番外編 伝説の冒険 第伍話
番外編ばっかり書いていると、番外編では無くて本編なみに話を書いてみたくなります。特に今回のイザヴァルの話とか普通に主人公よりも主人公してる気がして・・・
「さて・・・二人が起きるまでに私がする事といえば・・・情報を集めるぐらいか。スキルの新しい能力をまさかこのような形で使う破目になるとはな・・・スキル発動」
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名前:モクリトス
状態異常:奴隷刻印 ・恐怖症 ・食物不耐症 ・血行不良 ・低血糖症 他多数
性別:男
職業:(奴隷)
称号:同族殺し
年齢:14
種族:獣人族 レア種 カパリュ
レベル13
HP:90~100(500~530)
MP:0~0
攻撃力:20~21(200~230)
防御力:30~31(220~240)
素早さ:10~11(190~230)
賢さ:3~4(30~31)
器用:3~3(70~73)
幸運:1~1(5~5)
通常スキル
・双剣5 ・演武4 ・暗殺術3 ・見切り2 ・剥ぎ取り2 ・鑑定1 ・看破1
エクストラスキル(なぜ?により強制閲覧中)
・双剣の才能
ユニークスキル(なぜ?の絶対権限により強制閲覧中)
・トランスフォーム(タイプ獣神)
説明:5歳まで獣人の国で商人の息子として育つ。六歳の誕生日が近づいた頃、乗っていた馬車が盗賊に包囲され親と共に奴隷におち、歳が十になった頃父親が死亡、母親は売られ行方不明。
アルーナを殺害するためにやってきたが、途中アルーナ死亡の情報を知り、野垂れ死にしようとしていた所をアルーナが宿屋の二階から発見し、保護。
宿屋にある素材を買い、料理して食べさせるも、食物不耐症と不味さで気絶。そして現在に到る。
性格・もとは自信の塊のような少年だったが、奴隷として過ごす時間が長すぎたために心を閉ざし奴隷商人に怯えるようになった。
弱点・優しくされると好感度がとても上がりやすい。親の事を言うと血が上る。剣を扱う時に脇腹が良く開く癖がある。
装備品 奴隷の首輪(なぜ?のスキルにより素材と効果、解除方法閲覧可能)
以降獣人の特徴について・・・・・
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(スキルが一日一度なわけだ・・・ものすごい情報量と相手の記憶が私の脳内に流れ込んでいる。戦闘経験値も同じように流れ、スキルは情報だけだがこのモクリトスという青年の持つスキルは、一応全て理解した、いずれ習得も可能になるだろう)
「この青年・・・相当の修羅場を越えてここまできたようだな。それとアルーナとの件については私の早とちりだったらしい、私も少し飢えているのかもしれないな」
(それにしてもこのままどうするべきか・・・・二人が起きれば自己紹介もするだろう。この少年今はフルパワーが何故か出せないみたいだがそれもいつ復活するか分かったものではない。
先に今ここで始末してしまうのもありだ・・・しかしユニークスキル持ちであり、種族もレア種ときた・・・うーむ・・・どうしたものか。
提案を受けるようなら生かすのもアリとしよう、しかし敵意を出すようならば・・・全力になる前に今ある魔力の限りを尽くして、この青年には残念ながら消えてもらうしかあるまい)
考えがまとまり、もしものための準備を滞りなく済ませると、二人が目覚めるのを待つイザヴァル。するとやがてアルーナがう、うぅ、っといった感じに大きな伸びをして上体を起こす。
「おはよう、アルーナ」
「あ、あれ!?イザヴァル様、何で!?あ、あらら、もうお日様があんなに出ていますわ!?そ、そうでしたわ彼は・・・はぁうわ!!なんで隣に!!??」
「アルーナ、まずは少し落ち着きなさい」
「は、はい・・・あ、あのぉ」
「ん?どうかしたかな」
「お約束を守れず申し訳ございませんでした・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・あぁ、その事か。別に構う事は無い、君も君で大変だったようだからね」
一瞬素で昨日の約束を忘れていたイザヴァル、それだけ彼の疲労は溜まっているのである。徹夜帰りのクタクタの体で自室に帰ると見知らぬ青年がいたのだから、色々考えておちおち眠ることすらできなかったのは当然ともいえる。
「そ、そういえばこの人についてですわ、この人は・・・」
「それについてはもう大丈夫だ、心配ないよ」
「え、イザヴァル様、何か誤解をしているのでは」
「誤解?ほう・・・それは例えば何なのかな?」
「そ・・・それは・・・・私がこの人を・・・」
「ふふふふ・・・・しんぱいする必要はない、このモクリトス君については少し調べたからね。アルーナがモクリトス君にご飯を作ったり看病をしていたのだろう?」
「な、なぜそれを・・・」
