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独学の毒薬で異世界無双  作者: ほふるんるん
獣人国編 
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魔族地域 獣人編に入るまで その5 高い薬

後半は獣人族の話となっています。

俺達は三時間ほど四人でお昼寝をした後、二日後に行く仕事の準備を始めていた。


「着替えは・・・・普段から鎧を着ているし問題ないか・・・と言うよりも服なんて最近着てすらいなかったか」


全て鎧が形状変化をし、学校に来ていく服だろうと何だろうと変化する。バスローブだろうが何だろうがコイツは俺の見た物なら恐らく再現してしまうのだろう。なんてつまらないものを作ってくれたんだあの鍛冶師は。


「アスクさん、僕達はこんなゆっくりしていて良いんですかねぇ・・・」


竜海がバツの悪そうな顔で聞いて来る。どうやらスキールニルが目覚めるまでの間に話した獣人の事が気になっているようだ。


「別に早く行く必要もないだろう、俺達はわざわざ行ってやる立場でもあるわけだし」


「えっ、でもそんなに苦戦しているならアスクさんの薬があったとしても・・・」


「竜海よ、アスクの話しをもう一度思い出せ。まだ時間はたっぷりとある」


竜王は昔からこの土地にいるだけあって土地鑑とちかんはある方なのだろう。なら話を聞いて疑問に思い、そして少し考えれば答えも簡単に分かるというものだ。あの獣人にどれだけウチが舐められているかという事もな。


「腹に切り傷を負って一人でここまで僕達に状況を伝えに来た兵士・・・あ、そうか!なんだ、結構余裕だったのかよ・・・・クソッ、心配して損しました」


竜海も気がついたようだ。問題は奴が何故来たかではなくどうやって来たかだ。別の大陸であるミトレス王国の、それも最も出入りに厳しい審査の必要なこの領地にどうやって侵入して来たのか。そしてこの邸にたどり着くまでには町や村を越え、長い道を歩いた先にあるここまでやって来なければならない。


どうしたら腹に怪我をしてやってこれる?考えるだけ無駄というものだ。あの獣人は今この邸に俺達しかいない事を知ってやって来たのだ。父さんや母様のいないうちに援軍を送って貰い、楽をしたいのだ。そんな奴に薬を分けてやっただけありがたいと思って欲しい。



「ま、そういう事だ。だから相手との戦力さを均等にするために薬を分けてやった」


「分けてやったってアンタ・・・・・・無責任だなぁ~」


パリトキシンに似た効果の毒があると思ったら、それが更に異世界テイストのヤバめの物だった事には笑いが滲み出た。あの時からどこかでこの毒の試作品を試してみたいとは思っていたがまさかここにきて使えるとは。


「無責任なのは戦争を初めたやつら全員だぞ、俺は欲しがっているであろうものを作って売ったり宣伝しているだけに過ぎん。・・・・それに毒薬は何も人を殺すだけのモノでもないしな」


「弱みをついて相手を陥らせる事にも使えるしのぉ?なぁ、アスク」


上目づかいで俺の方を見る竜王、いつも通り美しいがその顔に眉間のシワは似合わないなぁー。


「はははは、竜海よく聞け。目の前の情報に騙されるな、今後俺は何度も言うかも知れないが言っておくぞ。この世界では魔法なんてものがあるせいでもっと面倒だが、騙されてからでは遅いのだからな」


「何ですかアスクさん、まるで説教みたいですね。分かってますよ、ちゃんと最後には気づけたんだから良いじゃないですか。それより僕の準備は出来ました、それにしても便利ですねぇ・・・・この亜空間とかいう魔法、ゲームでいうインベントリみたいじゃないですか。この世界にきて一番始めにインベントリ!って叫んでた僕が阿保みたいです」


