魔族地域 獣人編に入るまで その3 竜王同行までの話
ムズィーク王国編までの自分の小説を見返してきました・・・書き方などを色々試行錯誤しているつもりですが、とりあえず一つだけ分かった事があります、会話が多いですね非常に。
最近は少しでも会話を少なく状況を伝えられる努力をしているつもりなのですが・・・くどいと言うかなんというか、見ていると疲れるんですよね。
自分の小説だからサラッと読むつもりが主人公の名前間違えていたりするとなおしたり、兎にも角にも時間がかかりました。
前書きではなく何故か少し愚痴になってしまって申し訳が無いです。そろそろ本編を書き始める事にします。
竜王から出される炎の息吹を受け続けて数十秒後、とりあえずじゃれ合いはこの辺で終わるべきだろう。
「ック、つくづく妾の事を愚弄する忌まわしいやつめ。この代償は貴様の命で贖えるものだと思うな」
此処まで反応が良いとなると馬鹿にしてよかったと思う、しかし困ったな。俺以外を巻き添えにするつもりなら早急に手を打たなければ後々めんどくさい事になる。
しかも竜王のしている目は本気と書いてマジと読む冗談の通じていない目だ、このままだとウチの領の上空に竜の群れが放火する為にやってくる日も遠くはないかもしれない。だがそれは避けるべきだ、俺ではなく竜王のために。
俺は親から何してるんだと叱られるだけかも知れないが竜族は違う。うちの領が攻撃されようものなら公爵が職権乱用して貴族や冒険者らを集めて竜族を血祭にあげかねないからだ。
そんな事になれば勿論主犯の竜王も竜族の見せしめとしてクレウスに惨い殺され方をされる事が容易に想像出来る、クレウスは俺達には優しいが他の人間や種族には冷酷で残忍なイメージなのだそうだ。
それを俺が知っているのは、クラスで家の話しになった時俺の話したクレウスのイメージと世間のイメージにギャップがあり話題に偶々なったから。あの時先生が話を聞き、「絶対嘘ですね!」と連呼していたのは記憶に新しい。
「それは流石に許してはくれないだろうか、俺だけをせめてくれ」
「ほう、そうか、困るか。ならば尚更止めるわけにはいかぬなあ。妾は貴様の嫌がる事ならば例え禁忌を犯してでも行動を起こすだろうからな、カーッカッカ!」
「つまりは嫌がらせの為なら何でもすると・・・そういう事ですね竜王さん」
竜海が何か閃いたように俺に向かって光で文字を書き見せた。勿論竜王にもその光の文字は見えているだろうが、残念ながら竜王には理解出来ない。それを読み俺が理解した後に竜海が話を切り出す。
「では竜王さんがアスクさんの傍にずっといるなんて嫌がらせはどうでしょうか」
竜王は竜海の言葉に頭を捻らせている、まず思考させるというトラップには引っかかったようだ。
「何故そういう話になる、この男は叶わぬ夢と知りながらも妾に惚れておるのだぞ?それでは逆に褒美となろう?」
「ハハッ、竜王さん貴女は自分がどのような存在でアスクさんが今どういった気持ちでいるのか全然分かっていませんね」
「妾が奴の思考など分かる分けなかろうが、特に何を考えておるかまるで分からんような奴じゃぞ?」
「まあそこは否定しませんが貴女は竜の王で、最も強い竜の象徴でもあります。そんな貴女に少なからずアスクさんは警戒心を持っている事でしょう。アスクさん、そうですよね」
台本通りにセリフを頭の中から口へと誘導させていく。勿論俺も恐怖心はある、警戒の解けない状態が続くのは疲れが溜まると。
俺の言葉に竜王は少しばかり考えたのだろう、そしてふと顔を上げたかと思うと俺は衝撃を受けた。俺の思っていた以上に邪悪で俺好みの微笑みを見せる彼女に俺は少し興奮を覚える。実験以外でこのような衝動は初めての事であり非常に興味深い。
「それが貴様にとって最悪の結果に繋がるのであれば・・・・・・・ああ、今後貴様の隣には妾がいよう。貴様がどうしようもないほど辛い時、妾はそれに漬け込み絶望と共に貴様を惨殺する事にしよう。まぁ後ろに気をつけることだな」
やったぜ竜海、ようやく竜王を付き添いに入れることが出来た。殺すとか言ってはいるが、そこら辺は竜の誇りも地に落ちたな、とかなんとか言っておけば問題なく事は済むだろう。
彼女は俺の心臓を、俺は彼女の心を狙い、どちらが早く仕留めるかという競争も含めた短期の仕事に体が震える。武者震いなどではない、何故ならばこの勝負俺にとって祭りの射的ゲームで本物の重火器を使用するぐらい俺に分がある。
それに対して竜王はコルク銃で五メートル離れたゲームカセットを一人で狙っているようなモノだ、まず俺の勝ちが揺らぐ事はない。
「なんか竜王さんちょろ過ぎてあんまりやってやった感が出ないんですが、コレは竜王さん簡単に・・・」