「少し情報収集が得意でね、次いでにこのモクリトス君が君を殺すために送り込まれてきた暗殺者という事も知っている」
イザヴァルの言葉を聞いて跳ね起きるアルーナ。最近はずっと同じドレスで生活しているので汚くよれよれになっておりとてもだらしない。
「服を買いに行く事を予定に入れておかなければな・・・・」
「そ、そそそ、そんな事よりもさっきのお話しは本当ですの!?」
「あぁ、だが彼も彼なりに大変だったようだ。起きたら優しくしてあげようじゃないか」
「イザヴァルさま・・・」
それから数分するとガバッと、目を覚ますモクリトス。周囲を見渡し、殺害対象の相手ともう一人、同じ歳程の男が椅子に座ってこちらの様子を伺っていることを知ると、次に自分の腰に二本の短剣がある事を確認すると、殺害対象であろう女に問いをする。
「お前がアルーナだな?」
「は、あひ」
「なんて返事をしているだ・・・目覚めたようだね、モクリトス青年」
ゆっくりとベットから降りるモクリトス、その目には油断がない。
「・・・誰だ貴様、おれはその女にようがある」
「知っている」
「!?・・・・どういうことだ」
「君の事は全て知っている」
「な・・・何を言っているんだ貴様」
「言葉通りだ、君の今まで歩んできた人生、今の君の目的、これから君がしようとしている事。色々知っている」
「アイツらの仲間か?」
「いやいや、奴隷商人と一緒にしないでくれたまえ。私は君の人生を大きく変える人間だ」
「違うなら女を置いて失せろ、無駄な死人は出したくねぇ」
まるで聞く耳持たないといった感じだ、既にナイフを構えてイザヴァルに向かって鑑定をしている。
「私の提案を聞かないか?」
「聞かないね、どうせ金をやるから見逃してくれとかだろ。悪いがその手には散々騙されてきたんでね」
「いっただろ?君の人生を変えると。まず条件の一つとして君の鎖をはずしてあげよう」
その言葉にモクリトスはあからさまに驚きの表情を見せる、しかし悲しそうな顔をし、やがてまた無表情に戻る。言葉一つで人の心と言うのはそう簡単には動かないのだ。
「そして二つ目、私と共に冒険するなら衣食住の確保をしてやる」
無表情がまた、苦しそうで悲しそうな顔をする。
「そんな言葉で俺を騙そうとしているのは分かっているんだ。早くその女を渡せ、出ないともう・・・俺は・・・」
「そして三つ目、これが一番お前にとって必要だろう。母親探しを手伝ってやる、母親との生活もおまけしてやろう」
途端にモクリトスの両手から涙とともに短剣が落ちる。
「本当に・・・・俺と母さんを助けてくれるのか・・・・?」
「私が要求するのは君の労働力だけだ、獣人と人とで差別も無い。それにいつまで奴隷でいるつもりだ、君は早く母親を見つけたいのだろ?、モクリトス。私の配下になり私に付き従うか?」
溢れる涙は、濁った瞳を潤していく。足りなければいくらでもと言わんばかりに拭えど拭えど涙は溢れ、モクリトスの心から辛かったことや悲しみが涙と共に流れていく。
「あ・・・ありがどうございばず・・・・グスッ・・・・よろじく・・・おね・・・ヒック・・・がい・・・じまず・・・」
「うむ、よろしい。これからモクリトス君は私のパーティーメンバーだ。・・・君も男ならもう泣くな。次に泣くのは母親と再会した時で良いだろう」
「・・・グスッ・・・ヒック・・・ヒック・・・・はい」
こうしてモクリトスとの交渉は成立したのであった。
(こんな所で思わぬ収穫だ、これでようやく二人分の生活費を一人で稼がなくて済む・・・)
「さて・・・悪いが私は君たちのおかげで少し眠たい、少し眠らせてもらうよ」
モクリトスの首輪を破壊すると、イザヴァルは自分のベットへと寝転がる。
「モクリトス君に初めての仕事を与える、お昼になったら私を起こしてくれ。アルーナは・・・まあモクリトスと話でもしてみたらどうだ・・・では私はしばし睡眠をとる・・・・zzz」
「えぇーもう寝てしまいましたの!?モクリトスさんが本当に安全なのかまだ分からないじゃないですの!!」
「俺も看病を仇で返す程獣人の誇りを捨てた訳じゃない、殺そうとした相手に言われるのもどうかと思うかも知れないがこれからよろしくな、アルーナ」
「あら、さっきまで泣いていた子とは思えませんわね」
「さっきのは・・・・違う。少し感情が高ぶっただけだ」
「・・・まあ、良いですわ。良い事?ここでハッキリしておかなければいけないのは、先にパーティーに入ったのはこの私、アルーナということですのお分かり?先輩として・・・」
「不味いを通り越した未知の物体を作る奴が良く言う」
「なんですってー!?」
ニヤリと笑うモクリトス、それにつられてアルーナも微笑む。こうしてイザヴァルのパーティーにまた個性的な仲間が一人増えたのだった。
取りあえずこうして現在アスクの滞在している国の騎士団総長のモクリトスとイザヴァルの出会いでした。
本編よりも力が入っているような気がするのは気のせいですよ?




