魔族地域 獣人国編(猫)その12 旋律!恐怖のティア・ゼパル!
久しぶりの本編だー!
チュンチュン・・・チュン・・・
「・・・おい竜海・・・お前の目覚まし時計の鳥の声がうるさい・・・早く切れ・・・・」
竜海が枕元に置いている目覚まし時計が変わった音を立てて俺達を起こす・・・全く勘弁してほしい。
「・・・アスクさんお久しぶりです~・・・・」
「・・・寝ぼけてるのか?・・・・しかし俺もなぜか久しぶりな気が・・・気のせいか・・・」
「二人とも既に十分に睡眠はとったであろうが。早く目を覚まさんか、情けない。ホレ、これでどうじゃ」
竜王はシャっと、窓の大きなカーテンを開け、部屋全体に日光を入れる。目をいくら瞑っても入り込む光に、掛け布団で抵抗しようとするもメロエに引っぺがされる、が、直ぐに掛け布団は返ってきた。
「ちゃんと服を着なさいよ!」
「寝る時はいつも俺は裸だ・・・それに昨日確認はしただろ?」
「してない!」
してなかっただろうか・・・というかメロエと竜王は先に目を覚まして、行きに来ていた服にもう着替えたのか。竜海と俺はとりあえず顔を洗って髪を整えると、服を着たり着替えたりする。
と言っても俺は透明で一枚の皮膚のようになっていた鎧を、元の宝石の散りばめられた成金鎧に戻すだけで、竜海の奴も亜空間から服を取り出して身に着けるだけと、男性陣の支度は女性陣ほど時間はかからず、手っ取り早くすまされる。
「よし、それじゃ部屋を出るぞ」
「大丈夫でーす」
「私も大丈夫よ」
「うむ、問題ない」
扉を開けると槍を持った兵士二人が立っており、俺達が起きるのを待っていた様子。
「よくお眠りになっていたようですね、こちらでご朝食の準備が出来ております」
兵士に連れられ、朝ご飯の場所まで案内をしてもらう途中、ふと兵士二人の会話が耳に入る。いや、入るように話しているのかも知れないが。
「そういえば明日来るらしいな」
「らしいな」
「女王様は一体何を考えているのやら、本気で吸血鬼どもとの会談をなさるつもりなのだろうか。彼らとの間の忌まわしき歴史を知らないわけでは無いでしょうに・・・」
といった風な感じで、まあベラベラと客人が後ろについて来ているも、お構いなしといったように情報を垂れ流す兵士。
吸血鬼と獣人族との間には何かあるのはティアが今回の仕事の同行を嫌がった時に分かってはいたが、その因縁ともいえる二つの種族の会談となればよほど重大な事なのだろうなー。
「その話、少し聞かせて貰ってもよろしいでしょうか」
「アスクレオス様!?、もしかして今のお話しを」
「少し聞こえたもので」
「そうですか・・・なら仕方が無いですね」
何が仕方が無いだ、あからさまにこちらに聞こえるように話をしていただろ。そして反応からするに魚が餌にかかったといった感じか?あからさまに話したそうじゃないか。
「吸血鬼の王というのは?」
「ティア・ゼパルという吸血鬼の中でも真祖の先祖返りと言われるほどあらゆる分野にたけた天才だとか。噂には奴の学び舎にやってきた勇者を全て串刺しにして嬉々とした表情を浮かべ、その串刺しになった勇者達を見ながら血のワインをすすっていたとか・・・」
「それで確かこういったらしいな、『オヤジを殺したのはこの程度の雑魚だったのか』と。情報収集部からの情報だから間違いない」
間違えだらけで腹を抱えて笑い転げそうな俺の内心をコイツらは知らない。メロエはもう耐えられない様子でクスクスと、笑いが漏れている。
前提としてティアが勇者を全員串刺しって所からおかしい、死体で遊ぼうとしたら怒るアイラブヒューマンな彼が串刺しをみて嬉々とした表情をしたっていうのもまるで別人の話だな。
・・・なるほど、今のように情報収集部で全ての事実は隠蔽、または改ざんされて兵士および国民に伝えられるわけだ。そしてそれによって吸血鬼と獣人との関係が良くなることを防ぎたいという、第三者がいる事が分かる。もう少し探りを入れればティアの役に立つ情報でも手に入るか?
「とても恐ろしい奴です・・・・そんな奴と王女様は一人で会談なさるという。アレだけ宰相のジャマッパ様が反対なされておられたというのに」
「アスクレオス様からも何か言ってはいただけないでしょうか」
コイツらが俺達にその話を聞かせたのは王女に吸血鬼との接触をして欲しくなかったから、つまり俺達が何とか説得してもらえないかという事か。
なら答えは簡単だ。
「やめておいた方がいいですね」
「そうですか・・・」
「君達は君たちの王女を信じて付き従えばそれで良い。僕の見た所王女は間違ったことはしてはいない。むしろ今後のこの国のことを精一杯に考えているように思えた。だから君たちも案ずることは無い」
「はっ!・・・・アスクレオス様は私達よりもお若いというのになぜだが父と話しているような気にさせられます。こう、言葉に重みがあるというか」
「ハハッ、よしてくれ。僕はまだそんな年じゃないよ」
「はっ!、失礼しました!」
「まもなくお部屋に到着致します。中には王女様も折らるのでくれぐれも粗相の内容お願いいたします」
話しをしながら歩いていると時間は直ぐ立つもので、食事の用意されている客間にもう到着してしまった。後ろで竜海がトントンと背中を叩くので振り向くと、涙を流しながら笑いを堪えるメロエとニタニタと笑みを浮かべる竜海。
先ほどからコイツらは一体さっきから何を見て笑っているのだろうか、竜王の方を見ると、何となく呆れたような表情をしている。
「アスクさん、あんた何個仮面ついてるんですか、ふふ・・ふひ」
「アスクが、貴族っぽいよ、竜王ちゃん。笑いすぎて、涙が、ふふ・・ふふふ」
「二人ともお主が別人のような言葉遣いで話すものだから笑いを堪えるので必死の様じゃぞ。妾も驚いてはいるが、そこまで笑うようなことなのか?」
「コイツらが失礼なだけなんだ、竜王は何も間違ってないよ」
「ほうか、ならよいのじゃ」
あとがきとか前書きとか何書いたらいいか分からない!




