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独学の毒薬で異世界無双  作者: ほふるんるん
獣人国編 
150/185

魔族地域 獣人国編(死)5 裏方

大声で自分の意見を押し通そうとするのって、子供の時にやっといて損は無いなぁと思ったので、一応書いてみたんですが想像以上に大人げない可哀想な人にアスクさんがなっていて笑いました。もうちょっと落ち着いた性格になってくれるのは歳をとってからですね。

あの森に入って行っていく灯りの群れは、ティア達がまとまっている所に依然として接近中。このままドンパチする気なのか、はたまた善良な市民達が兵士達を縛り上げて持って行っているのか気になったので、四人でちょいと覗いてみる事に。




「アスクさん、あれ見てください。多分お年寄りのネコさんでしょう、命乞いみたいな事を兵士にしてますよ」


「命乞いの相手はモクリトス・・・?だろうな」


「あのおじさん町長とかですかねー、身なりが他のネコさんよりも良いですし」


「ただの金持ちかもしれんぞ?貴族とか商人とかの」


「アスク、よく見よ。貴族や商人ならあのようなゴツゴツとした手にはならんだろう、やつはブランド野菜を育てる農家に違いあるまい」


「・・・・偶々良い服着てるだけの老けた猫に見えるのは私だけなのね」




ここからあの爺さんが何者なのか四人で賭ける事に。賭ける者はそれぞれ、俺は持ち得る薬の提供、竜海は加護、竜王は鱗や爪といった素材、メロエは料理だ。価値には差はあるとしてもまあそこは適当に初めた暇つぶしゲームなので見て見ぬふりをするという事で。



「さてあの爺さんは一体何者だ」


「早く自己紹介フェイズ来ませんかね」


「あの獣人・・・ブランド農家でないならば生かしておかぬ」


「いや、ただのお爺さんよ・・・・」



若干一名、賭け事となると燃えるタイプの奴がいるようなので、もしかしたら笑いごとにならないかも知れないと感じる他三名。


向こう側では尚も少しずつ会話が進んでおり、モクリトスがわざと刺された。何故刺されたのか、賭け事の話で全く聞いていなかったが恐らく気に障るような事でも言ったのだろう。


俗にいう俺様系男子と言うのは一歩間違えれば刺されても仕方のない言動を多々起こすものなのだ。刺されても何も不思議な事は無い。


「うわぁ・・・・すげぇ、剣から血が出まくってますね・・・バカみたいに血を吹き出すグロアニメ見てる気分になって来ましたよ」


「相当な傷を受けたぞ、刺される位置ぐらい調節出来ただろうにしなかったというのは面倒だったからか?」


「・・・あのな、全ての人がお前のような体になっていると思うでないぞ?」


「アスクと比べるのはちょっとね・・・」



俺と比べるとどうだと言うのだ。メンタルが強くなった時に再度聞いてみるのも良いだろう、とりあえず今は聞かなかった事にする。



改めて草むらから覗くと、今度はどっかで会った事があったかも知れない猫が演説口調で、堂々と民衆に何やら訴えかけている。口元に薄っすらと魔法で口紅でもしているのか、霧のようなものを口から垂れ流し続け、民衆の周りにその霧がフヨフヨと浮いている。



「あの霧・・・言葉に力を持たせる力があるみたいですね。アレで上手く民衆をまるめこもうという作戦でしょうか」


「話術にたけているならそういう事も出来そうだな。あの猫オリジナルの魔法か、もう少し見てみるか」


「確かに随分と面白そうなものを使っておるのー、操られる側もあの魔法を使われた後では少し障害が残るかもしれん。一応妾達の周辺に薄い結界を張っておくぞ?」


「あ、あの竜王ちゃん」


「何じゃ?」


「・・・・こしょこしょこしょ・・・」


「・・・・・・・分かった、余り遠くへ行くでないぞ」


「・・・・うん」



メロエは草むらから顔を出すと、泉の方へ向かって走っていった。



「アスクさん、僕ちょっと喉が渇いたので泉の水を飲みに・・・」


「お前はしっかりとこの光景を目に焼き付けるんだぞ?」

(何を考えているか分からんがコイツをこのまま泉に向かわせるのは危険だと判断した。それに俺も気がそこまで回っていなかった。メロエには長い間我慢させていたのだろう、暫く一人にしてあげよう)


「僕はカメラアイなので問題ありませんって、ほら、もう喉がガラガラにな゛っでぎま゛じだ」


「龍神が喉荒れを起こすワケ無かろう。大人しくしておれ」


「うぇえーーーぇぁぇー」


変な所で本気になるコイツを誰か止めてくれる奴はいないだろうか。このままでは神が牢屋にぶち込まれるなんて珍事が起きかねない。


「おい、そろそろ話し合いが終わりそうだぞ」


「あ、王女様泣いてますやん。コレ助けに行かないと」


「いや、今俺達が行ってもややこしくなるだけ・・・っておい、準備するな」


竜海の背中に翼が既に生え始めていることを見るに、コイツの本気度がうかがえる。童女を助けるためならコイツ、どこへでも飛んで行きそうだな。


「分かった、お前が出来心で助けたいと思ったあの王女様は助けてやるからちょっと待て。アレは俺にも必要なモノだから助ける事には助けるから。だから少しだけ待ってくれ、その翼も収めて、そう、そうだ、それでいい」


