魔族地域 獣人国編(猫)その5 メロエとの会話その2
「それからこれまでずっと長い間私は何をするべきか悩んだの。何をしたらアスクは喜ぶのかどうしたらアスクが私を見てくれるのか・・・そんな時ティアにであったの」
(ティア?何で今アイツの名前が出てくるんだ?)
「ティアはずっとアスクの隣で戦っていたでしょ?塔に上った時もそう、エルフの秘境に行った時でさえ二人は行動を共にしていた。私はティアが羨ましかった、小さい頃からアスクの友達は私一人だけだった、でも学校でアスクはティアに出会った。同じクラスだから当たり前よね」
「学校に行ったんだから気が合う奴ぐらい出来るだろ、それにそれはメロエだって同じだろ?」
「そんな同じなんて軽々しく言わないで!!!確かに私のSSSクラスにはZクラスよりも多くの子供がいるわ、でもそんな私の友達はね、貴方がより珍しい人だって事を実感させるだけのものだった」
「いつからメロエ、お前は人を見下せるほど偉くなったんだ。お前の友達は仲間であり、ダンジョンや塔の中で背中を合わせられるほど強い味方なんだろ?」
「私の仲間は確かに強くなってくれた、私がアスクに追いつこうと同じように皆も・・・」
メロエのやついつの間にそんな良い人格者の友達を持っていたんだ?何ならその器の大きさをティアや竜海に分けてやって欲しい。俺らはあくまで個であって合わせようと思えば合わして攻撃できるが、いつも連携して戦うほどの相手と戦わないし、そんなギリギリの戦いをまず仲間で連携して立ち向かおうという気持ちもサラサラ無い。大体相手が団体なら切り離して個人で叩き潰すのがティアとの間ではそれが主流となっているし、俺が強くなったから自分も同じようにって感じはティアには無いだろし。
「でもね、どれだけレベルを上げてSSSクラスの中でトップチームと言われてもステータスだけでは測る事の出来ないものが何かあると思うの、それがZクラスの人達にはある。特にアスクとティアとそれからジーナ」
そうやって大人びた考え方が出来るのもステータスのおかげだという事に気付いているのだろうか。いや、気付いていないのだろう。ステータスには何かしらと書かれていない情報が多すぎる、体力には急所を突かれると普通に誰でも死んだりして、骨や細胞の合計生命力という事・・・つまり魂だけの攻撃や脳が死んだりすればステータスを見てでは分からない。魂のステータスや頭の中を見る事は今の所出来ないからだ。後者は誰かがこの世界でもやっていてもおかしくは無いと思うが。
賢さにもそれはあてはまる、この賢さというのは単に知能指数の問題では無く、記憶力、空間認識能力などの総合値を出すもので、これに気付いたのは俺がまだサマエルの剣を手にした時に近いほんの数年前の事だ。この世界の子供でもステータスさえあれば大人びた考え方が可能になり、逆に賢さの低い大人はその程度という事が逆に分かってしまう。ステータスを見られるという事は大抵の事がさらけ出されてしまう、言わば自分の体の個人情報だ、当然隠したり偽物を見せたりなど色々バレない方法はある。そうやってこの世界では少しづつ人間としての格差が生まれ始めている、あちらの世界では無かった経済の格差では無く、もっと身近な身体的能力の格差がだ。
「それだけ気付く事が出来たならそれで充分だと俺は思うぞ、そっから先に行くには少し知識がまだ足りないだけだ。それよりもジーナとも友達だったのか」
「えぇ、ナンバー2よ」
「・・・そうか、ナンバー2か。所でそれは俗にいうスクールカースト的なアレが出来て居たりするのか?」
「スクールカースト?良く分からないけれどこれは会員ナンバーよ、サタン様から教えて貰ったクラブというモノを作ってみたの、ジーナはそれのナンバー2」
(部活か、小学生で部活って・・・もう五~六年ぐらいたってからで良いだろ、しかしメロエやジーナが入るとなると女性部員の方が多いのか?)
「それって女子の方がクラブに入っている人数は多いのか?」
「えぇ、殆どの・・・SSSクラスの女子の四人に一人は会員だしSSやSのクラスの女子もはいっているわ。初めは少しだけだったんだけどアスクに近づこうとする女の子を片っ端からクラブに入れてたらいつの間にか・・・ね」
その時俺の脳裏に疑問がよぎった、俺に近づこうとした女子を片っ端からそのクラブに入れるというにはつまりなんだ・・・勇士を募っていざとなれば俺を抹殺せんとする、乙女の軍隊を作りあげようとしているのかコイツは・・・駄目だ、早くこいつらを止めなければ。
「俺ってそんなに近づかれるの?〈校内決闘を申し込む為に女子が近づいてきていると勘違い中〉」
「えぇ、危機管理が出来ていない証拠よ。陰ながらアスクを助けるつもりだったけどもうこの際全て話してしまうわ。〈アスクが自分が本当はモテているという事に気付いていると勘違い中〉」
「そうか・・・その、なんというか・・・何とかそいつら出来ないか?俺は全員を相手にする分けにも行かないし、俺は手加減は出来ないぞ〈校内決闘であっても昔の教訓で油断しない事をアピールする馬鹿〉」
「そんなの私だって望んでないわ、でも皆アスクの事狙ってるしお互いをけん制している状態にも関わらず誰かがアスクに近づこうというモノなら・・・竜王ちゃんとかね〈恋のライバルはお互いをけん制していて抜け駆けした竜王を誰も許さないという事をアスクに伝えようとしている〉」
「それで竜王と話をして分かってもらえずか・・・しかしこの部屋の理由にはならないだろ」
「何で?私はクラブ会員ナンバー1、総轄であり、リーダーよ?貴方の事を一番思っているに決まっているじゃない」
「練習用なのか〈自分を倒すイメージトレーニングの為に作られた等身大自分人形だと思っている〉」
「練習用よ、〈未来予想図をこの人形を使って練習している〉」
「俺はてっきりお前が俺の事が好きでこうなったのかと・・・」
「えぇ、そうよ」
「ん?」
「え?」
俺たちはどうやら勘違いをしていたらしい・・・
感想
結構重要な事を書いたつもりです。それと途中いい感じだったと思うのですが、終盤なぜかギャグになったような気がしないでもないです。
・・・・それと今度時間が長くとれた時にでもこれの大幅な修正&矛盾改善そのた諸々をしたいと考えています。




