣形を組み始めた・・・・アレは確か天界の兵隊の基本陣形・・・・・神が来るまで待機する陣形だったっけ。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「皆よ、集まったか。遂に我らの神と対面の時である。心して甘えるがいい、しかし!ルールはしっかりと守って貰う。特に悪魔と神!!ルールはしっかり守って」


『分かっている』


『餉餉餉餉!!!分かっている、料理勝負で私達が負けたのはお前だけだ。お前の命には従う』


「ではこれより、アスクレオス・ワイズバッシュ召喚の儀式を行う。ジーナ、例のモノを前へ」


「ねえ・・・アレって裏切りものじゃん・・」


【裏切り者だ】


〈うらぎりものだぁ〉


〔ウラギーリモノネー〕


<ウゥゥウラァアァアギイィィイリィィィヤァアァァァ>


「グスッ・・・私のせいじゃ・・・グスッ・・・無いのに・・・グスッ」


「ではここに!アスクレオス・ワイズバッシュ様御召喚をさせて頂きます!!!歓喜して待ちましょう、我らが神の召喚です!!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










シュリーの一件を終え一人で帰ってくると森の中だったから気付かなかったが既に日は落ち始めており、ティア達の机のお菓子もほとんど残っていなかった。そしてなぜか滅茶苦茶に皆笑っている、なにか面白い事でもあったらしい。


「どうしたんです?・・・・あれ?カランを返してあげて無いんですか?」


「ソレがなアスク・・・このカラン、とんでもねぇ才能の持ち主だったぜ」


「ちょっとソレどういう意味ですかぁ!??」


おっと、カランの様子がおかしい。なんか妙にテンションが高くはないか。それとこんなビックリマークとかハテナマークつくキャラだったのか?てかコイツら何をした。


「アスク、コッチコッチ・・・・」



リーズが少し耳を貸せと、机から離れた所で俺を呼ぶ。


「どうしました・・・・・」


「あのカランって子なんだけどね、ボケの方は全然駄目だけどツッコミと天然が凄いの。だから私達、今は身分を隠して、彼とお話ちゅうなわけ。ティア様の設定なんて今は服屋さんでお手伝いする商人の息子なのよ・・・プッ・・・」


「え、どうしてまたそんな極悪非道な遊びを・・・・」


「だって・・・アスク君置いて行ったら文句言うし、かといって待ってるのも暇だし・・・」


「べ、別に文句なんて言いませんよ」


「自分では気づかない人なのよ君って。ほら、アスク君も役者になりきってね?公爵様は今は無しよ?」


「分かった、今は皆に合わせよう」


そして机に戻っていき、ふぅーっと一息入れるとカランの方から声をかけて来た。・・・クソッ、渾身のボケ封じを喰らうとは。


「アスク・・・君?同い年で良いですか・・・・?」


「ああ?私か、そうだな・・・今年で確か・・・・十万四十二余りだったか。悪魔をしている、よろしく頼む」


「あ・・・・あく・・・悪魔・・・・」


・・・・・・楽しいぃいいいいい・・・なんだコレ、なんだこの茶番最高。マジで信じて顔面蒼白になってるカラン君マジで優しい奴だな。てかこれにツッコミ入れないとかホントどうしようかな、俺はこれから先ツッコミ入れられる気がしないんだが。大丈夫だろうか?


「ちなみにコレは本当の姿だ」


ちょっと、魔法でカラン君に悪戯してみる。周りの奴らにも同じようにしないと不公平かと思いかけると、思った以上に皆驚いている。小声で、「マジで?」みたいな声が聞こえるけどお前ら知ってるだろ。

