番外編 伝説の冒険 第壱話
イザヴァルさんの方の話です
「すぅーーーーはーーーー」
甚平が似合う男イザヴァルは慣れない家付近から離れた森の中を一人、息を吸う意味について考えながら歩いていた。
(邸の中で吸う感じと外の今現在森で吸っているこの感じ、何か違うモノが干渉しているからか?それとも心の問題か、いやここは無駄に考えを広く持たず干渉しているという過程で考えてみるか・・・)
この今だ人類が考えた事の無いような事を考えだし空気の存在に気づき始めたイザヴァルは森の道の途中で興味深いものを発見する。
(あれは・・・盗賊達が身なりの良い少女が囲まれているな、その少女の護衛だったであろう豪華な鎧を身に着けている人間もやられている。これからの展開は想定出来なくも無いが・・・・少し観察してみるか)
「貴方達・・・・私が侯爵家の長女アルーナ・ジャガーノートと知っての事ですの?」
(自ら身分の高い者だと言うとは・・・よっぽど怖いもの知らずなお嬢様だな、さあ盗賊達はどう言い返す)
「へへへ、分かって襲っていたらどうなるだあ?」
(お嬢さんはどうする、もともとの顔の形は良かったであろう護衛達は既に顔面が陥没して眠っているぞ)
「そこに隠れている奴、出てきなさい。私が襲われているのです、助けなさい」
イザヴァルはこの時見事に気付かない、自分の好奇心が自分の体を動かし隠れていた木から半分以上体がはみ出しているというのに。
(さあ、一体どんな勇気ある奴が出てくるんだ?出て来て少女を助ける事が出来るのならばきっと後々見返りがあってもいいはず、しかも相手は侯爵と言うじゃないか。さあ早く助けてやれその隠れている奴)
王女の声には勿論その隠れた奴というのは返事をすることは無く辺りに静寂が漂う、そして盗賊達は一人、また一人を声を出しながら隠れている奴の事を笑った。
「アイツ自分がばれていないとでも思ってんのか?だぁあーっはっはっは」
「腰が抜けて全く動けないのかもしれませんぜお頭、ひゃーはっはっはっは」
「呼ばれてんのが自分だってことに気付いてねえかも知れねえぞ腰抜け君は、うひゃひゃひゃひゃひゃ」
(なぜ早く出ないんだ隠れているであろう奴、もしかして少女や少年なのか。そうならば流石に戦えと言われても出ていかないのは分かる。しかし腰抜け君といっている限り見た目的にはまあまあ戦えてもおかしくは無いような奴なのだろう)
じれったくなったアルーナはイザヴァルが隠れているつもりの木の後ろへと近寄り大声で、
「はやく私を助けなさい!!!」
と、言うとようやくイザヴァルも気付き驚く。
「いつから私が木に隠れていると分かった?」
「あっちから歩いて来て途中で私達に気付いて貴方隠れたじゃないの」
「そうかその時からか、つまり私は気付かれていないと思いひたすらお嬢さんの呼びかけに無視をかましていたのか」
「そのことは許してあげるから貴方早く私が逃げる時間を作りなさい、良いわね?」
「何故お嬢さんは逃げないと行けない?どこか目的地は無かったのか」
「それどころじゃないでしょ!?この状況見て分からない?護衛達もやられて盗賊達はピンピンしてる
、私はこんな所で死ぬような人じゃないの、分かるでしょ」
イザヴァルは少し考えた後、一つアルーナへ提案をする。
「この盗賊達は別にどうしてもよく、お嬢さんは逃げたいと。それでいいだな?」
「せいぜい私が逃げ切る前に死なないでよね」
「お嬢様よお、俺達がそんな話聞いてお嬢様を逃がすと思うのか?」
「私足には自信がありますの。追いかけられるのは慣れていますので」
アルーナが走りだすと盗賊達もそれに合わせるかのようにアルーナを追いかけるように走りだそうとする、しかし、彼らの足はもう既にイザヴァルの魔法によって動かなくなっていた。
「な、なんだ!!??足が動かねえ」
「お頭、あの男が何かしたようです!」
(一MP消費魔法大成功だな、魔法は今の状況では起こす事は難しい事を魔力を使って起こす人や亜人の使える奇跡、何故このようなものがあるかは知らないが、ようするにこれは簡単な事になら全くと言っていいほど少ないMPで魔法を使用する事が出来るという事へと繋がる)
「元から少し湿っていた程度の土が急にぬかるんで固まりやがった・・・お前魔法使いか」
(少し土の中にある水を大雑把に集中させて分散させただけだが思った以上に驚かせることが出来たみたいだな)
「私は少しばかり魔法が使える流浪の剣士なだけだ、お前達そういえばどうしてアルーナとかいうお嬢さんを追っかけ回してたんだ?」
「そのお嬢様の父親に頼まれてね、護衛は顔の良いボンボンにしておくから娘を殺せとさ。あのお嬢ちゃんはどうせ帰ったとしても辛い思いをするだけだろうぜ。せっかくだから俺の女にでもと思ってたんだがよぉ・・・兄ちゃんよ、追いかけてやんな。後少ししたら俺達もこの土から足が抜けそうでな、早くいかねぇとお嬢ちゃんは俺達が貰っちまうぜぇ?」
「・・・お前たちは悪人か善人か分かりずらい奴らだな、丁度私の行く次の目的地もアルーナが逃げた方向だ。次いでに旅のお供がつくのも悪くはないだろう」
こうしてイザヴァルはアルーナを追い、森の中の痕跡を探しながら彼女を見つけるのだった・・・
メロエの方の話も進めておきたいなぁ・・・・




