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独学の毒薬で異世界無双  作者: ほふるんるん
主人公幼少期編
12/185

ネル先生大変身と魔法

次の日、俺は朝の勉強と訓練を終え、ヘトヘトになりながらもネルのいる部屋にむかった。


「・・・先生いらっしゃいますか」


そういいながらドアを開ける。するとそこには前に見た幼女と同じ格好をした20代後半くらいの女性がこちらを見て座っていた。


「先生ですか?」

(何となく雰囲気で伝わってくる、多分彼女が幼女だ)


「ほう、こちらの姿でもわっちのことは分かるか」


「やはり先生でしたか」


スッキリとした顔だちで、真面目そうな女性。これが本来の姿と言われても不思議じゃあない。


「もっとも、こちらの姿は制限時間付きだがな」


「なぜそんな不便な事になっているんです?」


「わっちが若かりし頃に作った薬をお茶と間違いて飲んでしまったのが原因だ。まあ、若気の至りというやつだ」


「マヌケですね」


そう言うと、『よくも言ったな』というような目で見られ、機嫌が直ぐに悪くなる。


「あーもーわっち今日は眠くなってきたかも~」


「もっと話を聞かせて下さい、それでその薬はどんな薬だったんですか?」


メイドに頼んでクッキーとお茶を用意してもらい、ソレを食べて貰い機嫌を直してもらう。


「不老の薬だったのは憶えている・・・それと薬の副作用で幼児化してしまうのだ」


なんて都合の良い副作用だろう、その副作用を目的に薬作りを目指している人間もいるだろうに。


「では今の姿はどうしたんですか?」


「よくぞ聞いてくれた!、これは材料のせいで余り効果時間が長くないが一時的に年齢を20歳、歳をとることのできる薬なのだ。子供の味方としてあり続けるために作ったものなのだよ」


夢のような薬を、とても簡単に作ったように言う人だな。この世界の薬学は思った以上に進んでいるのか?


「そういえば先生はおいくつか聞いてもいいですか」


「わっちの歳か、今はまあ・・・26歳ぐらいになっているだろう。それとももっと前のことか?確か100歳はこえていた気がするが・・・はてはて、どうだったかな」


体の全てのパーツが全て変わってしまえばそれは元の人間ではなくなってしまうのではないかという話があるが、この人は自分の体で似たようなことをしたということだろうか?面白い人だ。


「坊や、悪い顔になっておるぞ。あわよくば薬を飲んでみたいとでも思っていたのだろう」


「そんなわけないじゃないですか先生、ところで今日はなにを教えてくれるんですか?」


「そうだな・・・今日は簡単な魔法を教えてやろう」


「魔法・・・ですか」


信仰とか欠片もない人間でも魔法が使えるのだろうか。


「まず助手よ、魔法とは何だと思う」


魔法といえば奇跡を起こす摩訶不思議なモノのイメージだ。物語を読んだ中では雷でドラゴンを倒したり、山を削ったりと面白いものだということはある程度理解出来ていた。


「空を飛んだりマグマに浸かったりする事ができるようにするとか?」


「そんなことできるのはクレウスやわっちなどの一部のモノだけだ、まあ例えば火を出したり水を出したりと言った感じだ」


マッチはこの世界にもあるのにどうして態々火なんか魔法で出すんだ・・・奇跡ってのはそんなに軽い感じで良いのか?