鎧もなんか調子に乗ってトゲトゲになっている。



「まあ、話を続けろ。私がこの世界にまた顕現するにはしばし時間がかかるのでな、質問があるなら今のうちにしておけ」


「ア・・・・・アクマさんは・・・わわわ・・・・普段何をしていますか?」


「搾取と取引、それと研究だ」


「アクマさんは・・・スーハ―・・・・兄弟はいますか」


「未だに生態にならぬ愚弟が一人いる」


「どんな研究をしているんですか」


「人間を絶滅させる研究だ」


「僕と友達になってくれますか」


「貴様とは既に友好の契りを交わしている」


「―――――おいおいカラン、お前だけ卑怯だぞ。服屋で手伝いしてる俺にも悪魔と会話させろよ」


「そうよ、農民の私も混ぜて」


「古代兵器の某も混ぜてホシイデゴ・ザ・ル」


「あっちも!」


「わいも!」


もう誰が誰だか文章じゃ分からないことになっている。


「私はしばしの眠りにつく。じゃあな」


「あ、俺も手伝いの時間だ!急がなくっちゃ」


「あ!今日野菜の収穫日だった!急いで採りに帰らないと!」


「ヲ・・そういえば、今日はムサシブレードの鍛錬をするのでアッタ・・・イソイデカエラネバ」


「あっちもお姉さまたちに怒られるんでかえりますぅ」


「ワイも急いで帰らなアカンくなったわ、じゃあの!」


みんな揃って同じ方向へ、寮の方へと笑って帰る。カランの奴を放置して帰ってしまったがあの後無事に変えれただろうか。




「アスクさん、ティアさん、ジーナさん、アルバートさん、スクイさん、メイリオさん、リーズさん・・・・皆と遊べて嬉しかったなぁー。僕も皆とずっといたいなぁ・・・そういえば皆同じクラスみたいだけど、一体どこのクラスなんだろう?EやFじゃないと思うから隣のCクラスとかにいるのかなー?」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



寮に変えると、とりあえず魔法で熱湯の玉を作るとそこに飛び込み汚れを落とす。ある程度汚れが落ちたのを確認して水球から出るために火魔法を使おうとして、窓を開けていない事に気づいた。


「クソッ・・・夜に湿気が溜まった部屋で寝るのは御免だぞ」




器用に水球に入ったまま窓に近づき窓を叩き開けると、なんと綺麗な星の下でジーナの緊急信号の狼煙が上がっていた。さっきまで一緒にいたのにどうして森なんかに入っているんだアイツ?という考えにはなったが、どんな場所でもとりあえず狼煙があれば助けに行くと言ったのは俺に違いないので、水球のままその狼煙の上にワープする。


水球が狼煙を浴びて紫色に染まるが、この狼煙には周囲の生物の心を穏やかにする効果しか無いので害が有りそうな色をして無害の薬だ。そして薄紫色の水球の中から下を見ると何やらミサ的な何かが開かれている。俺の悪魔設定がなんかまだ残っているのか?うん、なわけない。


と言うかジーナは何所だ、彼女の安全をまず第一に確保しなければ。


「アスク様が御降臨なされたぞ!!!」


何所からかメロエっぽい声が聞こえた瞬間に敵っぽいのが全員膝をついて頭を垂れている。俺の名前を知っているという事はなんだ、降参か?地面にゆっくりと降りていくと、ジーナの顔もローブの中にあった。御免なさいという風に一人合掌しているが、もしや俺が嵌められたのか?



「皆の者、コレがアスクレオス・ワイズバッシュ様だ」


『おぉぉぉぉぉぉ・・・・』


「なんと神々しいお人でしょうか・・・・」


全く状況が読み込めていない俺は、水球を破り近くにいたメロエに手招きをする。水球を破った衝撃で何人かに水が飛び散ったが、そこにいた奴らの責任で俺は何も悪くない。


「メロエ、コレはなんだ」


「ミサよ」


「そうじゃない。あの薬はジーナに渡したものだ、何故お前が持っている」


「彼女が私に渡したのよ」


「ジーナ、コッチへこい」


ジーナが呼んでも来ないのは足が震えているのと、周りのローブ達に圧力のようなモノをかけられているからのようで、なんか一人半泣きになりながら助けてと口パクで必死に伝えて来るので、腕をワープさせてジーナをコチラに引っ張って来る。


「あ・・・・ありがとう・・・ですわ」


「どういう状況だ、説明しろ」


「それはですね・・・・カクカクシカジカでして・・・ピーとなり・・・ピーにて・・・ピーという事に・・・・」


ジーナの的確に要点をまとめた説明に情報が綺麗に整頓されていき、その途中でなんかこの情報おかしく無いかと思ってジーナに聞くには聞いてみるが、全て本当なのだという。


つまりは俺の今見ている普通の人間に紛れて膝をついている天使の翼や悪魔の翼を持つ人相の良い奴や、単眼の鬼や如何にもエイリアンな奴らも全て幻では無いのだという。


「俺の幼馴染は少し頑張り過ぎのようだな・・・休暇をやりたいぐらいだ」


「ソレは本人に行ってあげたらきっと喜びますわ。・・・・・・それと私は巻き込まれただけだから、ソレ勘違いしないでよ」


「分かってる、俺もお前が俺のこと好きだなんて思ってねえよ。メロエ呼んでくれ」


そろそろメロエの目力からも逃れたく思い、とりあえずメロエを呼んで目力を弱めて貰う。俺もずっと立ったままは嫌だから地べたに座ろうとしたら誰かがサッと俺の下に座布団を引いてくれる。しかもなんか知らんが俺サイズという偶然。


