番外編 伝説の冒険 第玖話
書きたくなったから番外編。
魔物達は恐れた。己が命を賭けた主が瞬きよりも先に倒された事を。魔物達は恐れた。目の前にいるアレは何なのだと。魔物達は次の瞬間、倒されていた。
「い、イザヴァル殿が敵の大将を討ち取ったぞ!貴様ら遅れをとるな!!!」
『うぉおおおおおおおお!!!!!!』
聖剣ヴェズルフェルニルによって、戦況は連合王国ミズガルズが優勢となる。司令塔を失った魔物達は前から兵士や冒険者達によって切り崩されその陣形は崩壊の一途を辿る。
「パクパクパクパクパクパクパクパック」(主が死んだ、俺達は死ぬのか。嫌だ、まだ死にたくない)
「パクパクパクパクパクパクパクパック」(人間・・・・殺す勉強・・・・したのに・・・)
「パクパクパクパクパクパクパクパック」(アイツがいなければ人間族を狩っていたんだ、アイツさえいなければ)
魔物の中には逃げるモノも多く、暗い海の底へと逃げて行く光が海中を光で埋めた。そんな全ての魔物達が諦めかけたその時、魔物達は願いもしなかった奇跡と出会う。
「ほう、ヴェズルフェルニルに誘われて来てみれば・・・・・中々に風情がある光景ではないか。粗方あの聖剣の力で返り討ちにあい、逃げている最中と言った所か。このままではお前達も他と同様アレだけに負けたと眼を濁らせ敗走するだろう。だが、俺の欠片に群れた可愛い子達だ。本質を見抜くまでの力を今暫く与えるとしよう・・・・」
何時からか海の上に立っていた巨大な怪物は、誰にでも聞こえるその大きな声で言ったのだった。残り魔力が少なくなったイザヴァルにアレを止める事は不可能であり、ただあの魔物を知る事しか出来なかった。
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名:ヨルムンガンド
状態:顕現中
称号:大海
年齢:十万と少し
種族:ヨルムンガンド
レベル:13
HP:3澗~材料不足
MP:0~材料不足
攻撃力:0~材料不足
防御力:0~材料不足
素早さ:0~材料不足
賢さ:0~材料不足
器用:0~材料不足
幸運:-0~材料不足
通常スキル
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エクストラスキル
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ユニークスキル
・聖剣の呼び声(鑑定による閲覧可能)・*************************************
スキル説明
:聖剣の呼び声
聖剣を目印に顕現する事が出来る。
言いたい事
・勝手に人のステータスを閲覧する悪趣味な聖剣の持ち主へ、俺のステータスはお前の今のユニークスキルレベルじゃ閲覧させてやらんぞ?聖剣の扱いもそうだが、お前の素質は世界に認められたモノであり、聖剣を作った俺の認めたモノだ。
だが今のお前にはまだ全てを受け止める資格が無い、心技体全てを現状から超越した存在になれ。お前ならいずれ俺の記憶を【知る】日が来る。楽しみはその時までとっておくんだな。
ps
・初代の聖剣使いが死んで二百年ちょっと。剣を返してもらおうと魔物を集めてみたが新たな使い手が出来たのならばそれはそれで良しとする。今いる魔物の群れにお前が聖剣だけじゃないって事を教えてやってくれ、ソレが奴らの今後にもなる。殺しても構わん、ただしやるなら苦しまない方法にしてやってくれ。俺の垢を聖剣で倒したみたいにな。
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多くの情報に触れて来たイザヴァルだったが、今脳内に送られて来た数少ない情報に硬直していた。
(自分のユニークスキルが客観的評価を受けただと・・・・・?あの魔物には私のユニークスキルが見えているとでも言うのか。・・・・・・今相対するには明らかに分の悪い相手だ、だが私の中にある格闘家達の記憶が胸の中で騒いでいる・・・・気分が高揚する、私は今アレと戦いたいと思ってしまっている)
イザヴァルは自分では冷静に思考しているつもりが、体は既に魔物を退きヨルムンガンドに突進していた。ヨルムンガンドの心技体のうちの心とは、まさにこうした自制する力を付けろと言う意味になる。
当然ヨルムンガンドは相手にしない、幾らイザヴァルが斬り、殴り、蹴り、投げたとしても反応を示さない。反応を示さない事こそが今イザヴァルの一番望んでいない結果であり、イザヴァルの精神に対する攻撃になる。
「詰まらん・・・・・・詰まらん詰まらん詰まらん詰まらん詰まらん!!!まるで興が乗らん!!!!」
