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乙女の悩み

 このショートショートは、かつて交流があったあるブロガーさんの「古今東西、普遍的な美はある」という主張に対する異議として書きました。「美」の基準は古今東西のみならず、個人レベルでも違いがありますし、「画一化」は「美」の多様性を否定するものです。

 私が問題のブロガーさんと決裂したのは、まさしく「美意識の不一致」によるものでした。

 私の名前はエイミー。ファッションデザインの勉強をするために来日した、アフリカ系アメリカ人、要するに黒人の女の子だ。


 私は来日前から、ロリータファッションが大好きだった。だけど、周りの誰にも理解してもらえなかった。

 そう、ロリータファッションというのは、基本的に白人の女の子をイメージしたものだ。色は淡いピンクなどの優しい色ばかり。黒を基調としたゴスロリもあるけど、コレだって、色白の白人をイメージしたものだ。

 それだけに、一部の日本人の女の子たちがこの系統のファッションに夢中になるのは、黒人の私と同じく、どこか「倒錯」している。同じ日本人と言っても、肌の色には個人差があるし、色白の子の方が有利だ。それも、ある程度目鼻立ちがハッキリした女の子の方が似合うのね。


 ひょっとして、性同一性障害ならぬ「人種・民族同一性障害」なのかしら? 私は元々他の黒人の女の子たちほどの「リアリスト」ではなかったし、オタク文化などの日本のサブカルチャーを好きになったのだって、単なる現実逃避に過ぎなかったのだ。

 そういえば、誰かが言っていたね。身分差別と外見差別は密接な関係にあるって。私は思う。人種差別はさらにこの二つと密接な関係にあるのよ。そう、私たち黒人が差別される要因の一つに「美意識の制限」があるのだし、少なからぬ日本人の女の子たちもまた、それで悩んでいるのだから。


「古今東西、普遍的な美はある」。私はそんな言葉なんて信じない。そもそも現代社会における「美」だなんて、しょせんは白人優位主義に基づくごり押しでしょ? 私たち有色人種の女たちは、そんな美意識の押し売りに踊らされているだけ。もう、ウンザリ!

 だけど、私はどうしてもロリータファッションに対する愛情を捨てられない。そして、それは日本人のロリータちゃんたちも同じだと思うのね。

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