「メロエ、俺の膝の上で話してくれ。お前の口から、何がしたいのか教えてくれ」


「わ、私は・・・アスクの・・・・その・・・・良さを皆に知って貰いたかったの・・・」


「それで?どうしてこんなことに?」


「いろんなところに行っていたら皆ついて来てくれて・・・・」


「メロエは俺が初対面の相手と中々上手く話せないこと知ってるよな?」


「で、でもね。皆にアスクの姿を見せて上げたかったの。ほら・・・・アスクカッコイイじゃない?」


なんかモノスゲー頭痛くなってきたから早退していいかな、他人の言う全てを鵜呑みにしてここまでホイホイついて来た阿保共に割く時間は無いんだが。仲には絶対にいたらまずいと思うような神の類もいるようだ。


「メロエだけは俺の心を見てくれていたと思ったのに・・・ちょっと残念だな」


「私はアスクの心、カッコいいと思うわ!うん、とってもカッコイイ」


「とって付けたような言い方だな・・・・・・」


「でも皆に内面のことを伝えるよりも先にアスクがどんな人なのかを教えて上げたかったから・・」


「分かった、もう二度と合わない変わりに今日ぐらいは付き合ってやるよ」


「ちょ!・・・・ちょっと待って!?・・・え、冗談よね?・・・・」


「・・・・・・・・・」


「嘘よ・・・え、なんでそんな簡単に言えるの?私達幼馴染じゃない。ねえ、アスク聞いてるの?」



「聞いてるぞ、で?俺にどうして欲しいんだ?」


「何で怒ってるの?・・・・ねぇ、・・・ゴメンなさい・・・許して・・・」


「俺も少しばかり今回の件はショックなんだ、顔だけで見るためにこんな馬鹿みたいに集まってさ。お前ら何がしたいの?なあ、教えてくれよ」


メロエを殴り飛ばせない怒りで震える拳が亜空間の薬を握り、緑ローブ達に襲い掛かってしまう。凄いとばっちりだろうがこんな危険人物の近くによって来るならそれ相応の覚悟はして来るべきだったな。全てダイアモンドに変えてしまった。


「き・・・・綺麗・・・・」


「そうだろ?やっと昔のお前に戻って来たな・・・俺のツラみて喜ぶなんてつまんねえことしてないで良いんだ。俺に会いたいなら皆友達として俺に紹介しろ、俺も出来る限り頑張ってみるから」


「うん、もうこんなことしないわ。アスク教は、アスクの顔の拝見を禁忌とします」


「そうじゃないが・・・・もうそれでもいい、俺もこの話を長く続けたくない」


「それと・・・・皆を元に戻して欲しいの、大切な・・・友達だから」


「一人千四百五十万ジェル・・・と言いたいところだが、幼馴染のメロエの頼みだからな。一人四万ジェルでいいぞ」


メロエは彼女達に意識がある事を知らない。ここで悩んだりすれば当然仲に亀裂が入るが果たしてどうなることやら・・・・・


「いいわ、全員もとに戻して」


「ふむ、(意外と決断は早かったか)・・・分かった、それと治った奴らの一部を貰うがいいか?」



「彼女達もそのまま宝石にされているより嬉しいはずよ」



ではではと、四万ジェル達から一部を貰いながら直していく。天使からは天使の翼を、悪魔からはツルツルとした尻尾を、単眼の鬼からはその眼を貰うといった感じで、人間からは髪や唾液を採集させて貰った。