遂にイザヴァルは攻撃を止め、茫然と天を仰いだのだった。周りでは新たな進化を遂げた魔物達に対して兵士や冒険者達は激闘を強いられていた。ただ、イザヴァルの周りには誰一人として近寄らなない。何かの象徴のようにただそこに、ポツンとおかれた飾りのように。
「イーザーバールーーーーーそんな所で何をしているんですの?」
モクリトスが荷車を引き、その中から声がする。それは彼の拠り所であり弱点、人間族最強の彼の弱点である最弱の拠り所。初めは貴族であるが為に部屋の掃除からトイレ、衣類の着脱も一人で出来なかったアルーナ。しかし運命とは上手く出来ており、良く出来た夫には駄目な嫁が。良く出来た嫁には駄目な夫がつくようになる。
イザヴァルが彼女を貴族という階級から遠い冒険者という職業で生きていくために力を貸すのと同様に、アルーナは脆い精神でいつ消えるか分からない自我をイザヴァルの隣で寄り添い、いつの日か必要とあらば手を差し伸べる関係となっていた。
「アルーナ・・・・・私は魔物を狩ってたんだよ・・・・・大きな・・・・・・・・大きな魔物をね」
「あらあら・・・・・・・・とても頑張りましたのね。どこが宜しいですか?」
巨大な魔物は未だに、イザヴァルの目の前に佇む。しかしアルーナもそれに動揺せずイザヴァルにどうして欲しいかを問う。
「膝が良い・・・・いつも通りで良いから」
「分かりましたわ・・・・お休みなさい、甘えん坊のイザヴァル」
「私は・・・・・甘えん坊では・・・・な・・・・・・」
まるで別人のように膝で寝息を立てるイザヴァルと、そんなイザヴァルに膝を貸すアルーナ。周りでは阿鼻叫喚の地獄が広がる中、イザヴァルとアルーナの周囲には魔物一匹入りこんでくることは出来ない。その領域に踏み込もうものなら、地獄の番犬が持つ二刀一対の刀によって全て両断されるからである。
「イザヴァルが休んでいるんだ、ここから先は俺達の領域だ」
「そこの聖剣使いを差し出せ、命だけは助けてや・・・・・」
「煩い」
進化し、レベルも七百を超える化け物もモクリトスの前ではその他と変わり映えしない魔物となる。
「今日の料理当番がアルーナだから俺も気が立ってる。だから近よんなよ・・・・・・俺の剣に食われたくないならな」
モクリトスの前で一刀両断された魔物は、自己再生の追いつかないレベルで微塵切りになり手持ちの魔道具によって細胞の死を迎えた。
「アレが実力ではSSSと言われるSS冒険者のモクリトスか。遠目に見ても分かる、確かにあの風貌は獣人の英雄その物、幼少期聞かされた伝説そのものだ・・・・・!」
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ステータス
名前:モクリトス
状態:獣神
性別:男
職業:冒険者
称号:償う者 戦う者 抗う者 神域 神刀の継承者 etc.
年齢:18
種族:獣人族 レア種 カパリュ
レベル:999
HP:490000
MP:1192
攻撃力:570000 (上昇中)
防御力:60000 (上昇中)
素早さ:200000(上昇中)
賢さ:1200
器用さ:170000(上昇中)
幸運:5
通常スキル
・双剣13 ・身体能力極限強化13 ・剣術11 ・大剣術11・短剣術11・上位鑑定10・看破10・暗殺術9・見切り9・剥ぎ取り9・料理9・牙術7・棒術7・槍術7・弓術7・盾術7・洗濯5
エクストラスキル
刀鍛冶11
双剣の才能
神刀哀離召喚13
ユニークスキル
トランスフォーム開花(タイプ獣神)
所持魔道具
熱を帯びた指輪
雷を帯びた指輪
炎を帯びた指輪
癒しの力を帯びた指輪
スキル説明
刀鍛冶11
神刀哀離を製作する事が出来る。
神刀哀離召喚13
悲しみを切り裂く希望の刀。体の痛みや心の痛みを胸を突き刺す事によって抜き取る事が出来る。それを別の相手に植え付ける事によりダメージを与える事も可能。二刀一対の刀であり、両方で突き刺すと体の痛みや心の痛みを消し去る事が出来る。レベルは使用頻度によって上がり、14になると壊れる。
トランスフォーム開花(タイプ獣神)
トランスフォームする事が可能になった特別な個体に与えられるスキル。全能力が飛躍的に上昇する。
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「・・・・・あんたが休みたいと言うのなら俺は玉座だろうが戦地だろうが居場所を作ってやる。それが俺に出来る今のあんたへの唯一の恩返しだからな・・・・・・」
イザヴァルが覚醒するまでの間、これが勝機だと悟った魔物の群れとモクリトスの戦いが今始まる。
イザヴァルは、能力を使うデメリットとして能力を使えば使うほど様々な人格が混ざり合い、精神面が脆くなっていきます。




