魔族地域 獣人国編(犬) その3 世界で70番目に強いやつ
~魔族地域 獣人国上空~
「ぜぇぜぇ・・・何とか・・・ついたか」
「しぶとい奴め」
上空まで何度か振り落とされそうになりながらも何とかへばりつきここまでやっては来たが、戦場の状態は思った以上に凄まじい事になっていた。この世界の戦争というものを初めて見たが、思ったほど前にいた世界とは変わらない様だ。唯違うのは魔法によって体を透明化した兵隊達や空を飛びまわる羽を付けた動物ぐらいだ・・・まあ大分可笑しな事になってはいるが。
もう何人か雲の上にいる俺達に気がついた様だ、雲を突き抜けて魔法やら弓矢が飛んでくる。流石にまだ火薬を使った銃などは戦争には使われていないらしいがそもそも必要無いか。空中を飛び回る敵に銃を持って戦うのならまず威力も弾速も足りないだろうし、何より玉を当てても一撃で仕留めなければ自ら回復手段のあるこの世界では歯がまるで立たないだろうしな。
俺達が加勢する国の現状は少し押されているくらいだろうか、兵士の数も負けているし何より機械の代わりに戦況をひっくり返すような人材が今の所見当たらない。
空の上から戦況をみて頃合いを見て降下しようとは思うものも落ちたら落ちたで魔法の弾幕で蜂の巣だ・・・・・・。
「あ、アレ!アレ見てください!」
すると味方の陣営から一人というか一匹だろうか、獣人が走り出し戦場のど真ん中へと走って行く人影・・・犬影。
「アレだけ良い足を持っているなら冒険者としても結構活躍出来そうな感じですけど、ありゃ主人公でもない限り死にますね」
勿体ないと竜海はため息をつき、別の獣人に目をやっている。
「竜海よアイツは多分生き残るぞ、賭けてやってもよい」
「竜王は何か知ってるのか?」
そういうと竜王は「直感」と答えるだけだったが、確かにこの後思いもしない事が起きた。敵の大軍勢に味方をつけずに一人で全力疾走をしていた獣人が、何らかのスキルによって更に加速し、そしてまたもう一つのスキルで加速するという芸当をやってのけたのだ。
体への負荷が風の抵抗やらで大変な状態になってそうだったが、それでも獣人は二段階の加速をした状態で、敵兵の魔法や剣にあたりながらも大群の中央で唸りを上げ懐から出した瓶を叩き割った。
「あの効果は・・俺の渡した試作薬じゃあないか!ウァハハハハハ!!!大成功だな!!!」
「どうしたんですかアスクさん急に笑い出して、アニメじゃないんですから突然わらいだすなんて不気味以外の何物でもないですよ」
「アスクがおかしいのは今更じゃろ、それよりも竜海よ下を見てみ、馬鹿の作った毒薬が広がって行っておるぞ」
次々と死んでいく兵士を見下ろしながらそろそろ降りる頃合いかと思っていると、毒にかなり苦しそうだが耐えている兵士が一人残っていることに気がついた。状態異常無効というわけでもなさげなその兵士の目は苦悶の表情ながらも空にいる俺達をしっかりと見ていた。
「奴め・・・・妾達に狙いをつけておるのか?気をつけろ、何かしかけて来るぞ」
「なんだ竜王、柄にもなく俺の心配か?」
「なワケなかろう、馬鹿か?・・・・アホだったな。いいか?妾を一度でも!卑怯な手を使ったとしても!勝ったお前が油断して死ぬなど妾は許さぬぞ?」
「何イチャイチャしてるんですかクソのリア充ども、行くならとっとと行きましょうよ?死亡フラグは持ちましたか」
何やら竜海がマジギレしている。いつも塔で天人族の女性とキャッキャウフフしてる野郎になんかいわれてもなぁ~。
「ぎゃあああああ!!!!!!」
「しねええええええええ!!!!」
「うわあああああああああ!!!!」
それよりもさっきの毒薬でかなりの数が減ったが、まだまだ戦い足りないようだ。あちらこちらで小規模の塊になってまた剣やら魔法やらで戦い始めた。
先ほどの突っ込んで行った獣人も生き残った獣人と戦っているようだ。しかし苦戦中のようだ、ここではまるで剣が見えないので下にそろそろ降りるか。
「竜王・・」
「妾に指図するな、アスクの考えておる事程度大体把握しておるわ」
「やるな、乗り心地の方も察してくれるとさらに惚れるんだが」
「いらんわ気持ち悪い・・・行くぞ」
空から一気に地面へと急降下し、地面へと激突する数十メートル手前で人へ変化し、俺はそのまま地面へ落ちる。このときはじめて受け身のすばらしさを知った。両腕で地面をバンと叩くと腕は折れはしたが鎧の力もあってか無事着陸成功、先ほどまで争っていた二人がお互い攻撃を止めこちらを見ているが気にせず回復魔法を使わせてもらおう。
・・・しかしこの戦場どうやら回復力を落とすような魔法結界が貼られているようだ、いつもは完治するはずの時間で片方の腕しか治癒出来ない。二匹はどうやら俺の事を敵だと認識したらしく俺から距離をとって戦闘を続行中だ。
「二匹とも俺を除け者にして酷くないか?」
「あの高さから落ちたのにアレだけで済んだのか・・・化け物め」
「酷い事言うなよ、お前の持っていたあの薬を作ったのはこの俺なんだぞ?そんな俺を化け物ってお前・・・失礼だろ!」
「敵国の援軍か・・・少しキツイな」
この獣人簡単に嘘つきやがる・・・何が少しキツイなだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ステータス
名前:レジーム・コッホ
状態異常:毒(極)
性別:男
職業:弓術士
称号:神の指先 芸達者 冥府の弓術士 世界ランク70位 毒に抵抗する者
隠し称号:那須野与一の生まれ変わり
年齢:40
種族:獣人族 レア種 オルトロス
レベル:580
HP:60000
MP:40000
攻撃力:27000
防御力:50000
素早さ:30000
賢さ:30000
器用:140000
幸運:600
通常スキル
・弓術12・上位鑑定5・看破10・視覚強化10・聴覚強化10・剥ぎ取り10・牙術8・剣術4
エクストラスキル
・
ユニークスキル
・私に見えないものは無い
・一撃必中
・双撃
加護: テュポーンの加護
スキル説明
私に見えないものは無い
:壁を越えて景色を見る事が出来る
一撃必中
:放つ弓矢の威力を五倍にする
双撃
:一定時間腕を四本に増やす
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「こいつが70位って嘘だろ・・・」
彼の設定はだいぶ苦労しました・・・




