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独学の毒薬で異世界無双  作者: ほふるんるん
獣人国編 
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魔族地域 獣人国編(猫)その10 女王

新年あけましておめでとうございます。年末は大掃除が本当に忙しかった・・・

「さて、アスクレオスとかいったな」


「ああ、貴方は伯父の旅仲間だったとかいう獣人だな」


城の中を歩きながら会話が進む、伯父の旅仲間だから頭のどこかおかしい奴だろうと、思っていたがそうではないらしい。どうやら彼の話によると自分は旅仲間の中で最も常識的でまともな判断の出来たやつだったらしい。


「旅の仲間でも一番ヤバかったのはアイツだ。イザヴァルの隣にいつもいたアルーナだ、アイツの料理は何を作らせても未知の一言だったからな」


「未知?」


「初めてアイツの未知を食ったのはイザヴァルに拾われた時だったな。空腹で倒れていた俺にアルーナが未知を提供してくれた。食う前は彼女が女神にみえた、だけどな!アイツの未知を口の中に入れてしまってから俺の何もかもが変わった。今まで食ってきたマズイ飯の記憶は全て幸せの記憶だったのだと気づかされ、今食べているのは絶望そのものだと俺はその時本能で理解できた」


「伯父も同じものを?」


「イザヴァルか?、アイツはアルーナの知らない所で涙を流しながら吐いていたことは覚えてるが」


マズイ飯を食べ続けた二人に敬礼。


そしてそんな料理で殺される心配の無い今の自分の身の回りに感謝を。


「それからは・・・まあ、俺が料理当番を変わったり料理人が加わったりしてどうにかなったが、あの頃は絶望の季節と言っても過言じゃないな」


「伯父も貴方も料理で苦労したみたいだな」


「それが料理に限った事じゃ無いのがあの女の怖い所なんだな・・・・・・・・・・・もうそろそろ王の待つ客間に着くぞ、着いたら扉の前で待っていてくれ」


そのアルーナという女性の話をしている時だけ彼の顔には陰りがあった。どうやらかなりヤバい人物らしい、そのアルーナとかいう女性。しかし今は会うような事も無いし心配はいらないだろうけど。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「王よ、イザヴァルの甥が来たぞ」


「そうか来たか!よしよし、とうせとうせ」


「王よ、もう少し威厳のある話方で応対してくださいね」


「分かってるってモクリトス君、ドーンと私に任せなさい」


部屋の会話が丸聞こえなんだが果たして大丈夫なのだろうか、王様はどうやら王様では無く女王様らしいし、猫の獣人も名前バレしてるし。しかし俺も相手の名前を知らないから貴方やら何やらで苦労させられた、今考えればそんなたいした情報じゃないのかも知れないな、早めに聞いておけば良かった。


「よしじゃあアスクレオス・ワイズバッシュ君たち、入れ」


俺を先頭に一人ずつ客間に入ると、模様の綺麗な皿や独特の良さを思わせる絵が壁に貼ってあり、その部屋の中央にある大きな丸椅子にはチョコンと、先ほどまで扉の向こうで話していたであろう、女王様が一人、笑顔で椅子に座っている。


扉の直ぐ近くにモクリトスが立ち、そのほかにも兵士が部屋の窓側に二人使用人が女王の傍に二人と、かなり警戒が薄い。いざと言うときを考えて無いようにも思えるが、それは女王の余裕というモノに繋がっているのだろう。


「では初めに、今回話合う場を設けていただきありがとうございます」


「いいのいいのさあさあ、こっちの椅子に皆座って、こっちはいざとなれば君たちに征服されてもさほど抵抗出来ない弱小種族なんだから気楽にしてもらっていいんだよ?」


旅仲間とはいえ冒険王と共に旅をした仲間がいる国だ。戦争相手になったとしても相当な相手になる事は間違いない、それに何より国と国との会話で油断をすると痛い目を見る事は前世での教訓だ・・・慎重に一言一言を聞き逃さず相手の内心を理解する。


「はぁ・・・あ、いやそんな事はないです。この国は今大きな発展の途中にいると私は思いました。後々この国は大きく発展するでしょう」


「へぇ~そう思うんだ、それはどうして?」


この人は俺に何を期待しているんだろうか、どうしてそんなにウキウキしたような表情で聞いてくる・・・


「この国には発展をするはじめの基盤づくりが既に出来ていると感じたからです。これから数十年、いや、数年で変化が訪れると予測します」


ありのままを言葉にして話す。それしか頭に浮かばなかった事もあるが、何より早くこの話を切って本題に入りたい。


「へぇ~君面白いね」


「そうでしょうか?、それよりも今回はお話しがあってまいりました」


「分かってるよ、今回はその事について来てくれたんだもんね。一方の種族を一割近く殺害した今までにみた事の無い未知の魔法」


どうやら周辺諸国では俺の毒の事は魔法でどうにかしたと思われているらしく、魔力反応を示さない高度な魔法と言うのが今の所、魔族地域一体の獣人による答えのようだ。科学を知らないと科学も魔法に見えてしまう恐ろしい事実だ。


「実はここだけの話、実はあれ魔法じゃないんです」


「そうなんだ~、じゃあ禁書とかにも手を出したりとかもしてないんだ?」


ん?、意外と驚かないな。もっとこう・・・結構ビックリするのを予想していたんだが。


「はい、まだこの世界では未知の存在のものです」


「欲しい」


「え?」


何を言っているのかよく理解出来ない俺は次の女王の言葉をまつ。


「それってどうやったら得られる?ねぇ、教えて教えて」


「それは残念ながら私一人が決めて良い事ではないのでお教えできません、しかし現物を持ってきているので見せる事ならできますが」


女王の好奇心旺盛なその志に胸を打たれ、ついうっかり亜空間からこの前の戦争でも使ったものと同じものを取り出して見せてしまう。


「これはなんなの?」


「毒です、よくあるでしょ?暗殺とかに使われるアレです」


「ひぇ~怖い、その小さな小瓶がどうしてあんな大量に人が死ぬような事に繋がるの?」


脅しのつもりで出したつもりがさほど驚いてない様子、はっきり言ってもっと怖がられるかと思ったのに、笑顔がへばりついているのか全く怖がる表情をしない。


はっきり言って目の前に大量殺人を犯した毒を目の前にして、平気でこわ~いとか言ってる奴の方が俺は恐い。


「この蓋を開けたり小瓶を割ったりすればこの部屋の人間は私と私の仲間以外死にます。私の毒というモノはそういうモノです」


「毒耐性があってもそれって効くのかな?」


「肉片の飛び散り具合の加減なら耐性で可能ですが、死そのものを回避したい場合は状態異常無効レベルの珍しいスキルが無いと厳しいかと」


「それは困ったなぁ~」


初めから困っているからここに俺達を呼んだんじゃないんだろうか。それと、女王の言葉から『毒耐性なら大丈夫なのに』って聞こえたのは俺の気のせいだと思いたい。


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