「何て事を言いやがる、小声にしたって言って良い事と悪い事がある。今の竜王は恐らく殺意で頭が一杯なはずだ、冷静になれば・・・期待はしない方が良いだろうが知的な一面も見せてくれるはずだ」
「冷静になった時アンタ死んでるけどな」
「それまでに落として見せるさ」
「おぉ~・・・・ま、まあ頑張って下さい」
(この人の自信は一体どこから湧き出て来るんだ)
頑張るも何も通常通り振るまえばそれで・・・・・と思ったが、竜王の前だと言語に機能不全を良く起こす。年齢やら環境やらで俺の精神年齢も低下しているように思えるし、何より怖いのがほんの二十年前までは大学生に戻りたいとか思っていたが、今は早い所大人になりたいと思ってしまっている事だ。
「それにしても事が少し簡単に運び過ぎている気もするんですよね~~~ゲームの難易度でいう所のイージーモードとか激アマとかいうレベルですよ。これじゃあ見てる方がつまりませんから、他にも制約を幾つか決めましょう」
「内容によるな」
「まずアスクさんはその人を小馬鹿にするような態度禁止です、竜王さんはアスクさんに何してもいいですけど周りの眼を気にして下さい」
「善処する」
「心配するでないわ、妾を誰だと思っておる、誇り高き竜族の王じゃぞ?」
何やら竜海が人間の姿で竜のようにゴォォ・・・と大きなため息をついている。そんなに先行きが心配か?今もこうして仲良く竜王は毒の吐息を俺に吹きかけて、俺は自分にその毒の吐息が当たっているように見せる幻影を竜王の瞳に写しているぐらいの中だというのに。
「じゃあ竜海と竜王は二日後俺と一緒に出発してもらうがその間準備やら必要か?」
「僕はアスクさんの家にでも行こうかな~どうせ出るなら一緒だろうし、アスクさんの部屋にも行ってみたいですから、あ、準備とかは特にないですよ。今から冒険者にあげるはずだった財宝とか少し持ち出していくぐらいですから」
「妾は貴様から離れんといったろう?勿論妾も同行しよう、貴様の親の顔がみてみたい」
あれ~どうしたんだ?竜王さんやけに積極的じゃないか。あわよくば家族を殺そうとでも考えているのか、全く可愛い奴である。
うちの家族の中でティルは最強のメイドが複数体配置され厳重に育てられている、俺のようにシンリーとカトレア、それにクレウスの三人が重点的に育てた場合が俺という素晴らしい結果を招いたのだと彼らは深く受け止めているらしい。
つまりティルを殺す事はまぁ、無理だろう。それならまだ国王暗殺の方が楽に違いない。そして親だが・・・・・・・偽装が上手すぎて俺よりも全ステータスが低い。赤子の頃は数字すら見えなかった事を判断材料の一つとすると、レベルアップによって適度なステータスが表示される事になる仕組みだろう。
そうなれば、竜王が襲いかからないとも言えない。殺すどころか、明日の朝食の献立に竜王が加わる事になるのは避けたい。ここは真面目な顔で竜王に注意しておくべきだろう。
「竜王、俺の傍を離れないでくれ」
「何じゃいきなり気持ち悪い、そういう言葉は時と場合を考えて言え」
「確かに今のはイケメンだろうが何だろうが場所わきまえて無さすぎて草生えますよ」
「違う、最後まで聞け。家には俺を遥かに超える化け物が跋扈している、中でも親は別格だ。絶対にステータスが低いからと言って攻撃しない事を誓って欲しい」
「お主の言う化け物が想像出来んが、まあ家の中で死にたくないと言うのなら許してやらんこともない。しかしそこまで大袈裟にいう事はなかろう、妾は全種族の中でも三十位、そして妾を小賢しい手としても一時的に捕らえた貴様の力は全種族の中でも千桁には入る。そんなお主が言う化け物など家にそうゴロゴロといてたまるか」
「いや、アスクさんがもしかするとあっち系の主人公のカテゴリに入っているなら・・・・あり得なくはないですよ」
「ちなみに分かっているだけでも、オヤジは竜王の言う全種族の中でも三位にいる」
「さ・・・・・・・・・・三位・・・・・・・・ほほ、ほほほ、ほほほほほ、冗談が上手いのぉ・・・・そんな真剣な顔で冗談を抜かすな・・・・・」
「コレはアスクさんあっち系主人公のカテゴリに入ってますね、確定ですわ。おー怖い怖い、適当なモブキャラだとボスの一振りとかで余裕で息絶えますわ。今のうちにキャラとして目立たなければ・・・・・作者に殺されるう~」
「おいアスク、竜海の奴がさっきから煩いのだが何を言っているのだ?」
「俺にもよく分からん、恐らく異界の書物の影響だろう。竜海は竜海で苦労が絶えないようだな」
「そっとしておいてやるかべきか?」
「あぁ、そっとしておいてやれ」
話に重要じゃないようなところも構わず入れていって最後に帳尻合わせに苦しむ自分が見える。次回アスクの家に行って何か獣人関係の話を入れていきます。




