魔族地域 獣人国編(猫)その7 次の仕事の内容
「それで?アスクさんはメロエちゃんをわざわざふる為だけに、メロエちゃんの家に行ってきたんですね?」
「ん・・・まぁそうなるな・・・」
竜海のやつめ、わかりきった事を・・・。それにしても竜海のやつも冗談半分のような所もあり、何やら、やれやれといった感じの顔だ。
「竜王に頼まれて俺の事を魔法で時々見ていたらしいが、その時にでも知ったのか?」
「・・・ティアさんにも同じ顔をされると思いますよ?見ていて大変気分が悪い。正直言って誰だって分かりますよ、可愛い女の子にあんなに熱い視線を送られているのにも関わらず微動だにもしない男なんて、ホントにあんた男かよ!」
「熱い視線・・・そんな分かりやすいようなものなら俺は大体・・」
「ほら、今も」
バッ、っと振り返ると顔をサッと背けるメロエ。若干頬が赤くなっているのが誰の眼からも良くわかる。
「あの、メロエさん」
「メロエさんなんて止めて!アスクには呼び捨てのままで呼んで欲しいの」
「メロエさん、俺達三人これから次の仕事があるんで王城の方へとワープするんですが、・・・ついて来られますか?」
「お願い!何でもするから」
「ん?今なんでもするって言いましたか、メロエちゃん」
「竜海は黙ってろ。メロエ、次俺にそういう分かりやすい周囲へのアピールしてたらメロエの事は、次からさんづけで呼ぶからな?」
「分かったわ、人がいる所ではしない」
「それにしても良かったのぉ、メロエ、愛しのアスク様とやらに思いを告げる事が出来て」
いつの間にか竜海の隣に立ち、大きなあくびをしながら目をこすっている竜王。俺達の眼を欺いたその力については置いておいて・・・メロエの中での俺はどうやら昇華されているもよう。いや、むしろそういう扱いが貴族の最上位における人間への普通の対応なのかも知れないが。いや、しかし気持ち悪い。
「竜王ちゃんも油断してたら危ないわよ?」
「アスクが欲しいなら妾が灰にして渡してやる」
「ちょ竜王さん?、ちょっとは俺に妬いてもいいんだぞ」
「黙れアスク、お前を焼く事はあっても妬くことは無い」
「見事な三角関係じゃないですかやだー」
『黙れ竜海』
「皆して酷いですね!?切りの良い所で早くお城に向かわないとカインさんを待たせる事になりますよ」
あの王様なら笑って許してくれるだろうが、流石に王の勅令に遅れるのは一貴族として問題だな・・・
「そろそろじゃあ行くか、王の所へ。皆荷物は持ったな?」
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~王の城、謁見の間~
「今回は予定通りじゃないか、関心関心。さて、今回の仕事だけど、犬の国の件でさ、君たち力を見せすぎちゃったよね。特に一瞬で大量の獣人が肉片に変えたなんて、はたまたそれが自分の国の住人なんて胸が躍ったよ、要するにさ、はっきり言ってやり過ぎちゃったわけよ。一応戦争にも限度ってものが暗黙の了解であるわけだよ。それをぶち壊しての大量虐殺ともいえる惨いおこない。僕はちっとも悪くないと思うんだけど周りの・・特に獣人族の国の同盟国とかはとっても警戒してうるさいんだ」
「それで要するに?」
「彼らを黙らせる為にちょっと行ってきてもらいたい。と言っても実力行使は止めてね、本末転倒だから」
「それで僕達はどこの国に行けば?」
「本当は周辺諸国全部回って、危険はないですよ~って言いに行って欲しいんだけど、絶対に入れてくれないしね」
そりゃそうだな、見えない何かに犬の獣人が大量殺戮されてるんだ、他の獣人もそんな危険物入れたくはないのが当たり前だ。いや、待てよ?
「入れる国があるんですか?」
「そう!実はそういう国があったりするんですよ、驚きでしょ?アスク君」
「は、はぁ」
この人は本当に馬鹿なのかこういう性格なのか全く理解が出来ない。
「実はね、僕の尊敬する大先生こと、君の伯父のイザヴァルさん。彼の昔の旅仲間に猫の獣人の人がいてね、今は騎士団総長って役職で母国を守ってるらしいんだけど彼がいる国だけ大丈夫ですよって手紙が届いてね。きっと君にも興味があるんだろう」
「それで僕達が行く事になったんですか、それと次に行くのはやはり」
「そう、猫の国。犬の国よりも個人的に行動する奴が多い所でね、ある程度国としては成り立ってるんだけど結構皆自由な感じだね。だけど他の国よりも少し発展している感じはするね、イザヴァルさんが関わってるだけあって僕達の国と同じくらいの文明はあるから、貴族の家とかには既にぼっとん便所ぐらいはあるよ」
ボソッ「・・・水洗便所はまだ無いか」
「君は確かアスクに竜海と言われていた子だね?見た目は立派だけど中身は青年の様だね」
「あはは申し訳ない、人間種の王よ。僕は・・・我は一応龍神と言われているが分け合って心は少年なのだ。しゃべり方は普段楽な方でしゃべっているんです」
竜海は多分きづかれてないと思っているのだろうけど、多分今ので何となく王様にも分かってしまっただろうな。
「そうだったんだ、龍神も大変だねぇ~。ちょーっとだけ驚いちゃったけど、そんなビックな君の質問に答えさせてもらうと、実はこの国はまだその下水の設備まで完璧じゃないんだ」
「というとその考えはもう既にあると?」
「異世界とこっちを行き来するサタンさんがいるからね、土産話も国家プロジェクトに発展しかねないような情報だらけさ、下水の話もかなり前に聞いたけど今の僕の国ではそういうのはまだ早い段階だからね、今最も対策しなければならない事はもっと他にあったりするから。後々そういう衛生面の管理ももっと充実出来たらいいなとは思ってるよ、王様としてもっとこの国を繁栄させたいからね」
「そうなんですか」
「コホン、では最後に。向かうは猫の国、目的は舐められないように自分達が敵対しない限り無害だとアピールしてくる事、それと自分達の情報を余り出し過ぎちゃだめだよ?」
「はい。では僕達はこれで」
「いってらっしゃーい」




