折句に挑戦しよう!
皆~! 短歌詠んでる?
……えっ? 詠みましょうよ!
では、今回は折句について学んでいきましょう。
今、三味線のとか言ったのは誰ですか?
ちょっと男子! 真面目に聞いてよ!
分かる人だけ笑ってくれたら良いんです。
この折句とは、一種の暗号みたいなものと考えてください。
有名なのは柿本人麻呂のいろは歌、在原業平の伊勢物語の一節があります。
いろは歌は一見しただけでは分かりませんが、七文字ずつ区切って下の文字を拾うと、
『とかなくてしす』
となり、意味は……。
『咎無くて死す(無実だけど殺された)』
なんだそうです。
こえぇよ!
小1の時の書き方の授業によく使えたな! 文科省めっ!
あくまで都市伝説ですがね。
伊勢物語の一節は東下りの八橋に出てきます。
あのシナモン臭いお菓子ではありません。
八橋という場所に咲いていた杜若の花で一首詠めとの無茶ぶりに、男は応えます。
『からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞおもふ』
意味は、着馴れた韓衣の着物のような妻がいてくれたらと、遥々ここまで旅してきて思うのです。
こんな感じでしょうか。(注、独自解釈)
この歌の頭文字は『かきつはた』で、つまりは『かきつばた』なんですよ。
よっ粋だねぇ! あっつぁん!(←馴れ馴れしい)
こんな風に歌にキーワードを隠すのが折句です。
決して山田五十鈴さんではありません。(気になる方は必殺仕事人をググりましょう)
こんなミステリアスな歌を作りたい貴方は、かなりのミステリマニアか、ひねくれ者です。
私はどちらもです。
短歌は五つの文に分けられる五行詞ですので、隠せるのは精々五文字か十文字でしょうね。
二十は隠したいぜ! なんて仰る無謀な方は、それじゃあもうキーワードじゃないよ? 歌その物だよ? と言わせて頂きます。
まぁそんな方はいませんよね。
作り方はシンプルです。
まず、キーワードを考えます。
それを句の頭か尻に並べて、文を作るだけです。
だけとか言いましたけど難しいんですよ。
意味もなくてはならないですから。
意味がなくてもいいなら簡単ですけどね。
『マスタード
マジカルハット
オーパーツ
ヤンバルクイナ
ツンデレムスメ』
ねっ? 単語並べるだけなら簡単でしょ?
しかし、これは反則なんですよ。
風情も情緒もありませんからね……。
では、一首詠んでみましょう。
べっ……別にアンタのために詠むんじゃないんだからねっ! 勘違いしないでよ! このヘンタイっ!
……早く詠めって?
今、考えてますから!
……ん~。
………んっ!?
……ん~ん。
………んぁ!
はいっ出来ました。
『おぼろげな
無限の未来
螺旋した
行かんや童
棄てずに明日』
意味、おぼろげでグルグル回るような、無限に広がる未来へ、子供が希望を棄てずに明日へ向かって行く様が素敵ですね。
と、苦しいながらも無理やり捻り出してみました。
では、折句は何だったのかを確認してみましょう。
『おぼろげな
むげんのみらい
らせんした
いかんやわらべ
すてずにあした』
と、言うことで折句は『オムライス』でした。
と、思った方は50点。
実はまだあります。
それは尻の文字を逆から辿るんです。
分かりましたか?
そう!
『たべたいな』が隠れていたんです!
なので、折句は『オムライス食べたいな』だったんですよ! そこの名探偵!
とまぁ、かなり上級者向けのテクニックです。
これをマスター出来ればシャイな貴方の気持ちを密かに伝えることも可能になりますよ。
相手が気付いてくれるかは分かりませんが。