「それで何か計画があるんですか?なるべく早く助けたいんですけど」


「今思いついたモノの中に良い案がある。それでいこう」


「作戦内容を教えていただきたい」


「まずお前が囮になる、それから」


「囮は前提ですか」


「・・・・・」


「あ、どうぞ」


「それから俺が後ろから薬品を撒いて獣人達を鎮圧しよう、兵士の方は亜空間で回収後、俺達の記憶を消してから国に再配置。王女の洗脳もここでやる、偶然にも王女が外に出ているからな、今が好機だ。それぞれの工程で分からない事はあるか?」


「妾はどうする?」


「竜王は竜海を手に乗せて空から降りて来てくれ、なるべく威圧をかけるようにして」


「獣人では死んでしまうぞ?」


「・・・・・ほどほどに頼む」


時々隣の草むらで様子を伺っている竜王がどうしても普通の女性に見えて仕方がない。とても呼吸感覚で人間を踏み潰したりするような奴には見えない。


「そういや僕達が薬の影響を受ける事はありませんか?」


「効果範囲が決まっているものだから問題ない。それでも心配と言うのならば、土魔法で大きな蓋をすればいい。薬はその中で自然消滅する」


「アスクさんいると密室殺人し放題じゃないですか、こわー・・・」


竜海の奴の冗談は置いておいて、一応竜海には防火やら防水をしてくれる紫のローブを渡しておく。立場柄、表や裏の人達から多くの貢ぎ物を頂いているため、このようなちょっとした高級品も亜空間に知らずに溜まっていたりする。


「なんですかコレ、おぉおあったけぇ・・・」


ちなみに紫ローブは父さんの領地に隠れている盗賊のようなマフィアのような人達のお偉いさんからの贈り物だ。送られて来た理由はウチの娘となかようしてくれてありがとうな、とのこと。俺はアンタの娘のことを知らんぞとはその時言えなかった。


「すっごい良い肌触りですね、アッチの某有名タオルに引けを足らないサラフワ感ですよ」


「アレ確か四~五千円しただろ、覚えてるぞ。よくそんなの持ってたな」


「お前達、一体何の話をしておる。ほれ、王女が物騒な事を言い始めたぞ、そろそろ出た方が良かろう」


「もう少し計画を練っていたかったが・・・・致し方ない。竜海、良い囮を」


「い、良い囮って何ですか!?演技力の問題ですか!?・・・・やってやりましょう、男竜海、一発素晴らしい名演技を見せてごらんに入れましょう!」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




それから、竜海が色々と派手に名前を名乗ったりなどのパニックはあったものの、無事にアドリブで竜海が繋ぎ合わせのでそこは問題なかったが。最後にメロエがかえって来て、とんでもないパンドラボックスが俺に手渡された。


竜王が竜形態となって、俺達の前にいるため実質彼らには竜海と竜王しか映っていないだろう。その間に後ろではワケの分からない箱と伝言で慌てふためく二人の姿があった事を彼らは知らない。


「なんだコレは!?」


小声で聞いてみるも、メロエ自身よく分かっていない模様。


「私がアスク達の所に帰ってる時に偶々すれ違った人達にお願いって渡されたのよ。断りたかったのだけれどコレ貰っちゃって・・・」


メロエが手を開いて見せたのはキャンディだった。それも品物が入ってきたらすぐに売り切れる製造者不明のキャンディである。製造者不明と言っても、製造元はちゃんと掴んであった。だからこの件で俺が頭を悩ませる結果になってしまったのかも知れないが。


「そこのキャンディなぁ、・・・・美味しいって評判だからしょうがないな」


ウチの伯父さんの隠れ財産とも言える商会の一つだ。バックで資金援助をしているだけだろうが、前に一度成分分析して同じモノを作ってクラスで配ったらいつの間にか作っていた道具ごと消滅していたので、それ以後触れてなかった。未知の恐怖には逃げの一手で勝つというのが俺の正義だ。


しかし・・・・・またこうして目に入れる日が来るとは正直思ってなかった、思いたくもなかった。あの箱に入っているのが伯父さんの一部と言われても俺は驚きはしない。しないが汗腺が活発に汗を生産することは目で見ずとも分かる。



「この箱をモクリトスさんに渡して欲しいんだって、アルーナって人宛あらしいのだけれど」


「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ、・・・・そう。竜海に渡さないとな」


アルーナさん・・・・伯父さんの嫁さんの名前だ、もう逃げられないらしい。配達員にジョブチェンジして届けなければいけないようだ。


諦めて、震える手でその箱を受け取ると、メロエのポケットからさらに同じ箱が三つ出てくるのを見て心が折れそうになる。



「それとコレとコレとコレね。最後の奴だけ別の人からだけど」


命よりも重たい荷物が四つ・・・・荷が重すぎる。重すぎて腹の中に石を詰められた上にもう一人俺を肩車しているみたいだ。


「と、とりあえずたつみぃ・・・コレ頼んだわ。アドリブでここら辺も上手く繋げといてくれぇ」


後ろから言葉を投げかけると、ローブが揺れ動いたのでどうにかなるのだろう。箱を前にワープさせるとまた竜海が話始めた。










取りあえず後数話で獣人国編を終わらしたいですねぇ。それから短編をちょこちょこ出して、主人公たちの歳を早くとらせたい。9歳でこの会話とか、正直コイツら15とかになったらとんでもなくグレてそうで書くのが楽しみで仕方ないんですよね。

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