「ああ、それは間違いない。そんな事よりも・・・竜王、先ほどから何を亜空間に投げ入れているんだ?」


「ここにある薬の類は処分すべきと思ってな。後々妾に使われては困る、いやこの程度効かぬが一応な?」


「おいおい、ソレを造るのにも多少は金と労力がかかるんだ。処分は勘弁してくれ、変わりのモノで代用は出来ないか?」


「貴様の命ならばよかろう」


「全部持っていけ、この泥棒竜」


残念だが仕方あるまい、ここで竜王が機嫌をそこねて飛び去ってしまっては元もこもない。俺は寝起きに背中に爪が突き刺さっていようと、金品を巻き上げられようとも今は我慢するしかないのだ・・・・。



「ちなみにアスクさん、ここにある薬だけでおいくらぐらいに・・・・?」


「王都に一軒家が建つ程度だからとくに問題は無いが・・・・しかしな」


竜海は竜王の手を掴み、顔をブルブルと振ると竜王の行動を止めた。何やら冷や汗のようなものもかいている。


「竜王さん、ソレを処分したら絶対だめです。するぐらいなら僕に下さいお願いします」


「何じゃ?金に困っておるなら妾がいくらか出してやるが・・・」


「いやいや、貴女が今しようとしているのは金貨を溶かしてストレスを発散させているようなものですよ?どこにそんな豪快な遊びをする竜がいるんですか!」


竜海の問いに数秒考え、そして呆れたように竜海に向かって言い放った。


「ここにおる」


「そうじゃありませんよ!貴女今の数秒何を考えていたんだ!?アスクさんも竜王さんに言ってあげて下さいよ!」


「好きな事をしている時の君は一段と輝いているよ・・・」


「そうじゃないでしょう!?」


「黙れ変態、どれだけ頭の中がピンク色ならこのような発想の薬が出来るのじゃ?」


「コッチもコッチで辛辣だなぁ!?と言うか竜王さんはその手を良い加減止めて下さいよ、もう小屋が建ってしまうぐらい溶けちゃいましたよ!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・







~戦地指揮官拠点~


「お帰りスルーギ推尉、ワイズバッシュ家の援軍はどうだ?」


「どうやらクレウスの奴はまだ前の事を根に持っており、長男のアスクレオスとその仲間を戦場へ出すそうです」


「自分の息子をか・・・全く何を考えているのだあの悪魔の男は」


「全く戦力にならないという事は無いと思われます、長男のアスクレオスのステータスは見た目に反し魔法が得意な魔法使いタイプのステータス、レベルは100を超えておりオリジナル職業保持者です。そしてあの男の息子の事ですから何かしらのユニークスキルを持っているかと推測されます」


「そうかご苦労だったスルーギ推尉、敵にバレず鑑定をするそのユニークスキルといい、あの離れた公爵邸までを走破するその脚力、君は優秀な軍人に慣れるぞ」


「お心遣い感謝いたしますアイリッシュ少佐、それと少佐、先ほどから話になっているそのアスクレオスからこれを使うようにと言われましたがどうなされますか」


「これは・・・なんだね」


それからスルーギ推尉は私にアスクレオスから受け取った情報を全て話した。片方の液体は軍人全員が舐めておかなければいけないという事、もう一つの液体は戦場のど真ん中で使う事。こんなものでハッキリ言って大丈夫なのか不安だが劣勢という状況に間違いはなかった。


「戦場のど真ん中という事は多くの相手に対して有効な物なのだろう、その舐める方は何人かに試した後大丈夫な場合直ぐに全員に舐めさせろ、相手に使う薬は分ける事は駄目か?」


「駄目です、どうやら瓶の内側に魔法がかけられているようです。誰に持たせるのがよいでしょうか」


「私から彼にお願いしてみようと思うのだが・・・・どうだろうか」


「彼とは?」


「・・・・獣人族のもっとも優れた魔法剣士といえばサルーキ中佐しかいないだろう、彼が駄目ならこの国にはパラディンしかいない。しかしパラディンは戦争には介入しない存在だ・・・しかし心配する事はない。サルーキ中佐ならば我が隊のエース、必ずや戦果を挙げて帰って来てくれるはずだ」




次回から多分獣人編に入っていくと思います。獣人族で二人出てきましたが、あれは名前でわかる通り犬の獣人です。

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