神様からは心臓と脊髄引き抜いたので少し多めに他より貰ったがまあ回復魔法をかければ元に戻るだろうから特に心配はしていない。人と神が同じかどうかは分からないが。


「皆、聞いて欲しい。私はアスク様との会話をした、その結果新しき禁忌が生まれた。私達はアスク様の顔を見てはならない。」


周囲がざわめく。そのザワザワは当然の事だろう、顔で宣伝してきた奴が顔見せないとか。じゃあ何するんだって感じだろうな。


「静粛に。コレはアスク様が決められたことだ。そして次に私達アスク様のご友人となる許可を得た、よってこれよりアスク教最高の褒美であるアスク様との接触を教団員全てに与える。一人一度までだ、列に並べ!!」


緑のローブが縦一列に長蛇の列を作る・・・・何人いるんだろうか。なんか話がすっごい方向に傾いたな。何でかは知らないがこいつらはメロエに洗脳でもされているのだろうか。こんなデカイだけの男に触れるだけの何が楽しいのだろうか。


「メロエ・・・俺は何をすれば良いんだ」


「何も考えず、触れてくれさえすればいいの。・・・ソレだけで私達は幸せなの」


(ますます意味が分からんぞ)


取りあえずありったけの俺の知識を総動員した結果、人には聞くがそれ以外にはどうか分からないと言ったものばかり出てくる。とりあえずソレを全て使ってやりきって見せるが。


「・・・はい、こんにちわ。名前はなんていうの?・・・そうなんだ、覚えておくよ。これからも宜しくね」


一人目は普通に四十代ぐらいの人間の女性だったが、背筋が半端ない厚みだったので多分普通のおばさんでは無い事は確かだろう。ハグを要求されたのでハグをすると、物凄い力で抱きしめられて鎧に後がついていた。


二人目は天使だ、片方の翼を貰った後にまだ回復魔法をかけていないらしい。まさか天使の癖に回復魔法が使えないなんてこと無いだろうと思い、何故回復魔法をかけないかと聞くと、なんか忠誠の証?とかなんとかで治さないらしい。よく見たら衣服の乱れで、この天使は中性に見えたオスだったようだ。


要求は、渡したケインで自分を叩きのめして欲しい・・・とのこと。接触していいって言っといてなんかただやりたいことやって貰おうみたいな流れになっていないだろうか。とりあえず渡されたケインを手に彼を数回たたいてみるが、なんか不満らしく自分に手加減は不要だというので思いっきりやったらソレがかなり好評で、後から続く殆どの神や天使に男女問わずソレを要求された・・・・。




悪魔や鬼は俺の苦労を知ってか、頬に口づけやハイタッチなどで許してくれたので彼らにはとても良い印象しかもっていない。将来なるなら神よりも邪神の方が部下の相手をするのに楽そうでよさそうだ。


爬虫類の女の子や、魚の顔をした女性達は、ハグをしたり握手をしたりすると酸のようなもので首や肩を焼かれたりしたが、彼らの風習か何かなのだろう。そこは好意として受け取りコチラも彼女達に酸を浴びせられたので仲良くなれた気がした。


結果、神や天使は欲望に忠実な奴が多く、悪魔や鬼は基本的にな思慮深く慎ましいやつが多い。単眼の鬼に頭を撫でて欲しいとリクエストを受けた時は神達のギャップのせいで必要以上に撫でまわしてしまったほどだ。


それとそれぞれの昆虫とか爬虫類女性の方々の中で風習とかあるなら事前に教えて欲しいという事と、コレは全ての種族に対して言える事だが。中性はともかく男がいるってどういうことだ?とりあえず皆同じように扱っては見たもののアレで良いのか男どもは。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



本当に長いと感じた夜の集会は終わり、各種族は散り散りに消えていった。



「あ゛ぁああーーーーーーー疲れたぁ・・・・・・」


「ありがとうアスク、皆満足して帰ったみたい」


「お前は良いのか。メロエ」


「え?いいの!?」


「いや、ないなら別に良い」


「あるわ!!あります!!!やって欲しいこと!!!」


コイツ今瞬間移動しなかったか?


「なんだ?」


「指を舐めさせて下さい」


「気持ち悪い、却下」


「一生のお願い」


「一生のお願いをそんなことに使うんじゃない・・・・それになんかキャラ崩壊激しいぞお前。どうかしたのか」


「場の空気に酔ってるみたい。ねえ、お願い」


「・・・・・・・・・・・・・」















こんなにバラバラな話を書くなら分けろって自分で思うんですけど、何とか二日に納めたかったんです。でないと、■■■■■■の話しが出来なくなってしまうので。



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