「へぇ・・・」


「基本はイメージだ、イメージして魔力を魔法の出したいところに集中させればいい。魔道書にはもう少し分かりやすく書かれておるが、坊やはそれだけで魔法がどのようなものか理解したんだ」


「つまりイメージ次第でどんなことでもできるのが魔法なんですね」


「極論そうなる、しかし魔力を集める集中力や想像力は賢さにある程度比例する。だからMPが高いからといって強い魔法がうてるとは限らん。火について詳しく知る者は知らぬものよりも熱い炎を出す事が出来るのは当たり前のだが、水について詳しく知る者は水から氷を作る事が出来る」


「なるほど、賢さあってのMPということですか」


「そういうことだ」


「先生はどのくらい大人の女性になっていられるのですか?」


「まぁ、大体朝に飲んだらお昼には薬の効果が切れるな」


「使用回数に制限があったりするんですか」


「わっちはそんなめんどくさい制限はつけん、つけるのは自分を自制できん奴ぐらいだ、時間が切れる前にとっとと魔法を見せるぞ」


薬の制限は主に服用主の安全面や投与のし過ぎでも効果が変わらないためのはずだが。そういうのは一切この魔法という摩訶不思議な物の前では関係ないらしい、便利な世界だ。


「使用回数に制限がないならずっと大人の状態を維持できるのでは?」


「この体は魔力を使うのには長けているが動きにくくてならん、しかもわっちは幼女に好きでなっているのだ。幼女マスターと言っても過言ではあるまい」


「な、謎の説得力がありますね」


「何か言ったかの?」


「い、いえ。尊敬します」


「ヒヒ、ヨロし」


それから俺は色々な魔法を見せてもらった。

空を飛ぶ魔法、雨を降らす魔法、時空を切り開いて亜空間を作る魔法、物を浮かせる魔法。


現代科学を知っている俺からすれば魔法ってなんて便利なんだろうの一言である。なにせ賢さと魔法にみあった魔力さえあればどんな創造も実現するのだから、俺はネルを見ながら見様見真似で、できた魔法に興奮していた。魔法さえあれば俺は限界を感じる事がないような気がしてきた。


深く深くのめりこめばのめりこむほど魔法と言う世界は膨大に広がっている事を理解させられる。だがそれが楽しい。永遠ともいえる研究の果てに何が見えるのかを確かめたい。


俺は毒薬づくり以外のに見つけた新しい趣味である、攻撃には魔法は殆ど使わないが、どこまで限界があるのかを試すだけの研究は、趣味に持ってこいであり、最高の暇つぶしになる。


そんな大きな暇つぶしを見つけた俺のもとにスタスタと歩いてくるネルは、


「今日の授業はここまで、明日からは薬学についてやっていく。忘れずに来るのだぞ~~~」


と、本題に入る前に薬の効果がきれて幼女の姿に戻ってしまった。


「早く・・・帰って?・・・私は・・・寝る」


また先延ばしか・・・焦らされるのは嫌いじゃないが、早くこの世界の毒に触れたい。それで早く実験がしたい。実験動物は何でも良いんだ。反応を・・・知識でのみ語られる、震え、痙攣し、悶絶する実験体の姿が早く見たい。


「明日は必ず・・・お願いします」


ふらふらと作業場から自室に帰っていくネルの後ろ姿を見ながら、内に秘める衝動を抑える。盛りのついた獣じゃあないんだ。後一日だ、明日無理なら自分で作ろう。材料なんてメイドの眼を盗んで森に入れば幾らでも見つける事が出来る。森には入ったことはこの世界に来てまだ一度もないが、そういう経験は早い内にした方が良いはずだ。そうだ、絶対に明日いこう。


(それまではそうだな・・・魔法の開発でもするかな)


それしか自分の欲求を抑えられるものがない。剣は色んな形で剣を振るだけ、楽器に関しては演奏するよりも聞いている方が好きだ。音楽を聴いてちょっと弾いてみたくなるぐらいで、そこまでの関心もない。

趣味のない今の状況じゃあ、これぐらいしかやることもない。


「ああ、つまらない人生だ。by四歳児」


「ジャバがアスクに会いたいっていってるが、アスク今暇か?」


今の聞かれていないだろうか?滅茶苦茶恥ずかしいことを言っていたんだが。


「はい、ちょうど暇を持て余していたところです」


おぉ、多分聞かれてないぞ。良かった。


「よし、じゃあ父さんについてこい」

(なに悟ったような事を言ってるんだこの四歳児め。可愛い奴だ)




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