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ひなこの優しい短歌教室  作者: ひなこ
2/8

詞であそぼう!


 今回は『掛詞かけことば』について学びましょう。


 掛詞とは二重の意味を持つ詞です。


 有名なので言うと、百人一首の第60首の小式部内侍こしきぶのないしの歌ですね。


 『大江山 いく野のみちの 遠ければ まだふみも見ず 天橋立』


 小式部内侍は歌の天才少女として有名で、その才能は母親譲りでした。


 この才能に嫉妬したモテない男共に「アレ、本当は母ちゃんに書いてもらってんじゃね?」と揶揄された時に即興で詠んだ歌とされています。


 意味は、母がいる所には大江山を越えて、生野を通らなければ行けないほど遠い。

 私は手紙ももらってないし、天橋立(母が住む所にある)すら行ったことがありません。


 大体はこんな感じです。


 掛詞は『ふみも見ず』の部分で、『ふみ』とは『文』即ち手紙、それと『踏み』これは行くと言う二つの意味を含んでいます。


 やるな! 小式部内侍ちゃん!


 母親が和泉式部だから、言われるのは慣れっ子だったのかな。


 ともあれ、掛詞を使うと歌に深みと奥行きが出て、違いの分かる人になれますよ。



 掛詞として最強なのは、詠み人知らずの歌で、


 『月月に 月見る月は 多けれど 月見る月は この月の月』


 何というムーンラッシュでしょうか。


 月月うるせぇよ!


 思わずツッコミたくなる歌ですが、ちゃんと意味があります。


 意味は、毎月毎月、月を見てるけど、月を見るなら今月の月ですね。


 掛詞はもちろん『月』ですが、空の月と一月二月の月が入れ替わり立ち替わり使われています。


 最強なのは、その数なんです。


 月と言えば中秋の名月、十五夜ですよね?


 昔の暦では毎月十五日が満月の日なんですが、その中秋の名月は旧暦の八月。


 歌に使われている月の数も八つ。


 つまり、八月を指しているんです。


 なんと回りくどい!


 これは詞あそびとしても有名な歌なんですよね。


 皆様も詞あそびを楽しんでみては如何でしょうか?


 ユーモアセンスが研かれますよ!



 では、掛詞で一首詠んでみましょう。


 一話にあったようにイメージをしましょう。


 ………ん~。


 ………おっ!


 ………いや、違うな。


 ………はっ!


 はいっ! 出来ました。


 『きりが立ち 前すら見えぬ みちの先 手を取り共に 進む未来へ』



 掛詞が2つ隠れていますが分かりますか?


 ちょっと考えてみてください。


 ………どうですか?


 もう分かりましたでしょうか。


 では、意味から紐解いていきましょう。


 意味、霧が立って前も見えない道の先だけど、手を取り合って未来へ向かって行こう。


 そんな感じです。


 一つ目は。


 もう一つの意味は、前が見えないくらい分からないことだった(未知の先)けど、進む覚悟が出来た(きりが立った)から、手を取り合って未来へ進んで行こう。


 つまり、プロポーズ!


 ……されてぇなぁ。


 おっと、何か聴こえましたか? 空耳ですよ。


 こんな感じで、掛詞には歌の意味を広げる効果があります。


 是非、身に付けてください。


 普段の会話でも粋になりますよ!


 ただし、使い所には注意が必要ですが。

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