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星形ピアス

『恋愛栽培』の若菜とさやかさんの話です。この二人の話は『Avaloncity Stories』本筋とはほとんど無関係なので、このシリーズに入れます。

 もうすぐ、加奈の誕生日だ。涼ちゃんやさやねえと一緒に祝いたいけど、さや姉は仕事の締め切りギリギリなので、難しい。

 涼ちゃんと加奈は幼稚園時代からの幼なじみで親友だけど、さや姉は恋人。そう、あたしたち二人はレズビアンカップルだ。

 親友二人とママにはカミングアウトしている。そもそも、ママ自身がバイセクシュアルだ。ママは未婚の母だった。色々と「規格外」なのは、売れっ子作家の特権だと誰かが言っていたけど、別にママもあたしたちも変な「選民意識」なんて持っていない。


「ゴメン、私、間に合わないから。だから、代わりにこの1万円を軍資金の足しにして」

 さや姉はあたしより6歳上の29歳。期待の新鋭漫画家として、ある程度の人気と実力と知名度がある。彼女は百合漫画をメインに描いているけど、元々漫画家志望だった加奈は、同人誌で活動していた彼女に憧れていたんだよね。

 高校の文芸部の顧問だった先生が、加奈を部に誘ったから、加奈は漫画家への道をあきらめたけど、代わりに文章を書くのが好きになったのね。先生は加奈に「あなたは小説家ではなく評論家タイプね」と言って、加奈を落ち込ませたけど、今の加奈は、不動産屋の事務の仕事の傍ら、小説やエッセイを書いている。

 あたしは加奈のブログを読んでいるけど、あの子は加奈と同じく小説を書いているブロ友さんとケンカ別れしたようだ。あの子は相手に「私はあなたの才能がねたましいんだ」と批判コメントを送ったけど、相手に鷹揚な態度を取られて、かえってプライドが傷ついたのね。

 意外と妙なプライドがあるのよ、あの子は。


 さて、肝心のプレゼント。あの子はたいていの服をファストファッションの店で買って着るから、ちょっと残念なんだよね。あたしの店の服を着たら、かわいいだろうに。

 でも、ちょっとでもかわいいアクセサリーがあれば、あの子もオシャレに興味が湧く…いや、あの子のオシャレに対する思い入れって、自分自身ではなく、お人形に向けられているのが複雑なのよ。確かに、あたしもお人形は好きだけど。

「あ、この星形のピアス、かわいい!」

 これは加奈への誕生日プレゼント。本人は小説の資料となる本の方を喜びそうだけど、せっかく女の子に生まれたならば、少しはオシャレしなきゃもったいないじゃない?

 あとの「軍資金」はケーキバイキングに回す。ついでに、今日はさや姉へのお土産として、ケーキをいくつか買うね。

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